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探査機バイキング1号が見た火星
バイキング・ミッションは、オービター(軌道周回機)とランダー(着陸機)から成る2機の探査機で構成されていた。バイキング1号は975年09月09日に打ち上げられ、翌年06月19日に火星の周回軌道に入った。軌道上から着陸に適した場所が調べられ、07月20日、ランダーが北半球東部の低緯度にある衝突ベイスン(盆地)と考えられるクリュセ平原に着陸した。
クリュセ平原の眺め
ランダーから眺めたクリュセ平原の景色である。クリュセ平原は、火星の北緯 22度、西経 50度に位置している。この平原は巨大な岩石やさらさらした砂や塵で覆われた広大な低地である。
右の画像の中央に見えるのは、クリュセ平原のランドマークとなっている幅約 2 m のビッグ・ジョウと名前が付いた巨石である。石質や色は地球上の玄武岩と同じで、衝突クレーターの形成時に噴出した溶岩であるらしい。画面が赤く見えるのは、砂や岩に酸化鉄が豊富に含まれているからである。火星が赤い惑星と言われる所以である。この画像は、1976年08月30日に撮影された。
ダイナミックな眺め
オービターが撮った、タルシス高地の東側の眺めである。タルシス高地は溶岩が堆積して出来た幅 8,000 km の地形である。画面左に見える3つの黒い円は、高さが 20 km 以上もある盾状火山である。上から、アスクラエウス山、パボニス山、アルシア山である。アスクラエウス火山の右上に見えるのは、タルシス・トルスと呼ばれるドーム状の山である。太陽系最高峰のオリンパス山はタルシス高地の西端に聳えている。
画面下に見えるのは、マリナー渓谷の西端にあるノクティス・ラビリントウスと呼ばれる迷路のように谷が複雑に交錯した地形である。長さ 5,000 km 以上のマリナー渓谷は、アメリカのアリゾナ州のグランド・キャニオン(322 km)をはるかに凌ぐ壮大な峡谷系である。この画像は、1980年02月22日に撮影された。
クリュセ平原の日没
南西に向けられたランダーのカメラが捉えたクリュセ平原の日没である。この画像は、ランダー着陸の約1ヵ月後の1976年08月20日、太陽が地平線下 2度に没した、火星時間の午後07時13分に撮影された。
クレーターを囲む放射状地形
クレーターの周囲から放射状に延びるドラマチックな模様。北半球の北東部を走るカセイ峡谷に近い、直径 18 km のクレーターの噴出物が造り上げた見事な地形である。「カセイ」は日本語の火星に由来する。1976年07月12日、オービターにより撮影された。
多角形の地形
北半球の平原でよく見られる地形である。画面の地形の幅は約 5~10 km 。周囲を溝(クレバス)がとり囲んでいる。地球でもの同じ地形は見られるが、はるかに小規模である。画面は幅約 50 km の地域で、1976年07月25日、オービターにより撮影された。
チトニア・カズマ
マリナー渓谷のノクティス・ラビリントウス地域にある、急峻な断崖が連続的に連なるチトニア・カズマの片側の壁面を撮影したものである。地滑りで崩れ落ちた土砂が、深さ 6 km の谷底に堆積しているのが見える。1976年08月17日に撮影された。画面の幅は約 130 km。
水の浸食で形成された地形
赤道の南東部、マリナー渓谷の東端に近接して横たわる真珠の入り江に見られる枝分かれしたパナラ峡谷系(画面左)である。太古の火星の表面を流れていた、液体の水による浸食で形成されたものと考えられている。画像は、1976年09月13日に撮影された。
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