The Planetary Society of Japan

ブラウン惑星人の日々 June 2013

同性愛?

POSTED BY: Takahiro Hiroi | DATE: June 25, 2013

いろいろ多忙であっと言う間に2週間以上たってしまい、涼しかったニューイングランド地方も昨日から 90度F を越える真夏日になってしまっています。昨日の日曜日にクーラーを出しておけばよかったと後悔しています。アパートが古くて、窓の木枠に入れてあるパネルを外して重いクーラーを箱から取り出してはめ込まないといけないので、つい億劫になってしまいます。ボストンの厳冬を越えるには、窓にクーラーを残したままでは問題で、夏以外は取り外して二重窓にしておかないといけないのです。

上画像:長女が通う音楽学校がフランクリン工科大学で開催した夏至にちなんだコンサート。

さて、5月に大学生たちが卒業した後は、6月は高校生たちが卒業していったり、学年最後の行事などがある時期です。以前もご紹介したように、長女はチェロをCommunity Music Center of Boston(CMCB)という音楽教室で習っていて、夏至にちなんだコンサートがありました(最初の写真)。チャンバー・オーケストラといって、CMCBでは一番レベルの高いグループに入れたのですが、毎週1回40分程度の個人レッスンを受けるだけで、月に$250くらいかかるので、家計にとってある程度の負担ではあります。その代わりに、アンサンブルといってほかの楽器奏者たちと一緒に演奏したり、講義を聞いたりというのが無料で付いて来ます。

上画像:コンサートのプログラムで、下から6行目くらいの長女以外は、下から2行目に1人だけ日系人の名前がありますが、日本語は話せないそうです。

高校(Boston Latin School, BLS)でも、またその音楽学校でも、日本語を話す日本人は私の2人の娘たちだけで、2つ目の写真のプログラムの下のほうでバス奏者をしている人も日系人ですが、日本語は話さないそうです。外国で生まれ育ったら、母国語を忘れるのは簡単なことなので、過去10数年間、うちでは必死で日本語教育をしながら、腐敗しつつあるアメリカの文化の圧力を退けてきました。それでも、高校生になったのに小学生レベルの漢字しか読み書きできないと思います。日本で高校までの漢字を自由に操る日本の子供たちは、その当たり前のように思えることの真の偉大さをもっと認識すべきだと思います。

先週は、私のウクライナの投資で事件が起こって、週末もそのことで頭がいっぱいでした。いつもの通勤のピーターパンバスのWiFiで取引をしていたら、突然スクリーンが真っ白になって、やったつもりのない取引で$4848が誰かに転送されていて、Invoiceとしてロシア語かウクライナ語の漫画がUploadされていたのです。これはおそらく、何かのウイルスソフトを入れられてデスクトップを乗っ取られた結果起こったのではないかと思います。Uinvestの担当者とそれを元に戻せるか協議中ですが、もう手遅れかもしれません。これからは、危ない公衆のWiFiでそういう重要なことはやらないことにします。

気晴らしに家族で土曜日はいつも行く映画館に歩いていって、Man of Steelを観ました。

-- http://en.wikipedia.org/...

これはスーパーマンの話で、特に、地球に赤ちゃんとして送られたカル・エルがその能力に目覚めて行きつつも、それを役立てることもできず、無能な人間のふりをしていじめられたりしても手を出せない、そんな辛い少年時代を生きていった事にかなりスポットを当てていました。これを見た後に、子供たちに教訓として話したのですが、能力がある人ほどいろんな試練に遭いやすく、それを乗り越えることが、その高い能力を正しく使えるような人格を磨くことになります。普通この世では、悪なる者達が強く、善なる者達が弱いです。それを逆に描くからスーパーヒーロー映画はヒットして人々に希望を与えるのです。でも、これからの世界は善なる者達が強くなって悪を追放しないといけません。私の子供たちや孫たちに、よりよい世界を残してあげるためにも。

上画像:映画の帰りにボストン・コモンで馬に乗っていた婦人警官と私の娘たち。

映画の帰りには、それに符合するかのように、ボストンコモンで堂々と馬に乗って警備している婦人警官に会いました。娘たちと一緒に写真をとらせてもらってもよいかと尋ねると快諾してくれ、最後の写真のように記念として収めました。アメリカでは警察の目の届かないところが多く、このボストンコモンでも、誰かがいつもマリファナを吸っているような場所があります。何箇所かにおいてある緊急電話で通報しようとしたのに、全然繋がらなかった経験があります。携帯電話を持たない私はそれ以上の努力をやめましたが、ルール破りで犬の放し飼いをしたり、警察官やパークレンジャー達が見ていなければ勝手に悪いことをする人たちを許しがたい気持ちです。私の娘たちはもう成長していますが、小さい子供たちに如何なる害が及ぶかと思うと心配になります。

世界の縮小体のようなアメリカ合衆国だったはずですが、世界の警察としての役目を投げ出し、同性結婚を認めることで人類を滅ぼそうとしているような、ブラック・ルシファーと私が呼ぶ大統領が立ち、奈落の底へとまっしぐらに落ちつつあります。支那が東アジアへの野望を持ち、朝鮮が無知で愚かな行動を起こそうとしている今、日本だけが良識あるアジアの、更には世界の盟主として立ち上がる資格があるのではと思います。ネットで多く見受けられるように、支那国の分割民主化は大いに可能性があると思いますし。

-- もし中国が分裂するとしたら --

いずれにせよ、惑星探査はがんばりたいのですが、上ばかり見ているうちに、足元をすくわれてしまわないように気をつけないと。
 

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POSTED BY: Takahiro Hiroi | DATE: June 09, 2013

日本から戻って3週間ほど経ちましたが、ここニューイングランド地方はまた涼しくなって、長袖シャツにカーディガンでも良いような気候です。1年中こんな気候なら楽なのにと思ってしまうくらいの気温ですが、ちょっと日本の梅雨のように雨が多いのが日常生活にも実験にも困ったものです。

上画像:私が RELAB の双方向反射分光器を制御する部屋。いすを回転させるのがやっとなくらい狭いです。

以前もお話したように RELAB は今年の始めに新しい場所に移って、より大きく最新の設備に変わったのですが、期待を裏切られることもいくつかあります。まず第一に、私が双方向反射(BDR)分光器を制御するためのブースが、最初の写真にあるように非常に狭いことです。上着を椅子にかけて回転しようとすると引っかかってしまうくらいです。それと、最初は小さな空間で多くの機械(コンピューター4台と他の4台の機器)が発熱しているために暑くなり、ドアを開けっ放しにする必要がありましたが、通気孔を開けてもらったり、空調の流量を変えてもらったりして、今は何とかなりました。

上画像:RELAB の試料を保管したり調整したりするクリーンルームの一角。床に置いてあるのは NASA ジョンソン宇宙センターから借用しているアポロ月試料を保管する2つの金庫の1つ。

このブースから回転ドアで、以前も紹介したBDR装置の暗室に入ることができ、そこから更にもう1つの回転ドアで、クリーンルームに入ることができます。2つ目の写真にあるように、そこには NASA ジョンソン宇宙センターから借用している貴重なアポロ月試料が金庫にしまってあったり、測定待ちの試料が紙のトレイにおいてあったり、シリカゲルで乾燥空気にしてあるデシケーターの中に入れてある試料とかがあります。写真には、試料の粒系をそろえるための篩いや、試料の写真を撮るためのデジタル一眼レフのカメラなども写っていますね。そうそう、窓際に見えている赤いものは、静電気を中和するためのガンで、特に月表土(ソイル)の試料を扱うときに便利です。

上画像:RELAB のクリーンルームのテーブルで試料を測定皿に乗せている過程。愛用のへら(Spatula)や絵筆を使い、そして右には圧搾空気や電子天秤が置いてある。試料皿は RELAB 特製の物で、6種類くらいある。

次の写真は、どうやって私が試料を測定用の皿に乗せているかを示すものです。そんなのはたいした問題じゃないじゃないかと思われる方も多いかもしれませんが、これが割りと重要で、陰が出来ないように表面を平らにすることと、RELAB の BDR 測定では、粉末試料は回転させながらお互いに位置を移動させますので、その間安定しているように調節する必要があります。そのあたりが、月面のように真空かつ重力も少なく、もちろん湿気もまずない場所との違いで、かぐやなどの月衛星や望遠鏡での月面の明るさ測定と、RELAB での測定とが食い違っている原因の1つと思われます。特に、雨の多い最近は、どうしても湿気が実験室でも高めになり、測定にも影響が出ます。

空気中の水は微量ですが、水の光吸収係数は非常に大きいので、波長でいうと、1.4 と 1.9 ミクロンあたり、そして2.5ミクロンを超えるとどんどん水吸収が影響してきます。もちろん、標準試料(ヘイロンまたはスペクトラロン)と未知試料とは同じ光路長で測定されていますので、光が空気中の水で吸収される割合は同じで、割り算をすれば相殺されるはずなのですが、それら2つを測定した時に湿度の差があると、それが完全には相殺されませんし、試料の表面に水分がつくと、それも問題です。

この新しい実験室は部屋の湿度を低く一定に保てると期待していたのですが、やはり雨の日など高湿度のときは外気に影響されているようです。もちろん、そういう時には試料皿を各波長で入れ替えながら、標準試料と未知試料との時間間隔を最小限にすればよいのですが、RELAB での測定波長領域すべてでそれをすると、データ点数である 461 に(試料個数 + 1)を掛けた数という大きな回数だけ試料を動かす必要があり、それが粉末試料の状態を壊してしまう可能性があります。また、移動ステージは 0.1 mm の精度があるにもかかわらず、粗い粉や岩石チップのように表面が非均質なものは微妙な位置のずれによって反射率が変わってしまいます。

ちょっと今日は技術的な詳細に触れすぎたかもしれないので、やや政治的な話を少し。

以前お話したように、RELAB は NASA の Planetary Geology and Geophysics (PGG) という科学研究費を数年前に切られて、近年は NASA Lunar Science Institute (NLSI) のお金で運営されて来たのですが、それも終わってしまい、今年、Solar System Exploration Research Virtual Institute (SSERVI) という5年間の科研費に応募したわけですが、何と私の給料は 50% を2年間だけしか申請されていません。ということは、私が自分で科研費を取ってこない限り、来年からはブラウン大学からの給料が半減するだけでなく保険も払ってくれないことになります。ボスのカーリーは大学と何とか交渉すると言っていますが、RELAB の管理自体が今年の暮れからは新任のラルフに変わりますし、口約束というのは頼りないものです。

上画像:NASAの科研費申請のための NSPIRES という Web サイト。このスクリーンショットでは、宇宙地球科学研究公募(ROSES)の中でPlanetという言葉を含むものだけ表示してある。

NASA の科研費というのは、次のスクリーンショットにあるように、NSPIRES という Web サイトで通知および申請がされ、我々が普通申請する宇宙地球科学研究公募(ROSES)の中で Planet という言葉が含まれるものは9つあり、発表日や応募締め切り日などが書いてあります。前述のPGGも6月14日締め切りとして列記されていますね。この PGG と Outer Planets Research (OPR) と Planetary Mission Data Analysis (PMDAP) には昨年も応募したのですが、ことごとく落ちました。

今年も、昨年の教訓を踏まえ、査読者のフィードバックも考慮して PGG にまた応募します。ブラウン大の科学研究部での仮審査があるので、既に一昨日内部提出したのですが、この科研費の申請を書くというのは非常に大変なものです。現在の私の日本出張を支援している学振からの科研費は2度目で通りましたが、同じようなレベルで書いても NASA では通らないことが多いです。特に、オバマ大統領の下での社会主義的とも言える政策で、国の財政は本来投資すべきところにお金が行っていないと思います。既にアカデミアの何倍も給料をもらっている Wall Street のブローカー達を救うために貧乏科学者たちを苦しめているというのがアメリカの今の現状に見えます。

上画像:今回うまく行かずに多大の損失をうむちょっと前のAUD/CADのFX取引の様子。

それに追い討ちをかけるように、私がやってきた外貨取引で利用してきたオーストラリア・カナダドル(AUD/CAD)の相場が異常な動きを示し、私が使ってきた HedgeHunter という自動取引のプログラムは、それになすすべもなく、多額の損失をきたしました。最後の図のように、ほぼ線形的に下がっていったり上がっていったりすると、このソフトはうまく働かないのです。過去に設けた金額をすべて失ったような感じです。そもそもこのように他人の心理的行動に基づく株価や外貨為替の変動に依存した金儲けは好きではなかったので、これを機会にFXからは手を引くことにしました。もちろんまだ年金などは株にも投資していますが。今後は Uinvest で何とかがんばって自立経済を目指して行こうと思います。

これまでは、私が RELAB に居たおかげで日本の探査を含む科学研究に貢献できた場合もありましたが、今や日本が欧米と肩を並べるか、分野によっては先を行く時代なので、私がブラウン大の RELAB にいても大して役に立つとは思えません。むしろ、日本市民でありながら、競争相手の手助けをしているということになりかねません。今回の NASA 研究費申請の結果が、私の将来の方向性を決めるかもしれません。こちらでは大学の科学者たちは厳しい世界を生き抜いているのです。
 

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