The Planetary Society of Japan

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ハッブル宇宙望遠鏡が見た宇宙

Modified: December 03, 2016

Hubble Telescope 2007

 

2007年12月の画像

渦巻銀河 M 74(NGC 628)

最も美しく壮大な渦巻銀河の一つ、M 74 を正面からとらえた画像である。M 74(または NGC 628)は、地球から約 3,200万光年離れたうお座の方向に位置している。この渦巻銀河には、約 1,000億個の星が存在している(天の川銀河よりやや小さい)。

M 74 の中心部からは、アーム(渦巻腕)がシンメトリックに伸びており、暗いダストが暗いシルエットとして浮かび上がっている。この新しい星が誕生する領域(星生成領域)には、若い高温の星(青)の群とピンク色の電離水素(電子を失った水素原子)が散在しているのが分かる。

この画像は、2003年と2005年に撮影された画像を合成して作成された。ハッブル宇宙望遠鏡で観測できなった部分は、ハワイ島のマウナケア山頂にあるカナダーフランスーハワイ天文台の観測データを使って補われた。 Tidal Material と呼ばれる流出する星やガスやダストで結ばれた二つの銀河は、お互いの重力の作用の影響で形がゆがめられている。このタイプの銀河では、しばしば星の生成率が高まるとのことである。この画像は、2007年02月に撮影された。
 

 

2007年11月の画像

優雅にダンスする二つの銀河

二つの銀河が、優雅にダンスしているような光景である。実は、多くの星を抱える二つの銀河が、重力の相互作用で接近しつつある状態をとらえた画像である。この銀河のペアは、NGC3808(右)とこの銀河の伴銀河である NGC380A から成っていて、双方をまとめてアープ 87(Arp87)と呼ばれている。

アープ 87 は、地球から約 3億光年離れたしし座に位置している。正面からとらえられた NGC3808(渦巻銀河)の場合は、明るい星生成の領域と幾つかのちりのアームがはっきり見える。また、この銀河から星、ガス、チリが流出し、真横からとらえられた NGC3808A(渦巻銀河)を包むアームを形成しているのが分かる。

Tidal Material と呼ばれる流出する星やガスやダストで結ばれた二つの銀河は、お互いの重力の作用の影響で形がゆがめられている。このタイプの銀河では、しばしば星の生成率が高まるとのことである。この画像は、2007年02月に撮影された。
 

 

2007年10月の画像

天の川銀河の「宝石箱」と呼ばれる最も若い星々の星団

地球から約 2万光年離れたりゅうこつ座に位置する巨大星雲 NGC 3603 には、誕生したばかりの最も青く最も高温の無数の新しい星々が集まって星団を形成している。これは、新しい星々が形成する天の川銀河最大の星団で、「天の川銀河の宝石箱」と呼ばれている。この星団は、広大なガスとダストで取り囲まれている。

また、これ等の若い星々から送り出される強力な紫外線や高速の恒星風は、星団の周囲にある巨大なガスとダストの泡を吹き飛ばして星雲の中に流れ込み、この星雲の中に埋めこまれたような濃いガスの高く暗い柱(星団の下に見える)を形成する。柱の高さは数光年にも達する。こうしたガスの柱は、新しい星の孵化器である。
 

 

2007年09月の画像

様々な惑星状星雲

惑星状星雲とは、質量が太陽と同じ程度の星が、恒星進化の過程の終わりに、その外縁の物質を宇宙に放出するときに形成されるガスの雲のことで、惑星とは全く関係はない。19世紀にこの天体を発見した天文学者が、形が惑星のディスクのように見えたことからそう呼ばれるようになった。惑星状星雲がカラフルに輝くのは、星の残骸(中心部)から放出される紫外線に反応するためである。窒素は赤、水素は緑、酸素は青く輝く。

しかし、惑星状星雲の寿命はわずか 1,000年である。100億年の寿命を持つ太陽に比べると、その生涯はつかの間のことである。惑星状星雲は、年月を経るにともない拡大していく。この画像は、惑星星雲の変化を示している。He2 - 47(最左)では、小さく比較的低温の輝く窒素ガスで占められている。惑星状星雲は数千年にわたり拡大し続け、次第に大きくなって行く。そして、恒星からの紫外線が星雲のガスの内部に侵入、NGC 5315(左から二番目)の中心近くに見られるように、水素や酸素を著しく輝かせる。IC 4593(同三番目)や NGC 5307(最右)のような年老いた星雲では、いたるところが緑や青に輝く。

これ等の星雲は、地球から 6,600~7,900光年の距離に位置している。この画像は、2007年02月に撮影された。
 

 

2007年08月の画像

ベール星雲

ベール星雲は、地球から約 1,500光年離れたはくちょう座に位置している。この星雲は、数千年前に起こった超新星爆発で一生を終えた巨星の残骸である。3枚の画像は、ベール星雲の異なる領域をクローズアップで撮影したものである。ベール星雲は、天の川銀河で最も美しい星雲の一つである。

もつれあった美しいロープのように見えるのは、ガスのフィラメント(筋状の物体)で、時速 60万 km の速度で移動する爆発した星の破片が周囲に激しく衝突して衝撃波面を形成するときに放出する大量のエネルギーで生ずる。この衝撃により、星雲内の原子が励起して色鮮やかに輝く。青は酸素、緑は硫黄、そして赤は水素が励起した色である。超新星爆発の残骸は、新しい世代の星や惑星を生む原材料となる。この画像は、1994年11月及び1997年08月に撮影された画像を合成して作成された。
 

 

2007年07月の画像

矮小銀河 NGC 4449(スターバースト銀河)

矮小銀河 NGC 4449 は、地球から約 1,250万光年離れた猟犬座に位置している。この銀河の全域わたり、青白く輝く若い巨星の群(星団)が存在する。この銀河を特徴づけるのは、濃いちりで覆われた赤味を帯びた領域である。この銀河では、数十億年前から星の形成が起こっているが、現在は過去に比べて非常に高い割合で星の形成(スターバースト)が進行している。

スターバーストは通常銀河の中心で起こるが、NGC 4449 ではそのほぼ全域で見られるのが大きな特徴である。現在の割合で進んでいくと、NGC 4449 の星形成はあと 10億年で終わると考えられている。
 

 

2007年06月の画像

渦巻銀河 M 81

地球から約 1,200万光年離れたおおぐま座に位置する美しい渦巻銀河 M 81 を俯瞰した眺めである。銀河の中心部へ向かうアームの青白い部分は、星の誕生領域である。アームには、数百万年前に誕生した青白く輝く若い星々や約 600万年前に誕生した無数の星が輝いている。中央の巨大なバルジにはたくさんの古い星々が輝いているが、その明るさで視認できない。アームを包む青い帯は、若い星々が放出する紫外線で輝く水素ガスの雲である。暗い線状はダストはである。

約 300年前、M 81 は近傍の渦巻銀河とスターバースト銀河と衝突したと考えられている。M 81 は最も明るい銀河の一つで、その明るさは 6.8等級で地球から肉眼で見ることができる。この画像は、2004~2006年に撮影された多くの画像を合成して作成された。
 

 

2007年05月の画像

エータ・カリーナ星

地球から約 7,500光年離れた南天のりゅうこつ座に位置するカリーナ星雲は、幅が 400光年もある電離水素の大きな星雲である。これは、星の生死が繰り返される幅 50光年のガスとチリが渦巻く星雲の中心領域を最も詳細にとらえた画像である。

カリーナ星雲には、質量が太陽の 50 から 100倍ある少なくとも十数個の巨星が存在すると推定されている。これ等の巨星のなかで最も重く最も明るいと考えられているのが、エータ・カリーナ星(最も左側の明るい部分)である。1677年には4等星として、1843年には2等星として観測されたが、その後明るさは急速におとろえた。現在は再び明るくなり、肉眼でも見えるようになっている。エータ・カリーナ星は、その短い生涯の最終段階にある。この画像は、2005年03月から07月に撮影された 48 コマの画像を合成して作成された。
 

 

2007年04月の画像

棒渦巻銀河 NGC 1672

これは、棒渦巻銀河 NGC 1672 を正面からとらえた画像である。NGC 1672 は、地球から 6,000万光年以上離れたかじき座の方向に位置している。棒渦巻銀河のアームは、中心部の星が形成する明るい棒状の構造の両端から伸びているのが特徴である。棒渦巻銀河のアームには、銀河のディスクからのガスを中心部へ流れ込む独特のメカニズムが存在すると考えられている。このメカニズムにより、アームの領域で新しい星が誕生する。

アームを縁取っている暗い筋はダストの帯である。アームに沿って、高温で青く光る若い星々が誕生し星団を形成している。若い星の群れは、周囲の水素ガスの雲をイオン化して赤く輝かせている。NGC 1672 の前景には、天の川銀河の明るい星がダイアモンドのように輝いている。この画像は2005年08月に撮影された。
 

 

2007年03月の画像

鮮やかな木星のオーロラ

木星の独特な模様や彩りに色を添えるのは、南極と北極の上空で青く輝くオーロラである。オーロラは、太陽風の荷電粒子が強力な木星の磁場に捕捉された結果生ずる。青い色は、木星の大気中の水素原子が荷電粒子に反応したためである。画像の右下には、レッドスポットジュニアと呼ばれる小赤斑(正式名はスポット BA)が見える。昨年07月、大赤斑と小赤斑は最接近した。
 

 

2007年02月の画像

銀河の宝庫

地球から 4億5,000万光年はなれたケンタウルス座の方向に位置するエイベル SO 740 は、銀河の宝庫である。中央に見える巨大銀河は、大きさが太陽の 1,000億倍もある楕円銀河 ESO-G004 である。この楕円銀河の周囲には、多くの球状星団が小さな赤い斑点のように輝いている。球状星団とは、何十万あるいは何百万の星が密集した形がほぼ球状の星の集団である。

そのほか、大小さまざまな楕円銀河やアーム構造がはっきり見える渦巻銀河などを含む、銀河が群がっているのが分かる。この画像は、2005年01月と2006年01月に撮影された画像の合成版である。

エイブルは、2712個の銀河団を観測したジョージ・エイベルにちなんだ名前である。彼が観測した銀河団は、エイベル・カタログに収められている。
 

 

2007年01月の画像

小マゼラン雲の星形成領域

小マゼラン雲にできた空洞のような領域の中心部には、無数の若い高温の星からなる星団 NGC 602 が存在する。この空洞は、若い星々が放つ高エネルギーの放射のため星雲の外縁が浸食された結果生じた。この空洞に沿って見える数々の突起は、ちりとガスで出来た柱(象の鼻と呼ばれる)で、ここで新しい星が誕生する。

小マゼラン雲は、地球から約 19万6,000光年離れたきょしょうちょう(巨嘴鳥)座に位置しているいわゆる矮小銀河で、天の川銀河の伴銀河でもある。星の数が極端に少ない矮小銀河は、大銀河を形成する基礎材料と考えられている。この画像は、2004年07月14日に撮影された。
 

 

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