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IMAGE LIBRARY 太陽系 - Solar System

Modified: December 03, 2016

Mars - 火星 Chapter 1

火星には火山、峡谷、砂漠そして白い極冠があり、季節の移り変わりもある。一日の長さも地球とほぼ同じで、火星は太陽系の惑星の中で最も地球に似ている。19世紀には、表面を縦横に走る縞模様を見て、火星には乾燥した地表に水を運ぶ運河を築く高等な文明が存在していると考えた天文学者がいた。

しかし、20世紀後半の惑星探査機により、現実は似て非なる環境であることが明らかにされた。同時に、探査機が得たデータから、太古の火星には、地球のように表面を水が流れ、はるかに湿潤な環境の時期があったのではないかと考えられる多くの証拠も発見された。また、飛来した隕石から生命体の化石と思われる痕跡も発見された。NASA が打ち上げた探査機バイキングによる生物実験では、生命の存在は否定されたが、明確な結論は未来の探査に持ち越されるようであろう。

20世紀で最も多くの探査機が送り込まれ、有人探査も視野に入っている火星は、21世紀に於も人類にとって重要な惑星であり続けることは間違いない。
 

 

火星の代表的な俯瞰図

我々に最もなじみのあるダイナミックな火星の画像である。1975年08月02日に打ち上げられた探査機バイキング1号のオービターが、火星から 2,500 km 離れた所から撮影した画像のうちの 102 枚を合成して作成された。画面の中央(赤道)に沿って東西に伸びる暗い線は、長さが約 5,000 km の太陽系最大峡谷系マリナー渓谷で、左側にはタルシス・リッジ(高地)に沿っての3つの大型火山直線的に並んでいるのが見える。
 

 

探査機マリナー2号が見た歴史的な画像

火星の表面の撮影に最初に成功したのは、1962年08月27日に NASA が打ち上げた探査機マリナー2号である。火星の表面には、月と同じようにクレーターが存在することが、探査機マリナー2号の探査で明らかになった。画面は、1965年07月15日にマリナー4号が撮った史上初の火星表面のクローズアップ画像である。火星の北半球西のエリシウム平原と東のアルカディア平原の境目となる、北緯 37度、西経 187度にある幅約 330 km の地域である。白く見えるのは火星の雲である。
 

 

クレーターで覆われた表面

火星のクレーターは月のクレーターに比べて小さい。画面は、火星の南緯 24度、西経 169度のメモニア・フォッサと呼ばれる地溝に見られるクレーター群である。1965年07月15日、探査機マリナー2号が火星から 1万3,000 km の距離から撮影した。画面は、153 km x 225 km の広さに相当する。
 

 

クレーターのクローズアップ

火星のアトランティス地域にある、クレーターのクローズアップ画像である。1965年07月15日、探査機マリナー4号が 1万3,400 m の距離から撮影した 21枚の画像を合成して作られた。画面は、255 km x 296 km の広さに相当する。
 

 

マリナー9号が見た火星

1971年05月30日、火星の詳細な地形図の作製を目的とした探査機マリナー9号が打ち上げられた。マリナー9号は 350日に及ぶ探査で、火星の表面の 70 % を撮影して 7,329枚の画像を送ってきた。これ等の画像の中に、太陽系最大のマリナー渓谷と最高峰のオリンパス山が映っていた。マリナー渓谷(Valles Marineris)の名前はマリナー9号にちなんで付けられた。
 

マリナー渓谷

マリナー渓谷は、火星の赤道地帯を東西方向に 5,000 km 以上に伸びる峡谷系で、最大幅は 200 km 、深さは 7 km とアメリカグランド・キャニオンの 10倍もある。西側の幅 8,000 km もある火山性のタルシス・リッジ(高地)の隆起により誕生したと考えられている。この峡谷系の西端には、地溝により多角形状に切り裂かれたラビリントウスと呼ばれる複雑な地形がある。画面は、1972年10月に探査機マリナー9号が撮影したノクティス・ラビリントウス(南緯 6度、西経 105度)の一部である。画面の地域の幅は約 400 km ある。
 

 

オリンパス山

オリンパス山は盾状火山で、火星の基準面から 27 km の高さに聳える太陽系で最高かつ最大の火山である。オリンパス山は地球の火山と似ているが、スケールははるかに壮大で、底面の直径は 700 km と英国よりも大きく、頂上には直径 90 km のカルデラがある。画面は中央カルデラで、右端に見える窪みの直径は 30 km もある。1972年10月に撮影された。オリンパス山はタルシス地域の北西に位置している。
 

 

北極冠

1972年10月12日、探査機マリナー9号が撮影した。白く見えるのが、極冠を覆う凍結した霜である。極冠は直径約 1,000 km 。周りの暗く見える領域は、太陽光を浴びて霜が消えた斜面である。極冠の周囲はなだらかな層状の堆積物で出来ている。
 

 

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