ブラウン惑星人の日々 July 2017
惑星探査に係る人々 - July 28, 2017. Latest
レナード・ホワイティングなのか ....July 28, 2017
日本の皆様、例年のごとく暑い日々が続いているかと思いますが、こちらボストンはこの1週間くらいとても涼しく、最高気温が60度F台にしかならない(東京は90度Fくらい)の日もあります。夜は風が寒くて窓を閉めないといけないくらいで、朝はジャケットを着ている人たちもいます。冬は極寒のボストンですが、こういう時はいいところに住んでいるなあと思いますね。
最初の写真は、わがアパートの目の前にあるボストンコモンで毎夏行われている無料シェークスピア劇場に初めて家族皆で参加した時の写真です。今回は涼しい日だったし、雨も降らず、そして何より上演されたのが「ロミオとジュリエット」だったからでした。私は岐阜北高時代にESS部に入っていて、先輩たちはロミジュリの劇をやり、我々は「ベニスの商人」をやりましたが、下級生たちにはロミジュリの映画を作らせました。その指導のために、高校生向けに縮められた脚本をかなり覚えました。
下画像:ボストンコモンでの無料シェークスピア劇場。
また、1960年代のオリビエ・ハッセーとレナード・ホワイティングの映画が好きで、そのサントラを何度も聞いて覚えていました。例えば最初のPrologueの、
Two households, both alike in dignity, In fair Verona, where we lay our scene, …
のところや、ロミオとジュリエットが舞踏会で出会ったときの、
Good pilgrim, you do wrong your hand too much, Which mannerly devotion shows in this, For saints have hands that pilgrims' hands do touch, And palm to palm is holy palmers' kiss. …
のところは、聞いてすぐに記憶がよみがえってきました。
さて、日本へ家族で帰省してから4週間ほど経ち、時差ぼけは治り、試料の測定に忙しい日々でしたが、それと同時に、次回11月6-19日の帰国の予定もだんだん埋まってきました。既にSSH関係の高校で、香川県と奈良県で金曜日や土曜日に講演を頼まれています。そして、2度ある週末は、それらの県以外に、広島・熊本・宮崎へと足を延ばして講演会をしようと思っています。まだ最終決定していない分を入れれば7件程度でしょうか。
こういう活動は、主に、はやぶさが小惑星イトカワにランデヴーした結果をNatureに出版した2006年ころから10年以上続けていて、そういう草の根的活動があってやっとNHKも注目してくれたのかもしれません。でもまだまだ一度も講演や授業に行ってない県があるので、次回の香川県・宮崎県・奈良県はそういう観点でアプローチしたものです。
そして昨日、日本から国際郵便でとてもうれしいものが届きました!次の写真にあるように、高井戸第三小学校で教えた児童たちからの感想文と、先生方からのお礼状です。なかなかよく理解している子も多くいて、やりがいを感じました。こんなに多くの子供たちが、将来どんな大人になり、どんな職に就き、どんな人生を送るか、とても楽しみです。これを見ても、日本の初等教育はすごいと思います。
下画像:高井戸第三小学校の5-6年生から送られてきた、私の授業への感想文集と先生方からのお礼状。
RELABでは今、積年の課題であった、Labsphere社製のスペクトラロンという標準試料の測光測定に取り組んでいます。測光は分光とは違い、1つの波長で試料を様々な入射・出射・位相角で反射率測定をし、その変化を調べるものです。実際は紫外・可視・近赤外光領域で限られた数の測定波長点で行っているので、分光も同時にしています。最近の研究では、スペクトラロンは、完全な等方散乱体であるランバート面でなく、大きな角度ではかなり前方散乱性を持ち、それが波長依存するらしいです。もちろん、表面の滑らかさ、つまり鏡面反射性能は波長が長いほど増すので、波長依存性はあって当然でしょうね。とにかく、その辺を自分で測定して確認しないといけません。
この夏の間、そして次回帰国の11月までの3か月間にやるべきことが山ほどありますが、6月の帰国中は家族とは別行動が多かったので、家族の時間ももっと取りたいものです。皆様、家族との時間、子供たちが小さい時がとても貴重ですよ。
未来の惑星科学への想い.July 08, 2017
あっという間に日本での2週間ほどの滞在が過ぎて、先日アメリカに戻ってきました。前回韓国での旅行報告をして以来なにもかけず、すみませんでした。韓国の時と同様に、日本でも鹿児島、東京、島根、岐阜・愛知、金沢、神奈川、水戸と回ってきていろんなところで講演などをし、最後に2日間、阪大で宇宙風化実験をしてきました。
最初の鹿児島第一中高校では、全校生徒400名を集めて、はやぶさ・はやぶさ2のと、未来の科学の方向性に関する話をしてきました。この写真は、講演が始まる前に生徒たちが入場しつつある時に写したものです。この学校は、隣の工業大学と連携して、航空関係に進む生徒もあり、宇宙・航空には関心があるようです。校長先生が福岡でお医者さんをされているというユニークな学校でもあります。終わった後で、鹿児島空港で飛行機を飛ばす演習をしている様子も見学させてもらいました。
下画像:鹿児島第一中高校での講演が始まる前の様子。
今回、昨年の12月にアメリカに戻ってすぐに誘いのメールを出して最初に良い返事をくれたのが、島根県の益田高校でした。SSHの担当の先生が変わったのですが、ちゃんと引継ぎをしてくださって、今回やっと6か月くらい計画した内容が実現しました。写真にあるように、終わった後は女子生徒に囲まれてしまい、とめどもなくいろんな質問を受け、この時は、まるで高校の教師になったかのような錯覚を覚えました。担当の先生方も非常に若く美しく活発で、この伝統ある高校に希望を感じました。来る途中でも、新山口で新幹線から特急に乗り換えると、たった2両しかなく、また途中でも携帯ネットワークがつながらないことも多く、やはり田舎に来たんだなあと実感しました。でも、こんな静かなところに住みたいという気持ちにもなりました。
下画像:益田高校での特別授業と、終わった後で質問に来る女生徒たち。
その後の週末は各務原市の実家に帰省したのですが、その時にまたいつもお世話になっている山田さんに連れられて、犬山の夢発心を訪問させていただきました。美しい未亡人、鈴木明子さんが経営する別荘・キャンプ場・自然学校です。写真にあるように、家庭菜園および地元でとれた新鮮野菜で手作りピザをごちそうになり、娘たちも大喜びでした。大人たちは政治の話題とかで花咲いてましたが:)最後に、私が出演したNHK BSのコズミックフロントのビデオを12分に縮めたものを皆で鑑賞しました。この場所はお勧めです。
下画像:犬山の夢発心で地元野菜と手作りのピザによる昼食会。
翌朝は特急しらさぎ号で金沢に移動し、午後から講演会でした。写真に写っているように、議員さん達や大学の副学長さんなどがでられた250名ほどの講演会で、北陸中日新聞にも取り上げられました。記事を読んでみて、いろんな話題を話した中で、そこに注目するとは、なるほどそういう観点もあるんだなあと気づかされました。その日は知人のうちに泊まり、翌朝は厚木での講演会に向けて金沢駅を出発する際に、新幹線改札口にかわいいロボットがあり、外国人の親子連れが楽しんでいる様子が目に留まりました。
下画像:新聞記事にも載った金沢での講演会の様子と、金沢駅で見つけた案内ロボットに群がる外国の子供たち。
その後の講演会や授業は写真がないのですが、特に杉並区の高井戸第三小学校では、2コマぶち抜きの1時間半の授業を2つ、4-6年生にしたのですが、ギリシャ時代の自然哲学者らが地球や月や太陽の大きさやそれら相互の距離を如何に測定したかという事から始まるこの内容は、二度目とは言え、非常に私自身勉強になりました。この時も、NHKで取り上げられた内容を利用することができ、助かりました。
最後の2日間の阪大での宇宙風化実験でも、M1に上がった田中君に手伝ってもらい、非常に有意義な成果が上がりました。D1 になった金丸君の修論もいただいて今読んでいるところです。これら若い学生が立派に未来の惑星科学と探査を支えてくれればよいですが。生き延びるのが難しい分野でも覚悟して進んでくれる優秀な人間が何人いるかが問題です。