The Planetary Society of Japan

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カール・セーガン特集

Modified: December 03, 2016

COSMOS コスモス梗概 - 「コスモス」全13話概説

 

 

第一話. 150億光年への出発

壮大な宇宙空間の中、私たちは今どこにいるのだろうか。人間はいつ、どこから来たのだろうか。

宇宙と人間を理解するために第一話で私たちは二つの大きな旅を体験します。

ひとつは宇宙空間の旅。私たちは想像の宇宙船に乗って、現代科学で知りうる宇宙空間の半分の距離から遠く地球へ向かう。毎秒30万キロ。1年に10兆キロの光のスピードで80億年かかる、はるかかなたの地球。私たちは宇宙船に乗り千億もの星が集まる星雲が、千億も散在する広大な星雲帯を通過したのち、たった一つの星雲に過ぎないわが銀河にたどり着く。2500億の星の集まり、銀河、パルサー(準星)、レッドジャイアント(赤色巨星)、バイナリー(連星)。数多くの特殊な天体や、太陽系に似た天体系をもつ多くの星と出逢いながら、宇宙船はついに太陽系に入り、巨大な月をともなう氷につつまれた冥王星や、ガスの環に囲まれた土星など8つの惑星をめぐって終着地の青く小さな天体、地球にもどる。

もう一つの旅は宇宙の始まり、原初大爆発、ビックバンから現代に至る150億年を1年365日のカレンダーに圧縮したコスミックカレンダーで体験する茫々たる時間の旅である。宇宙誕生は01月01日、人間の誕生は12月31日の夜10時30分。文字を使い出したのはほんの数秒前のことだ―――。
 

 

第二話. 宇宙の音楽

初期の地球に豊富にあったと思われる水素・水・アンモニア・メタン・硫化水素を混合して、これに放電する―――1950年、地球上のすべての生命を基本的に構成する有機分子を、アメリカの科学者ミラーは、こうしていともたやすく試験管の中でつくり出した。40億年前、太古のガスと稲妻のエネルギーによって、地球上にこれと同じような、生命の材料となる有機分が発生した。偶然にもこれらのガスは木星にも存在し、宇宙のほとんど全域に存在するものである。

今、この地球はさまざまな生命に満ち満ちている。しかし、この生命の声は宇宙の中の唯一の声なのだろうか?それとも宇宙にはもっと他に、10億の異なった声があるのだろうか?

第二話では、コンピュータアニメや細胞の特殊撮影を駆使して、地球の生命の発生と進化の驚くべき過程が説明され、さらに、地球以外の生命が探求されます。
 

 

第三話. 天空の調和を求めて

太陽ではない!地球が太陽をまわっているのだ―――協会の権威に抗して、文字どおり天と地をひっくり返す法則を解明したコペルニクス。円周ではない!惑星は長円を描いてまわっているのだ―――惑星軌道に関する法則を次々に明らかにしたケプラー。彼らの発見した法則のもとで、一定の惑星軌道を保ちつづける宇宙。

第3話では、宇宙の法則を発見した科学者がドラマティックに登場し、太陽系の構造や惑星軌道を解明していきます。また、もし、万有引力の法則が少しでも変わったら地球はどうなるか、コンピュータアニメで興味深い仮説をお目にかけます。
 

 

第四話:天国と地獄

1908年、中央シベリアに巨大な火の玉が落下し、大爆発。大災害を引き起こすという事件があった。その衝撃波は地球を2回まわり、多数の細かいチリが地球をおおった。これはツングースカの事件として知られる彗星の大衝突事故である。美しく穏やかな天体、地球も、時としてこのようなアクシデントに見舞われる。また、気候の地軸の変動もしばしば起こる。地球は潜在的に不安定なのである。

第4話では、彗星や流星の襲来、月のクレーター、火星の氷河、金星の灼熱地獄など、太陽系惑星間に起きているさまざまな破壊的現象を地球と対比しながら見ていきます。

そして、セーガン博士は「地球は小さな壊れやすい天体です。特に他の天体と比べ、地球では人間という知的生物が自然を変え、環境を汚染し、天体破壊者になる可能性が強い」と訴えます。
 

 

第五話. 赤い星の秘密

赤く輝く火星は私たち地球に最も近い星として、ふるくから空想と、そして論争の絶好の標的だった。H・G・ウェルズが考えたタコのような火星人。ローウェルが信じた運河の存在。生物はいるのか、いないのか・・・。

第5話で私たちは、せーガン博士とともにこの赤い星の表面に降下します。バイキングが撮影した写真やデータにもとづいて、一つ一つ明らかにされる火星の謎。精巧な模型と NASA の写真を使った特殊効果によって、いかにも火星に降り立っているかのようなトリックシーンが現れ、私たちは赤い地表に立って、この火星は誰のものか、多数の探査機がここを走りまわったら火星はどんなことになるだろうか、最近を地球につれ帰る恐れはないのだろうか、そんな問題を合わせてとりあげます。
 

 

第六話. 大航海物語

私たちの歴史が“探検と冒険”の時代と呼んでいる17世紀。オランダでは航海術と天文学が一気に花開き、近代的な宇宙観を発展させていた。この大航海時代のスピリットを今に受け継いでいるのが、現代の宇宙帆船ボイジャーといえる。広大な太陽系へ―――。今、人間が海に向かって出帆するときが来た。

第6話では、NASA のボイジャー計画の拠点である JPL(ジェット推進研究所)を訪ね、宇宙探検の苦闘の歴史をたどるとともに、ボイジャーが捉えた最新の天文学データを駆使して、木星、土星、あるいはそれらの衛星で、地球外で初の活火山が発見されたイオ、地球に非常によく似た環境をもつタイタンの謎に迫る。そして、想像の宇宙船に乗って、太陽系の宇宙への航海へと旅立ちます。
 

 

第七話. 天のかがり火

星は空のたき火だ。いや天上をおおう獣皮の穴だ。―――古来、人々は星についていろいろな思いをめぐらせた。銀河についても、ブッシュマンは“夜の背骨”と呼び、ギリシャでは“天の女神ヘラの乳(ミルキーウェイ)”であると・・・。こうした空想や神話に最初の科学の光をあてたのは、紀元前6世紀、エーゲ海のサモス島を中心に栄えた古代イオニア人たちである。

第7話では、このサモス島を訪ね、宇宙の支配原理は観察と実験によって明らかになると信じた世界最初の科学者たち―――ピラミッドの高さを測る方法を考えたターレス、日時計や宇宙儀を作ったアナリシマンダー、原始を発見したデモクリトウス、月の相や食についての理論を考えたアナクサゴラスら、イオニア派の科学の実証を試みながら、「星とは何か?」が興味深く解明されます。
 

 

第八話. 時間と空間の旅

地球から土星までは光の速さで80分。天の川の中心までは3万年かかる。私たちが目にするアンドロメダ星雲の光は、200万年前にそこを出発したものだ。現在最も速い宇宙船ボイジャーの速度が光速の1万分の1という点から考えても、宇宙は気の遠くなるような広さである。この広大な宇宙を旅するにはアインシュタインの理論を抜きにしては語れない。

1899年代のイタリアに、つまらない質問をしすぎるとして学校を退学になった一人の少年がいた。この少年が、のちに光速の謎に挑み、時間と空間の2次元的な概念を革命的に変えてしまったアインシュタインである。

第8話では、相対性理論をわかりやすく解説し、果たして光速に迫る方法はあるのか、他の恒星への旅は可能か、またタイムマシンはありうるかなどについて考えます。
 

 

第九話. 星の誕生と死

宇宙の99%は二つの単純な元素、水素とヘリウムから成っている。星はこの二つの元素の核融合から生まれるが、実にさまざまな段階、さまざまな形態をたどる。

ある星は、一定のリズムで電波を放つ宇宙の燈台のような“パルサー”に。またある星は、驚くべき重力のために、あらゆるものを引力で呑み込み、光さえ外へ出られないという“ブラックホール”に。なかでも興味深いのは“超新星”。大きな星はその一生の最後に近づくと、太陽の一億倍以上に明るく輝き、大爆発を起こす。1054年、カニ座星雲から生まれた超新星は中国人とアメリカ原住民によって記録されている。しかし三ヶ月にわたって、満月のように明るく光り輝いていたにもかかわらず、ヨーロッパではまったく記録が残っていない。これは何故か?
 

 

第十話. 未来への手紙

知的生物とは何か・それはどのようにして進化してきたのか―――?何億年も前、私たちの祖先は魚であった。それが両棲類になり、ハチュウ類になり、哺乳類になり、霊長類になった。しかし今日まで生き残った生物の種類はわずか0.1%に過ぎない。

進化の大きな原動力になったのは、遺伝子と頭脳の働きによる知識の発達である。人間の遺伝子は1000冊の本に、頭脳は約20万冊の本に匹敵する情報を貯蔵している。こうした知性のメカニズムによって、人類は生きのびてきた。そして今、私たちは未来に向かって新しい進化の第一歩―――地球外知的生物との交信―――に踏み出そうとしている。太陽系の外へと突き進んでいるボイジャーに託された2枚の金のレコード。そこには、未知の文明にあてた地球人のメッセージと地球の言葉や音楽や写真が記されている。
 

 

第十二話. 宇宙人のメッセージ

この銀河系宇宙には1兆以上の星がある。そのうち生命が存在すると思われる星は約1億。高度な文明社会が存在すると思われる星は数100万・・・。第12話でせーガン博士は、ある数式を用いてこうした興味ある数字をはじき出してみせる。では、未知の文明との“最初の接触”はどんなかたちになるだろうか?

プエルトリコのアレシボ天文台にあるラジオ望遠鏡は、1万5000光年離れた惑星と電波による交信が可能である。つまり星間の最初のコミュニケーションは、このラジオ電波による受信というケースだ。ではこの “ 電波によるロゼッタストーン ” はどのようにして解読するか。ここで、元素のスペクトルや、光の速度や、原子の量子力学といった宇宙世界共通の物理上の法則が、私たちと異星人との共通の言語になるという理論が展開される。
 

 

第十三話. 地球の運命

数百万年前には、人類はいなかった。今から数百万年経ったら何がいるだろう。10億年前には、単細胞の生物とその単純な集団が太古の海に浮かんでいた。10億年経ったら、誰がここにいるだろう。

最終回では、過去12回のエピソードのハイライトを思い返すと同時に、改めて、宇宙家族の一員としての私たちの未来について考えてみます。地球と人間はどこへ向かっていくのでしょうか?
 

第十一話が、ウェブでは欠落しておりました。旧協会ライブラリーにて捜索中です。

 

衛星生中継. ボイジャー1号土星大接近

ボイジャー1号は1977年08月に地球を出発。

すでに火星の軌道を越え、小惑星群を通り抜け、木星とその衛星のわきを通過。この11月に土星に再接近する。そして有名な土星の環境、謎と神秘に満ちた衛星群を観測する。

「コスモス(宇宙)」全13話のシリーズに引きつづき放映されるもうひとつのビッグドラマが、この「ボイジャー1号土星大接近」の衛星生中継だ。

ボイジャー1号が探査した土星情報は、80分47秒かかって、米カリフォルニア州パサディナにある JPL(ジェット推進研究所)で受信される。ここでボイジャー計画のプロジェクトチームにより分析され、数時間後にカラー写真となって発表される。番組では、この刻々のドラマを JPL と日本の両スタジオを結んで、リアルタイムで衛星生中継する。

ボイジャー計画ではすでに、木星の衛星イオで、地球外では初の活火山を発見するといった大成果をあげているが、今回注目されるのは、土製の環の探査もさることながら、土星最大の衛星タイタンに7000キロ足らずのところまで大接近することである。このタイタンは地球に非常によく似た環境をもち、生命の存在が最有望視されているところである。
 

 

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