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IMAGE LIBRARY 太陽系 - Solar System

Modified: December 03, 2016

Jupiter - 木星衛星エウロパ

エウロパは直径約 3,160 km の氷でおおわれた衛星である。大きさは、月とほぼ同じである。探査機ガリレオの観測により、エウロパの謎が解き明かされようとしている。搭載された赤外線分光計の観測で、炭酸塩や硫化物のような生命の誕生に関わる物質が発見された。また、重力の測定でなどで、氷地殻の下に厚さ 100 km の液体の海洋が存在する可能性が高まっている。液体の水が存在するとすれば、生命が存在するのではないかと大きな関心が寄せられている。
 

 

エウロパの全体画像

左は、エウロパの実際の色に近い画像である。

右は、コントラストを強めた画像である。暗褐色の部分は、衝突もしくは表面と内部の物質が混じって出来た岩石質の地形を示している。極地域に見えるダークブルーは粒子の粗い氷を、ライトブルーは粒子の細かい氷を示す。表面を様々な方向に横切るリネアと呼ばれる線状地形は、氷地殻の亀裂で 3,000 km に達するものもある。画面下の明るい円形は、直径約 500 km のプイル衝突クレーターである。画像は1996年09月06日、探査機ガリレオが高度67 万7,000 km から撮影した。
 

 

線状地形のクローズアップ

表面の線状地形の拡大した画像である。
” Space Topics 2015/05/12:エウロパの暗い部分(茶縞模様)は塩かも知れない ” - 参照
 

 

代表的な地形

左はエウロパの凍った表面(幅 250 x 200 km)の画像である。コントラストを強めにしているが、表面の実際の色に近い。画面で白く見えるのは、約 1,000 km 南のプイル衝突クレーターが形成された時に飛び散った噴出物が混じった、エウロパの最も若い地形である。赤褐色の部分は、氷地殻が崩壊した時に、表面に噴き出した水蒸気により運ばれ周囲に拡散した鉱物物質が混じった地形である。支配的なブルーは氷原で、最も古い地形である。探査機ガリレオが、1996年09月~12月に撮影した画像を合成したものである。

右は、上の画像を部分的にクローズアップしたものである。筏のような形をした地形の集合体であることが分かる。画面左側の白とブルーで構成される部分は、プイル・クレーターの噴出でできた地形である。
 

 

無数の縞模様

エウロパの表面には無数の縞模様が見られる。画面左の目立つ褐色の縞は隆起地形で、凍った表面に染み出した水また一部溶解した氷が、極度の低温のために急激に凍ってできたもので、エウロパの超低温火山活動の名残であると考えられている。淡い滑らかなブルーの表面は、古い地質の地表である。濃いブルーの表面はほとんど純粋の液体の水で出来ているが、褐色の線状地形や斑点の組成ははっきりしていない。水分が蒸発した鉱物塩のようなものであろうと考えられている。この画面の横幅は約 800 km である。この画像は、1998年05月31日に、探査機ガリレイが撮影した。
 

 

サイクロイド - 海洋の証拠?

1979年に探査機ボイジャーが発見して以来、この連続した貝殻の先端ような曲線地形(サイクロイド)は謎に包まれていた。しかし、探査機ガリレオの観測により、エウロパの氷地殻下に液体の水の海洋が存在し、その潮汐力の増減で形成される地形である可能性が高まった。エウロパが木星に近づくと、木星の重力の影響で潮汐は高くなり、遠ざかると低くなるためであるらしい。太陽系で液体の水を持つ第2の天体となるのか、観測結果が待ちどうしい。この画像は、探査機ガリレオが1998年05月31日に高度2万5,000キロから撮影した画像と1996年06月28日の画像を合成したものである。
 

 

セラとスレイス - もう一つの海洋の証拠?

画面左は 1)セラと呼ばれる縦 85キロ、横 70キロの地形で、周囲の平原よりやや低い。右はハンモックのように細長い地形で 2)スレイスと呼ばれている。周囲よりもやや高い丘のような構造である。このような地形ができた理由として、1)については、硬い氷地殻を溶かした暖かい氷が表面に浮上して凍った、2)については、氷地殻の下の海洋から熱い液体の水が噴出してもとの地形の上に丘のような構造を作ったと考えられている。いずれもエウロパに海洋が存在する証拠と考えられている。この画像は、探査機ガリレオが1998年09月26日に撮影したものである。
 

 

エウロパの内部構造
(探査機ガリレオの磁力計のデータに基づくシミュレーション)

木星探査機ガリレオに搭載された磁力計のデータに基づいて推定されたエウロパの内部構造(画面左)である。金属で出来た中心核を厚い岩石質のマントルが取り囲んでいる。硬い氷地殻は薄く砕けやすい。氷地殻とマントルの間に、暖められた軟氷の層(画面右上)もしくは液体の水の層(画面右下)が存在すると考えられている。層の厚さは約7.5キロと推定されている。
 

 

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