NASA Emerging Worlds - December 29, 2016


今年もあと数日で終わりを告げます。アメリカではクリスマスイブに休日が始まり、元日に終わるという雰囲気ですが、日本では年末と年始に 3~5 日ずつの休暇が普通ではないかと思います。とにかく、今は日米どちらも休日の時、今年を振り返りながら、来年を展望してみたい時期です。

今年は最後の部分で特に良いことがいくつかありました。まず11月の大統領選挙でドナルド・トランプ大統領が当選したことです。民主党のリベラル政策で、同性婚や麻薬の合法化といった人類文明の破滅につながる悪魔的な展開がされてきました。それを止めるのは、マスコミさえもしかりつけることのできる強力な大統領しかなかったと思います。これで共和党が新生して、トランプ大統領と共に米国をよみがえらせてほしいものです。その一つの表れとして、最初の写真にあるように、マサチューセッツ州会議事堂におけるクリスマスパーティーで、キリスト誕生のシーンを展示することができました。

下画像:夫婦で参加した米国マサチューセッツ州会議事堂でのクリスマスパーティーで史上初めて公開展示されたイエス・キリスト生誕シーン。


 

そして二つ目の良いことはもちろん、スターウォーズです。40年前、私が高校一年生の時に岐阜の柳ケ瀬で最初の映画(エピソードIV)を見て大きな影響を受けました。今回の Rogue One はエピソード III と IV の間の逸話のようなものですが、なかなかよい話でした。しんみりと感動で終わります。次の写真にあるように、ボストンコモン AMC シアターの廊下に展示物があり、思わず娘に頼んで逆光ながら写真を撮ってもらいました。

下画像:ボストンコモンAMCシアターの廊下にあったRogue Oneの展示物と共に。


 

そして何と、過去三年間応募してきた NASA Emerging Worlds の研究費が、三度目の正直でとうとう通りました。来年4月頃から三年計画で、私の 30% の時間を使い、はやぶさ2が向かいつつある小惑星リュウグウのように始原的な小惑星の表面物質組成や粒度や宇宙風化度を求めるために、実験室での炭素質コンドライトの様々な試料の測定や宇宙風化実験で基礎データの蓄積と必要なパラメーターを導出していく研究です。宇宙風化実験のために、最初の二年は年に二回ずつ、最後の三年目は一回日本に帰国する予定です。

ただひとつ見落としていたのは、NASA 研究費で渡航するためにはアメリカの航空会社を使わなくてはならず、家族も休暇を取る6月に帰国しようと思って探したら、どれも予算の $1200 を大幅に超えるものばかりでした。なので仕方なく、休暇は休暇で楽しむことにして Air Canada の安いのにして、私の出張はアメリカの航空会社が安い運賃を提供している時期に目指すことにしました。それと、宇宙風化実験で必要なものがまだ日本側で準備できていない可能性もあり、まだ来年度にならないと分からないことも多々あります。

いずれにせよ、来年以降に備え、いろんな面で年末に好転してきて、2月には海外の学会やマスコミのインタビューに招待されている件も出てきて、忘れ去られてきた自分にも運が回ってきたのかなあと思う時です。
 



戻ったボストンは既に氷点下 - December 13, 2016


二週間の日本帰国を終え、一昨日やっとボストンの自宅に帰り着き、今日から仕事です。帰ってきたボストンは非常に寒くなっており、今朝は雪まで降りました。私がいた頃の東京から福岡の間はとても暖かかったです。これからまた -15℃ にもなるニューイングランドの冬が来るのです。。。

さて、日本では予定通り、立川の極地研で「はやぶさ2016シンポ」と、相模原の宇宙研で「はやぶさ2合同科学チーム(HJST)会議」に参加しました。やはり2018年のリュウグウ到着があと1年半に迫っていることもあり、多くの欧米の科学者たちの参加があって、少し前まで閑古鳥が鳴いていたような極地研の南極隕石シンポがにぎわった感じです。ただ、本当は四日間ある後半の二日間は、宇宙研に行かねばならないので、私の二つ目の発表である炭素質コンドライトの分光サーベイの結果は、共同研究者でもあり、東大基礎科学科の後輩でもある海田君に任せてきました。文字の少ないスライドだけだったので、スクリプトはないのですか、と不安不服気味でしたが、英語で発表する自己訓練にしてちょうだい、といって日本語でざっと説明だけして放任しました:)

はやぶさ2016シンポでは、OSIRIS-REx 関係で私も旧知の Rachel Klima とか Ed Cloutis とかも参加し、月や小惑星の分光の発表をしていましたが、正直言って、私の理解のレベルの方が上だなあと思ってしまいました。私が秘密兵器として日本がリュウグウに到着する2018年から2019年の期間まで、はやぶさ2にフルに貢献できれば決して負けないと感じました。その仮定自体が大きな If ですが。まだまだ私を除く日本チームの分光科学力は脆弱と言わざるを得ませんが、私が1996年とかの20年も前にやった仕事を引用するだけだった世界から、やっと自前の試料・実験データ・計算によって C 型小惑星探査ミッションを支える方向へと動いては来ました。

広報用資料も新しいのができて、最初の写真にある、黒いポスターを折ったようなものは、はやぶさ2の各機器の写真と説明をうまくしてあります。200 部くらいもらって、土曜日の千葉市民会館での講演会でかなり多く配りました。そして、日曜日は各務原市に帰省し、月-水の3日間はいつもの様に阪大の佐々木晶さんのところで測定・実験でした。今回は、はやぶさ初号機ミッションの時に神戸の修士課程の学生だった本田君が来てくれて、11年ぶりの再会でとっても楽しい時を過ごしました。はやぶさ2が今飛んでいることもあり、10 年以上の時を飛び越えたような気分でした。

下画像:はやぶさ2合同科学チーム会議の日程表と広報用資料。


 

その後の木曜日は休みを取って、久留米まで行き、由緒ある明善高校の理数科1年生に特別授業をしてきました。写真にあるように、藩校の時代から続くこの学校は、少子化の時代にもかかわらず多くの生徒を教え、このクラスの担任の先生は、何と九大の地球惑星で修士号をとった方でした。なので、はやぶさ2にも入っている研究者たちに共通の知人がいて奇遇でした。

下画像:理数科1年生に特別授業をした久留米の明善高校。


 

今回は東北方面には行けませんでしたが、東北大の松岡さんにはHJSTに来てもらったので、実験と論文に関して議論・指導をし、はやぶさ2016シンポに来ていた小松さんとも研究費申請の話をし、最後の金曜日には極地研の共同研究者たちと今後の解析・論文と、研究費の申請に関して詳しく打ち合わせをしました。今回は非常に実りある出張をできたと感じています。

長女が2-6月の一学期間、梨花女子大学に単位交換留学をする予定なので、その最後の6月に次回は帰国したいと予定しています。
 

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