ブラウン惑星人の日々 September 2015
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廣井家の今
上画像:ブラウン大への進学を考えている高校生や親のためのBrown Bearingsで配られたパンフレット群
とうとう秋が来たかと思えば、夏のような暑い日もあるような、本当に上がり下がりの激しいこの1~2週間でした。昨日の土曜日は、ブラウン大学への受験を考えている高校生とその親たちを招いて、Brown Bearingsという行事がありました。以下がそのリンクです。
http://www.brown.edu/admission...
上画像:お昼休みに私のオフィスに来た娘たち
私の長女は昨年入学したので、この9月から2年生になりましたが、次女は来年が受験です。長女は今、生物分野に進みたいと考えているようですが、次女は人文科学に興味があるようで、この行事にもHumanityに関する講義に参加しました。午前中は全体で多文化的要素に関する話や質疑応答の会があり、お昼は大きな食堂で子供たちは昼食なのですが、親には出ないので、私のオフィスに行き、長女も寮から呼んで親子のひと時を持ちました。次の写真は、私の本棚を横にして当日のプログラムを読んでる次女と、横に座った長女です。
右下には、私が愛読してきたAsteroids IIやIII、Meteorites and Early Solar System、そしてファインマン物理学の本とかが並んでいます。その上には隕石や月試料のカタログや昔の学生の博士論文のコピー、左の方には、極地研の隕石シンポのプロシーディングズや日本惑星科学会誌である「遊星人」などが見えますね。正面に見える木の戸棚は、扉を開くと多くの引き出しがあり、RELABで測定されたいろんな鉱物試料が入っているものです。
午後の1時から3時までは、人文科学の全般的説明と、4つの講義から1つを選んで教授に授業をしてもらうというもので、我々はAlmeida教授による、The Dawn of Modernityという題の講義で、コロンブスが西インド諸島を見つけたという15世紀末の状況に関する常識が如何に間違っているかを説いていました。地球が丸いことを証明するというよりも、東に行っても海が続いていなくてインドには行けないので、西から行こうというような考えがあったという説です。実際、古いトレミーの世界地図によると、ポルトガルから東に向かってインドまで行けないです。インド洋は内海になっているし、スエズ運河はなかったですから。
https://en.wikipedia.org/...jpg
その一方、コロンブス以降の次のカンティーノの世界地図では、アメリカ大陸や、インドに続く海のつながりなど示されています。この地図だけ見ると、西の端と東の端がつながっていることを証明するためにコロンブスが航海をしたと言われれば信じたくなってしまいますね。私も真実がわかりませんが、もう気安く「コロンブスの卵」の話をできなくなってしまいました。
https://en.wikipedia.org/wiki/Cantino_planisphere
この後は、またオフィスに戻って、週末にいつもノルマとしてやっている特許の翻訳を何ページかやり、4時ちょっと前にSayles Hallでの交流会にちょっと出てコーヒーとジュースとクッキーとかを拝領し、最後にまた主会場であるSalomon 101に戻ってSTEAMという学生組織のプリゼンに参加しました。 http://steamwith.us/BrownSTEAM.html
STEAMというのは、Science, Technology, Engineering, Art, and Mathematicsの融合ということらしいです。ブラウン大学というのは、Liberal Artsのメッカともいわれていて、必修科目が一切なく、自分が何に集中(Concentrate)したいかによって、必要な科目を自分で決めて取っていくというものです。
私が卒業した東大の教養学部もそれに似ていて、科学分野の境界領域を探る基礎科学科があるわけです。もちろん必修科目は1-2年の時から存在していましたが、後期課程は非常にいろいろ取れて楽しかったです。相対論と量子力学に傾倒したのもその時です。次女は長女ほど成績がよくないので心配ですが、親の願いに沿ってブラウン大を受験してくれるという気持ちはありがたいものです。
上画像:帰る前にブラウン大のマスコットの熊の像の前で娘たちと
帰る前に別れを告げにまた来てくれた長女と、ブラウン大学のマスコットであるBrown Bearの像の前で写真を撮りました。さて来年の今頃は次女もブラウン大生になれるか、ボストンあたりの大学に行くのか、このブログが続いていましたらまたご報告します。
ポケモン襲撃事件
また2週間休ませてもらいましたが、とうとう9月に入って学校もそろそろはじまりますね。アメリカでは、9月7日(月)はLabor Dayの休日で、その後に学年が始まるのがこのあたりの習慣です。南部や西部ではそれと違うとも聞きますが。公立と私立での違いもあるでしょうね。休みが多いアメリカでの子供たちの休みの使い方で大きく差が出るので、親の教育が大きく影響すると思います。
上画像:ボストンでのポケモン大会を襲撃しようとした容疑者たちの検挙と裁判に関する新聞 Metro の記事
前回、ボストンのハインズコンベンションセンターでポケモン世界大会が開かれたことを書きましたが、何と、そこにライフルと200発以上の弾丸を持ち込んで無差別殺戮をしようとしていたらしい2人の若者が検挙されました。最初の写真にあるように、銃を車の上にX字型に組んで写真を撮り、Web上で宣言までして、車ではるばるボストンに来たようです。何かをする前に検挙されてよかったわけですが、もし有罪にならなかったら、再び犯行に及ぶかもしれないですね。
というか、9.11で2機の飛行機がボストンから飛び立ってWorld Trade CenterのTwin Towersを襲って以来、靴の中に爆弾を隠した奴が空港で見つかったり、ボストンマラソンで圧力釜から作った爆弾で人々を殺傷したり、独立記念日の花火を見物に来た群衆を爆弾で狙ったり、今回のポケモン大会に集まる世界中の子供や若者たちを射撃しようとしたりと、ボストンはテロの対象として目をつけられているのではないでしょうか? 子供たちが大学に行ったら、Rhode Island州に引っ越して戻った方がいいかもしれません。。。
上画像:涼しくなった土曜日のボストンの Public Garden の光景
恐ろしい話はさておき、次の写真は、久しぶりに秋のように涼しくなった昨日土曜日に通ったボストンのPublic Gardenの光景です。観光客たちがSwan Boatに乗ったり、くつろいだり、また右端に見えるのは、ガラクタを集めてそれで演奏と歌を披露しているおじさんで、何かの募金のためにやっているようです。まあ、ボストンらしい光景ですね。
この写真を撮ったのは、実は、妻が新しいパートの仕事を見つけたことと、長女がまたブラウン大に戻る直前ということで、Copley Squareの日本料理店で久しぶりに外食をしようといった帰りでした。ボストンに引っ越して以来、家族で寿司と日本食の外食をするのはまだ3-4回目くらいで、15年間にそれだけなので、5年に1度かなあと思っています。貧乏科学者なので、極力節約しながら家族サービスを最低限しているという感じですね:)
上画像:ボストンの Copley Square にある日本料理店 Yamato II に入っていく長女と妻
あともう一つの理由は、行った日本料理店の名前にあります。なんと、「ヤマトⅡ」という名前の店なんです。写真にあるように、まるで地下鉄の駅のように地下に入っていくようになっていますが、場所はボストンの一等地です。
http://www.yelp.com/biz/yamato-ii-boston-2
今年は12月に、はやぶさ2が地球スイング・バイのために戻ってきますが、はやぶさは私にとっては宇宙戦艦ヤマトとほぼ同じで、ヤマトがTVアニメと映画で人気を博してから、「さらば宇宙戦艦ヤマト-愛の戦士たち」が上映され、それも大人気になってしまったので、主人公たちが死なないTVアニメ版「ヤマトⅡ」が出来たのでした。その当時は、私は大学受験で実家の各務原市と東京を頻繁に往復していて、ある日、ヤマトⅡの時間までに自宅に戻れないので、名古屋で新幹線を降りた後で、名古屋のおばさんに電話して、それを見るためだけに寄らせてもらったこともあるくらいです:)
更なる理由は、ちょうど極地研のシンポジウムのためのアブストラクトも仕上がり、1か月近くかかった長ーい翻訳の仕事も仕上がったので、息抜きに家族で食事に行ったというところです。お昼の時間は食べ放題で一人当たり$17でしたが、税金やチップを含めて4人で$89でした。普通は一品を頼んでも平均$4から$12くらいはしますから、とってもお買い得だと思います。夕食時は確か$22から$25とか高めになりますが。
11月の極地研シンポでは、炭素質コンドライト隕石の分光サーベイのまとめということで、反射スペクトルのどういうパラメーターを使ったら、はやぶさ2母船に搭載された多色カメラONC-Tと近赤外分光計NIRS3のデータから隕石型を推定できるかという話をします。その直後の宇宙研でのシンポでは、より新鮮なFallと言われる、隕石が落下したのを目撃してすぐとってきた試料の粉末をおもに用いて同様な解析結果を発表し、更に、宇宙風化や炭素量の影響も議論する予定です。どちらも参加費が無料なはずなので、興味ある方々はぜひ聞きに来てください。
その直後は3連休になるので、実家に帰省と、いろんなところで講演会をする話も入っています。おそらく参加費がかかるプラス会員制とかなので、あまりそちらは一般の人たちに来てもらうわけにはいかないかもしれませんが。どうしても、ギャラが出る講演会の方を優先せざるを得ない貧乏科学者の事情でもありますね。。。