ブラウン惑星人の日々 February 2014
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冬眠も永眠も有り得ない
ソチオリンピックにマスコミも人々も関心を寄せている間に、すぐ隣の国であるウクライナで政変が起こりましたね。とうとう大統領が辞任して、議長が代行するということになったようです。ウクライナは長くソ連邦の支配下にあり、チェルノブイリの原発事故もその北部で起こった惨劇でした。内部は親露か親欧かで二分されているようで、この議長は再び親欧路線に転換するそうですね。
ロシアは歴史的に不凍港を求めて南下しようとしてきた歴史があり、日露戦争もロシアが朝鮮を侵略しようとしてきたからですね。EU にも問題は数々あるでしょうが、弱小国にとっての将来はやはり EU のようなモデルが良いのではと思います。英国や日本は非常に特殊なので、やはり独自の通貨を持つ意味は大いにあると思います。理想世界がこない限り、いろんな国の問題を通貨統一によって抱え込む必要はないでしょう。
上画像:ボストンコモンに生息する冬眠前のリス
極寒のボストンですが、ここ数日は最高 50F に近くなるような日もあり、春の気配を感じました。また寒くなるようですが。写真は、ボストンコモンに生息するリスを6年前の11月に写したもので、冬眠前でいろいろ食料を取って太っているようです。ブラウン大学のキャンパスにもリスがいるので驚きましたが、ここボストンコモンでは非常に多くいます。子供のころ岐阜の金華山でしかリスを見ていなかった自分としては、とても感動したのを覚えています。一方で、次の写真のように、冬眠しない種は、氷を見て喜んで活発にはしゃぎまわるのでした(私の次女)。この子も今は高校1年生で、早いものです。
上画像:冬でも活発に遊んで冬眠をしない「種」~廣井さんの次女です.
さて、LPSC がじわじわと近づいてきますが、NASAの惑星科学分野の科研費は今年から新たな分類になり、そのいろんな段階の応募締め切りが3月末くらいから始まります。そういう意味では非常に緊張する時期です。何度も書いていますが、私が、はやぶさ2が目標小惑星にランデブーする2018年とか、地球に帰還する2020年まで現役として生き延びるためには、ブラウン大であと2年という限られた期間の後の給料を払える研究費を獲得するか、日本で恒久職に就くか、投資とかで自活できるようにするかしかありません。残念ながら、過去の経験から見て、どれも厳しい戦いです。でも、私に使命があるとするならば、きっとどれかが起こるでしょう。
このリスのように、春まで冬眠するために準備しているのか、はたまた永眠してしまうのか、それとも子供のように冬も生き生きと活動できるのか。そのような分岐点かもしれません。
President's Day
私が毎週日に通勤の前に駅の近くで取って読む無料新聞 Metro というのがありますが、星占いの欄に久しぶりに現在の私にぴったりの内容がありました。
Libra (Sept. 23 - Oct. 22) You are an intelligent and gifted individual. However, doubts and indecision will hold you back. Believe in yourself, and you will succeed.
天秤座(9月23日-10月22日)あなたは知的で才能ある人です。しかしながら、疑惑と不決断があなたを引き留めています。自分を信じなさい。そうすれば成功します。
だいぶ前に東大教授の公募に出したことを書きましたが、年度末近くなって音沙汰ないのは明らかに落とされたということです。11月の隕石シンポでも担当の杉浦先生は何も言ってませんでしたし、メールもありません。以前書いた2006年の事件以外はこのような無視状態が続いています。おそらく落ちるだろう公募に出して何の得があるのかとも思いますが、少なくとも私がまだ第一線で活躍していて、日本のために必要な人材であると自負しているという事実を知らせ、教授を採用するならば、私以上の人でなければ大学人事は不正に行われていることを示すことはできるでしょう。誰が選ばれたか公表しない大学が多いですが、いずれわかるものです。最近の北大の公募も出しましたが、ぎりぎりに郵送したので、締め切りに間に合わないかもしれませんね。そうしたらきっと初めて私を取らない正当な理由ができますね:)
人事というのはどの分野のどの機関でも非常に偏りがあって不公平なものと解釈しています。それならそうと言えば良いのに、表向きは公平・公正を期しているというからだめなんです。憲法や法律に違反して訴えられるのが怖いのでしょうが、なぜそのような法があるのか忘れていませんか?
法はそれを遵守する本人や団体を守るためにもあるのです。人間には良心がありますし、因果応報という言葉もあるように、たとえ短期的には損をする選択に見えても、結局は正しいことをするのが得なのです。では、何が正しいことかという疑問がわきますね。それは特定の個人や学科や学部の利益よりも大学全体、そして国や世界に利益をもたらす選択がより善でしょう。それによって個人や学部学科が損をする場合もあるかもしれませんが、それはおそらく短視的に見ている場合でしょう。
先日も MIT において、ボストン東大同窓会の設立準備会に参加してきましたが、主導している人も私も、ボストンという学術都市にいる東大卒業生に固有の Feedback を東大にかけるべきだという意見では合意しました。アメリカおよび学術において先進の国においては大学および大学院の研究・教育は如何に行われているか、大学教官の選抜および評価はどうなっているか等々、東大および他の日本の大学はよく知るべきです。多くの点で悔い改め、今後は私の場合のような人材の流出・浪費を避けるべきです。
私が出世しない貧乏科学者として如何に生きてきたかというと、基本的に翻訳のアルバイトです。1995年から、DC グループという会社のための日英翻訳者として働いてきましたが、2011年3月11日の大震災以降、仕事がめっきり減って、それだけでは少ないブラウン大からの給料を補填するには足りなくなりました。ブラウン大の職自体もどうなるかわからないという状況に直面して、昨年いろいろ探した結果、Straker というオンラインで翻訳の仕事を競売で取るような会社や、Cyracom という電話で通訳をできる会社を見つけました。まだまだ収入は少ないですが、これから増えていく可能性もあるものです。それにしても、ブラウン大で試料の測定とかをして、通勤中でも翻訳をして、自宅でも電話通訳をしていては、全く研究や論文を書く時間もありません。
まあ、その一方で、停滞している Uinvest に代わりうるような投資会社を見つけました。FX のお任せ会社で、毎月 10% くらいの利益が上がるようです。興味ある方は、私のリンク(http://secureinvestment.com/182346)をたどって行って見てください。いろいろ試して希望をつないでいかないと貧乏科学者は生きていけませんので。希望といえば、ソチオリンピックでの羽生君とかすごいですね。19歳で金メダルを取っただけでなく、国家君が代をちゃんと表彰式で歌ってましたね。震災で被害を受けた仙台の希望ですね。
上画像:雪が降るボストンコモンでそり遊びをする人
先週と今週、東京は大雪に見舞われているようですが、ボストンも東京と天候パターンが似ていて、毎週のように大雪です。湿度と温度が東京とは違いますので、雪の量も違いますが、いったん雪が降ると根雪になって凍った地面はとても滑りやすく危ないです。温度が高いときは溶けますが、1日中氷点下の日々もあるので。写真は、ボストンコモンの小高い丘でそり遊びをしている人を眺めて撮ったものです。
明日は President’s Day で、子供たちは1週間ずっと休みです。私も大学を休んで一緒に映画でも見に行こうと思っています。私にとって科学や仕事など何よりも家族が大事です。
雪化粧のブラウン大学
今日は海の向こうの祖国の東京都知事選の結果を聞いてがっかりしました。唯一頼みになりそうな田母神氏が当選しなかったからです。「永遠の零」の著者である百田さんも良い応援演説をされていましたし、マスコミに無視されたり、支那・朝鮮から批判を受けたりすること自体が愛国者たちであることの証拠かもしれませんね。でも田母神さんは他にも国会議員とか、いろんな面でがんばってもらえるかもしれませんし、若い人々を啓蒙するのは非常に重要なことです。
上画像:ブラウン大学キャンパスの雪景色
冬もたけなわで毎週のように雪が降っていますが、最初の写真にあるように、学生が戻ってきたブラウン大のキャンパスも雪景色で、なんと始業日から既に大雪に見舞われたのでした。私と同じように写真を撮っている人の姿が見えますね。
また先週は、次の2つの写真のように、以前もご紹介した 6 年間も使っている RELAB の測定ノートを使い切り、次のノートに移りました。我々の実験室は 1980年代初頭から続いていて、コンピューターのシステムも測定用は PDP - 11 から IBM PC の Windows のいろんなバージョンへと変遷しており、記録媒体も 8 インチディスクやテープから DVD やハードディスクに変遷していますので、紙媒体の記録は非常に安定していて良いです。
上画像:6年間も使ってきた RELAB の測定ノート
上画像:測定ノートの最後のページ
データ解析用のコンピューターも VAX の 3 つくらいの機械を経てきています。そろそろ本当にパソコンに移行しないといけないのですが、FORTRAN - 77 とかでグラフィックスも関係するので、なかなか容易には進みません。パソコンも Linux くらいは安定しているかもしれませんが、Windows は安定性を信用できないですし。
このノートは、既に裏表紙は取れているのをスコッチテープで直していて、2 つ目の写真にあるように、最後のページまで使うのに苦労しました。下に見えているのが、SETI の Janice Bishop からの測定依頼シートで、全米および海外からもこのような色々な用紙に記入して試料とその測定の依頼が来ます。この本には私の DNA がきっといっぱい付いているでしょう。将来私が有名になったら、価値が上がりますよ:)
なお、前回、日本のかぐや衛星による月の科学の成果のすばらしさの一端をご紹介しましたが、最近も中共の月のローバーのニュースが出ましたね。とにかく、月開発ということでロケットで衛星を飛ばしたり着陸機やローバーを下ろしたりするのは軍事・経済力でできるでしょうが、科学成果はまったく違います。科学の目的のために機器を最適に設計・製作し、運用し、データを取得・解釈し、論文化する能力を持つ科学チームを設置するということは、一朝一夕ではできません。中韓はまだまだ日本に及ばないと思います。
今回は、だいぶ前にチームの科学会議で撮った記念写真(下段画像)をご紹介したいと思います。きっと Web とかでも出回っていると思うので問題ないでしょう。2009年の1月の写真なので、既に5年も経っていますね。みな若いですね。
上画像:第3回かぐや拡大科学チーム会議(2009年)参加者の記念写真
今後とも日本の月惑星探査の発展と研究者たちの成長を願うものです。LPSC で毎年そのような兆候が見えることを楽しみにしています。
公共マナー遵守の日本!
とうとう2月になりましたね。こちらは1月から既に -15℃ にもなる寒さですが、普通2月が一番寒い月なので、どうなることやら。いつも大雪が降ると学校が休みになるので、子供たちは大喜びですが。あと、今月は President’s Day があるので、その週は学校は1週間べったり休みになります。
以前にもお書きしたとおり、私は Peter Pan という会社のバスで通勤していますが、この会社は、車内での携帯電話の使用は緊急時に短く静かに通話する以外は禁止になっています。それでも、無知か無視によって長く電話をする乗客もいて、運転手にはなかなかわからなかったり、忙しかったりするので、私が自分で注意するしかないことがしばしばです。
先日も、私の向かい側で黒人女性が長い電話をしていたので、車内では長い通話は駄目だ!と注意すると、いきなり切れて、Mind your own business とか言いながら止めようとしませんでした。それで、運転手にもう一度アナウンスをしてくれと頼むと、会社の携帯電話の方針をしっかりマイクで皆に通告してくれたのですが、それに対してこの女性は、自分の電話は緊急であって出来るだけ短くしているのだ、と言い張りました。それでも、10分しても止めないので、私がもう1度忠告すると、ここには書けないような汚い言葉を発し始めました。それで私はもう一度、ルールを破っているのはあなたであって、悪いことをしているあなたがなぜ文句を言うのか、また言葉遣いに気をつけなさい、と諭しました。それで私が運転手にもう一度それを通知しに行くと、この女性は、「馬鹿なうるさい奴がいるから、着いてからまた電話する」とか相手方に私の悪口を言って気晴らしをしながらやっと電話を切りました。
この後私は面白いことに気づきました。最近、日本に対していろいろ文句をつけて批判している韓国や中共は、この黒人女性と似ているということです。自分が国際法に違反した悪いことをしているのに、何も悪い事をしていない国のせいにして、自己正当化しようとしているのです。まったく情けない人格だと思います。そして私の経験が応用できるならば、相手がなんと言おうと、冷静に事実と国際法と良識を繰り返し説いて、悪なる力に絶対屈しない姿勢を名実ともに示していかないといけないと思います。なので、向こうが核兵器で脅してくるならば、日本も核兵器を持たないといけないかも知れず、そのためにも原発を止めてはいけないです。原発とロケット技術で核兵器は作れるはずなので。
上画像:今年の LPSC の私のアブストラクトのリスト
ところで、今年も3月に LPSC(Lunar and Planetary Science Conference)に行きますが、そのプログラムが発表されました。
http://www.hou.usra.edu/...pdf(PDF 1.7MB)
私の発表は残念ながらポスターになりました。口頭講演を取れる年は少ないですが、2011年のイトカワ試料の解析結果発表の時に座長をしてからだけを見ると、最近は 50% の確立ですね。私は共著が多いので、図にあるように 10 件もアブストラクトはありますが。ブラウン大の惑星グループのボス格の Jim Head などは、印刷したら1ページは埋まるのではと思うくらい共著がありますね。
かぐや衛星の地質鉱物関係の発表が金曜日の午後にあり、座長はブラウン大出身の Kerri Donaldson と宇宙研の大竹真紀子さんですが、発表者を見ると、日本とブラウン大とハワイ大関係者がやはり多いですね。
http://www.hou.usra.edu/...pdf(PDF 154.1KB)
かぐやで鉱物組成を見るのにもっとも強力な SP(Spectral Profiler)データをどんどん使って発表・論文を出している山本聡君も入っていますね。日本のこの分野における躍進はすばらしいです。今回も熾烈な討論が交わされるシーンもあるかもしれないですね。
あと、同じく金曜日の午前の小天体のリモセンでは、
http://www.hou.usra.edu/...pdf(PDF 440KB)
にあるように、東大柏の岡村さんが、あかり衛星で測定された小惑星の3ミクロン吸収帯を含む反射スペクトルを主成分解析した発表がありますね。発表者は指導教官の杉田君になっていますが、出来れば岡村さんご自身で発表してほしいものですね。
どちらのセッションも非常に楽しみです。