The Planetary Society of Japan

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ハッブル宇宙望遠鏡が見た宇宙

Modified: December 03, 2016

Hubble Telescope 2003

 

2003年03月の画像

矮小銀河 NGC 1705

矮小銀河(dwarf galaxy)とは、数 10万個から数 100万個の星が存在する小さな銀河のことである。普通の銀河には少なくとも 1億個以上の星が存在する。我々の銀河系には2億個の星が存在している。矮小銀河は暗く、星の分布はまばらなため散開星団に間違われることがある。

画面は、地球から約 1660万光年離れたがか(画架)座にある不規則矮小銀河 NGC 1705 の幅 2600光年の中心領域を捉えた画像である。この領域では、若い星と年老いた星からなる数 1000個の星が輝いている。青く輝く高温の若い星は、銀河の中心部の周囲に集っている。一方、赤く光る年老いて冷たい星は、この銀河の領域全体に拡散している。NGC 1705 は、星の形成と進化を研究する格好の材料と考えられている。

矮小銀河は銀河進化の初期段階を示す天体で、渦巻銀河や楕円銀河などの銀河は、矮小銀河が合体や降着を繰返して形成されると考えられている。

NGC 1705 は約 135億年前に誕生したと考えられているが、爆発的な星形成が始ったのは比較的新しく、今から 2,600万年~3,100万年前のことである。画面は、2000年03月と11月に撮影された画像を合成したものである。
 

 

2003年02月の画像

惑星状星雲 M 27

惑星状星雲は、我々の太陽に似た星が赤色巨星から最終的に白色矮星になる間の過程で形成される。惑星状星雲 M 27 は、地球から 1,200光年彼方のこぎつね座に位置している、比較的我々に近い惑星状星雲である。M 27 はダンベル星雲とも呼ばれている。

M は、フランスの天文学者シャルル・メシエ(1730~1817)のメシエ(Messier)の頭文字を取ってつけられた。M 27 はメシエが発見した惑星状星雲である。メシエは1774年、約 100個の明るい天体を収めたメシエ・カタログを編纂した。

死に赴く中心星は、画面左上の外側に位置している。漂う雲のように見えるのは、中心星が放つガスとダストの塊で、惑星状星雲に共通して見られる特徴である。 これ等の塊は初期段階の状態で、惑星状星雲が成長するに従い様々に形を変える。大きさは太陽と冥王星の距離(平均約 59億キロメートル)に相当し、質量は地球の 3倍もある。画面に見える領域の幅は 0.8光年ある。2001年11月19日に撮影された。
 

 

2003年01月の画像

星の光とガスとダストが彩なす光の領域

地球の至近領域で、星の光とガスとダストの相互作用で出現した光の世界。画面は、地球から 16万光年離れた大マゼラン雲に位置するかじき座の星雲 DEML 106 の狭い領域である。 大マゼラン雲は、小マゼラン雲ともに天の川銀河の伴銀河である。

星雲 DEML 106 は、ぼんやりと輝く水素ガスの輝きとして画面全体に広がっている。明るく輝くピーナツのような天体は、ガスの重力収縮により新しく誕生した星雲 N 30B で、中には誕生した無数の青い高温の星が隠れている。

青い星たちが放射する強い紫外線は、星雲 N 30B のガスに含まれる水素原子から電子をひきはがすため、ガスは蛍光色に輝いて見える。

画面左のひときわ明るい星は、超高温の巨星 Henize S22 星で、 N 30B からわずかに 25光年の所に位置している。この巨星は、高密度のダストに囲まれた珍しい特殊なタイプの青い星と考えられている。このダストのために、ちょうど地球の日没時に、太陽光線が赤く見えるような現象が起こっている。

N 30B は S22 星の光を受けて輝くので、反射星雲とも呼ばれる。N 30B から見ると、S22 星は地球から見た金星の明るさの約 250倍の明るさに輝いていると考えられている。画面は、1998年11月14日と、2001年10月18日に撮影された画像を合成したものである。
 

 

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