ブラウン惑星人の日々 June 2014
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本年二度目の帰国!
とうとう6月も終わり7月に入っていく今、まだ梅雨の日本でしょうが、確実に真夏は近づいていますね。私も昨日は寝室にクーラーを入れました。ボストンの冬は極寒なので、二重窓にしてあり、窓にクーラーを入れるには、内側のガラス窓をはずして押入れにしまってから、クーラーを取り付けて、隙間をふさぐ必要があります。そして秋になったらそれをまた戻すという、たった2ヶ月間だけのために大変な作業が必要です。なので、夏だけクーラーを借りて取り付け取り外しもやってくれるサービスを提供している会社もあります。より簡単な床置き型でホースだけを窓から出すクーラーもありますが、やはり窓付け型の2倍くらい値段がするのと、効率が悪いようです。
さて、7月は家族が1ヶ月帰省(大阪府茨木市と岐阜県各務原市)するのに伴って、私も7月14-31日に帰国します。現在での旅程は以下のようです。上坂監督の新作のはやぶさ2映画の試写会にちょうど出られなくて残念ですが。
7月14日(月)成田着
15日(火)立川の極地研で隕石受け取り
16-18日(水-金)阪大で実験・会議
19日(土)各務原に帰省・宿泊
20日(日)犬山で夕食会、愛知の岩倉泊
21日(月)茨木の妻の実家に戻る
22-25日(火-金)阪大で実験・会議
26-27日(土-日)近畿地方で週末休み
28-30日(月-水)極地研で隕石選定、夕方に成田へ移動
31日(木)成田発
今回は、佐々木晶さんの分光器が水沢から阪大に移動した直後ということと、妻の実家の茨木から通うこともあり、阪大での予定は3+4=7日間とゆったりとってあります。はやぶさ2関係のTV会議もやれると思ったのですが、何と阪大の宇宙地球にはTV会議室がないのですね。パソコンのソフトに入れて各自やっているとか。
あと、昨年から極地研が、私の科研費の間接経費を全て取り上げてしまうようになり、また航空運賃の高騰で、年に3回の帰国には資金が足りなくなりました。7月も12月も帰国旅費の一部しかお金が出ません。それで、その約10万円くらいの毎回の赤字を埋めないといけないので、いろんな所で講演会などの機会があれば喜んで行く(交通費を出しても元が取れればですが)ようにしています。今のところ、21日の昼間(愛知から大阪へ移動中)と平日の夕方以降はまだ空いています。私の話を聞いてみたいとか顔を見てみたい(?)と思われる方はお声をおかけください。
上画像:TIAA-CREFに入れた私の年金の貯蓄高の推移
科学者になるときに覚悟は半分はしていたわけですが、こんな状況では、施設に入っている母を資金面で支えることも難しくなりそうです。自分自身や家族には年金をためているのでそれがもらえる年齢以降は大丈夫でしょうが、あと15年とか仕事が続くかどうかが問題なのと、母のように長期療養が必要な家族が増えたらこれはもう大変です。図は、私がブラウン大学を通してTIAA-CREFという会社に入れている403(b)というアカデミアの人々のための年金の推移ですが、引退時点で1億円くらい必要なのにまだまだその1/4程度しか出来ていませんね。
あと、過去に株価が大きく下がったのが2008年と2001年なので、その7年周期が繰り返すとすると、2015年になりますね。今年の6月30日に株の大暴落が起こるという噂もありますし。まあ、まだ15年ほどは下ろせない長期貯蓄ですし、株・債権・不動産そして利率を保証された証券に分散してあるので大丈夫かとも思いますが、とにかく2008年からの暴落はひどくて、投資金額よりも25%程度価値が下がってしまうという事態でした。こういう経済システムがよいのかどうか疑問に感じてしまいます。
温かな廣井ファミリー
皆様とうとう夏至を越えて、暦の上では夏の始まりですね。こちらはまだ気温がそれほど上がっていませんが、日本も東京はボストンと同様の気候のようですね。来月後半に帰国する私としては、それまでに梅雨が既に終わってカラッとした機構になっていてほしいと望むものです。最近、娘の話題ばかりでうんざりしておられる方もいるかもしれませんが、今回が最後です。長女の高校卒業および大学合格祝いで、約束していた、ボストンの日本料理店、桜花に連れて行きました。
http://www.sakurabanaboston.com/
上画像:週末の閑散としたボストンのビジネス街を通る馬車
この店は、ボストンの下町のビジネス街のど真ん中にあり、写真のように、週末は閑散とした通りを観光用の馬車が次々と通っていくのが目立つところにあります。小さいながらも、ボストンでトップの日本料理店としてランクされたこともあるもので、平日の昼食時にはビジネスマンたちが押し寄せてきて繁盛しています。我々が行ったのは、土曜日ですから、昼食時は休みで、午後4時からの回転になり、$25で食べ放題の時間帯があります。
上画像:桜花レストランの土曜日4時からの食べ放題メニュー
次の写真はそのメニューで、All You Can Eatが食べ放題という意味です。実際は飲み物やデザートは別料金で、$25に税金も付き、チップもかかりますから、$30+はかかると見ておく必要があります。今回は長女がある人から$30のギフトカードをもらったので、実際は家族4人のうち3人分の値段で済みそうです。日本の回転寿司とは違い、これらの1つ1つが$2位しますから、$25はここでは安い方です。寿司は確かにおいしいですが、緑茶はティーバッグで出しているようですし、味噌汁も人工的な味がしました。ちゃんとそれらをメモして店長に渡して置くように言付けて帰りましたが。
上画像:桜花で楽しむ私の家族
娘たちも妻もそれなりに楽しんで2時間くらいの時間をすごしたようで、次の写真はそれを物語っています。このレストランに来るのは4回目で最後は5年前の2009年で、それ以降、店は拡張され、地下にも食べるスペースができたようです。きっと繁盛しているのでしょう。食べ物は言語を超えて世界中に広まりやすいですし、和食は今や世界遺産で、追い風があるのかもしれませんね。
今、7月の帰国に向けて最終日程を作っているところです。ほとんどは阪大の佐々木晶さんのところで実験・測定をしているか会議に出ているかだと思います。週末は茨木と各務原のどちらかでゆっくりしていると思いますが。
卒業おめでとう!
上画像:ボストンラテン校の卒業式が行われた会場
初夏のような昼間の暑さと朝夕の涼しさが混在する今日この頃のボストンですが、日本はいかがでしょうか。先日月曜日には、とうとう長女の高校の卒業式がありました。さすがに全米で最古の高校だけあってか、来賓も多く、非常に盛大な卒業式です。最初の写真にあるように、ボストンのローガン空港から下町へシルバーラインというバスに乗ると途中で見える白く丸いテントのようなものがあり、1970年の昔に大阪万博で見たパビリオンのようで、実際に Blue Hills Bank Pavillion というのですが、その大きな幕の下で行われました。
上画像:卒業式の15ページにわたるパンフレット
次のスキャンと写真で見られるように、この卒業式のプログラムがまたすごくて、なんと 15 ページにもわたる冊子に、プログラムと、賞をもらった人たちの名前と、最後に 360 人以上の全員の名簿があります。バンドと合唱団が King Cotton や Lion King などを披露した後で式が始まり、卒業生代表(首席)や生徒会長の挨拶があり、校長先生のお話が続きます。
上画像:卒業証書を順にもらいに行く生徒たち
最後、次の写真にあるように、卒業証書の授与式で生徒たちが順に壇上に上がって多くの人と握手をしながら証書をもらいに行くのは日本と変わりませんが、問題は、名前が呼ばれた瞬間に、他の生徒や家族・友人などが歓声を上げて、まるで、誰が一番人気者卒業生であるかを競う大会のようになってしまっていることです。日本の、しみじみと在学中の過去を振り返り、卒業の意義を考え、別れを惜しむ荘厳な雰囲気などありません。これはアメリカの高校の、何とかすべき課題だと思います。
上画像:我々家族と娘の友達の卒業生
いずれにせよ、写真のように、私の家族も、長女の友達もこの日は楽しく無事に卒業し、青いガウンと帽子、そして帽子についた今年に固有なふさを記念に大切に保存していくことになります。我々の高校では制服と校章だけでしたが、制服のないラテン校ではこの卒業の服装が卒業生をつなぐ特別なものになるわけです。
Prize Night(奨学金授与式)
上画像:John Harvard の銅像を背景に
明日は長女の高校の卒業式ですが、それに先立ち、一昨日は Prize Night といういろんな賞や奨学金を与える式がハーバード大学でありました。仕事を早めに引き上げて、地下鉄の Red Line で Harvard Square で降りて歩いてゆくのですが、途中でついでに有名な John Harvard の銅像を背景に写真を撮りました。写真にあるように、ここはキャンパス内でも観光客の最も集まるところで、銅像の足の親指か何かに触るとハーバード大学に受かるとか言う迷信があり、そこだけ表面が剥がれててかてかに光ったりしています。
上画像:ハーバード大学のメモリアルホール
さて、会場は次の写真にあるメモリアルホール内のサンダース劇場というところです。この壮大な建物は、南北戦争で戦ったハーバードの男たちを記念して立てられたということです。Wikipedia にもその説明と写真入の記事があります。
http://en.wikipedia.org/wiki/Memorial_Hall_(Harvard_University)
上画像:プライズ・ナイトと呼ばれる賞や奨学金がもらえる式典
まずは前座でオーケストラの演奏があり、うちの長女も最前列でチェロを弾いています。二階席まで埋まったこの会場で、女性の校長先生が読み上げる数々の賞と奨学金の受賞者の名前とそれら賞の由来を説明していき、呼ばれた生徒達は順に壇上に上がって手紙と小切手を受け取ります。写真の下半分でぼけてますが退場しようとしているのが娘です。三つの賞をもらいましたが、合計で $3200 程度でした。何度も呼ばれる生徒がいて、後で尋ねると、母子家庭で経済的に苦しい生徒でした。そのように、学業などの優秀さだけでなく、経済的必要性も加味して選んでいます。
何しろ、このボストンラテンスクールは、1635年に設立された、アメリカで最も古い公立校で、米国に現存する最も古い学校です。
http://en.wikipedia.org/...
1939年に出来たハーバード大学よりも 4 年も前で、明らかにラテン校を出たエリートたちがハーバードに進むというコースがあったのでしょう。その 380 年くらいの歴史の中で、いろんな卒業生や校長先生などがいろんな基金を設立し、その利息だけでも膨大なものです。ある基金は、100 年以上前に 5 万ドルの基金が設立され、その利息だけで毎年多くの生徒に奨学金を出しています。100 年前のドルの価値はいろんな計算がありますが、今の 20~40 倍程度ではないかと思われ、当時の 5 万ドルというと 100~200 万ドルの現在価値ですから、1~2 億円ということですね。奨学金の元金としてはかなり大きなものです。年間 5% の利息としても 500~1000 万円ですから。
合計金額は $700,000 程度だったそうですが、何しろ細かく分かれていて、奨学金によっては 100 人以上が受賞する場合もあり、6時から始まった式が9時までかかりました。校長先生は、ほとんどそれらを一人で読み上げて、本当にご苦労様でした。3 人の学生は軍隊などに行くことになっていて、陸軍や海軍から代表者がその奨学金を手渡しに来ていました。例えば、卒業生たちが 100 年前から毎年基金を作ったとしたら 100 個出来るわけで、アメリカで最も古い、そして卒業生が多くハーバードに行ったエリートであったという底力を感じたときでした。日本の東大もそうなったらよいのにとも感じました。娘はハーバードには行けませんでしたが、ボストンラテン校に行けただけでも幸いだったかもしれません。
卒業シーズン後に夏休み
皆様、アメリカでは卒業シーズンでしたが、ブラウン大学も先週末に卒業式があり、有名な Emma Watson も卒業しましたね。以下に卒業式のハイライトの Youtube 画像があります。
講演とかに行くと、ブラウン大のキャンパスでエマ・ワトソンに会いましたか、という質問をよくされましたが、私はてっきりもう卒業したと思っていて、嘘をついていたことになりますね。でもまあ、本人は特別扱いされたくなかったようで、誰も知らないうちに戻って卒業していくという普通の生活がよかったのでしょう。
学生はどんどん卒業して新たな人生を歩んでいきます。惑星地質の大学院でも博士号を取っていく学生がこの春には続々出て、寂しいような嬉しいような。博士号を取ることがキャリアの出発のようなものですから、喜ばしいことですが、私の例のように、そこで分野や内容や人間関係でしくじると、一生尾を引く可能性もあります。私の場合、夜の10時まで絞られましたが、あまりそういう例は他に聞かないですね。東大の当時の先生方や、この世の人々が、私が博士号を取ったことの意義を今は感じてくれているとよいですが。。。
来週は長女の高校の最終的な手続きなどがあり、再来週は卒業式もありますし、どんどん夏休み気分になる時期です。日本への出張前から準備していた NASA Emerging Worlds の科研費は来週早々に提出し、次は、Planetary Data Archiving, Restoration, and Tools(PDART)という科研費に挑戦しようと考えています。Step 1 は7月締め切りです。これは、自分が研究するというよりも研究に役立つように既存のデータを校正したり新たなデータを集めたりというプログラムです。RELAB がしてきたことの中心はそういう活動ですが、過去にはこの科研費を取ってくる必要がありませんでした。
今年度から、NASA の惑星関係の科研費のカテゴリーが再編されたわけですが、その再編に関する Townhall meeting の資料が以下にあります。
http://www.lpi.usra.edu/...pdf
過去のカテゴリーの中でどのくらいの応募があって、どのくらい認可されたかの統計も以下にあります。
http://science.nasa.gov/...pdf
これを見ると、全体的には 20 % ちょっとの「合格率」ですが、全体として年々ジリ貧になってきていることが分かります。天下の NASA も R&A(Research & Analysis)がこのような状況では未来がないように思います。
私が思うに、倫理・学術・経済・軍事などのあらゆる面でオバマ大統領と民主党下のアメリカは下降一辺倒にあり、このまま数年続くとすれば行き先は明らかです。次の大統領選では Mitt Romney や Jeb Bush などの共和党陣営ががんばらないと、アメリカも世界も苦しむことになるのではと危惧しています。Jimmy Carter とか世界の共産化を促進した愚かな大統領の轍を踏んでいることも分からない大統領を持つ国は不幸です。もちろん、私の予言が的中しないことを望むばかりですが。