NASA 小惑星探査支援ウェブ
Image Credit: NASA
December 02, 2024 Latest.
打ち上げ中止を経て、ハリケーン通過後の評価から打ち上げ日再設定、打ち上げ開始、太陽電池アレイの展開までを速報した NASA Blog からの和訳と、補足情報を加味して記します。10日(EDT)から膨大な数に上りますので、一つずつ、プロセスを目に浮かべながら、さらには10数年に渡り期待を込めた当方の思いと記憶を確認しながら書き記したいと思います。数日かかると思いますので時折閲覧をして頂ければ嬉しいです。
以下打ち上げ完了までの記事、上から時系列で新しい順に修正しました。
原文 : October 14, 2024 : Solar Arrays on NASA´s Europa Clipper Fully Deployed in Space
南カリフォルニアにある NASA JPL(ジェット推進研究所)のエウロパ・クリッパー・ミッション・コントローラーは、二枚の太陽電池アレイが完全に展開したことを確認した。これは、探査機が木星までの残りの旅と木星系を周回するための電力源を得たことを意味する。
このプロセスは、太陽電池アレイを探査機の側面に折り畳んだ状態を保持するホールド・ダウンを切断し、一度に一枚の「翼」を広げることから始まった。各翼の長さは 46 フィート半(14 メートル)で、エウロパ・クリッパー探査機の太陽電池アレイは、NASA が惑星ミッション用に開発した中では最大のものである。
日時 : 日本時間10月15日01時06分
原文 : October 14, 2024 : Live Coverage for NASA´s Europa Clipper Begins
原文 : October 13, 2024 : NASA, SpaceX Complete Europa Clipper Mission´s Launch Readiness Review
NASA は EDT 13日午後05時から、エウロパ・クリッパー・ミッションに関する打ち上げ前のメディア向け電話会議を開催する。これに先立ち、NASA と SpaceX は打ち上げ準備審査を完了し、木星の氷衛星エウロパの詳細な科学調査を行う探査機の打ち上げに「GO」を出した。
打ち上げ前テレビ会議の模様は、NASA のウェブサイトでライブ配信される。参加者は以下の通り。
Jim Free(ジム・フリー)NASA 副長官
Sandra Connelly(サンドラ・コネリー)NASA 本部科学ミッション本部副本部長
Jordan Evans(ジョーダン・エヴァンス)プロジェクト・マネージャー、NASA JPL
Tim Dunn(ティム・ダン)NASA ローンチ・サービス・プログラム・ディレクター
Julianna Scheiman(ジュリアナ・シャイマン)Space X 社 NASA 科学ミッション・ディレクター
Mike McAleenan(マイク・マカリーナン)米宇宙軍第 45 気象戦隊打ち上げ気象担当官
米宇宙軍スペース・ローンチ・デルタ 45 気象中隊の気象予報士は、発射場 39A から10月14日(月)午後12時06分(JST 15日午前01時06分)を目標に打ち上げられるエウロパ・ミッションについて、95% の確率で良好な気象条件が得られると予測している。
原文 : October 12, 2024 : NASA, SpaceX Set Launch Readiness Review for Europa Clipper Mission
NASA と SpaceX は、10月14日(月)までを目標とするエウロパ・クリッパー・ミッションの打ち上げに先立ち、10月13日(日)午後1時(東部夏時間)に打ち上げ準備審査を実施する計画を進めている。チームは、ファルコン・ヘビー・ロケットの技術的な準備態勢を再確認し、ハリケーン「ミルトン」後の打ち上げ準備態勢の評価を継続するため、10月13日の打ち上げの可能性を消去した。
NASA は12日遅くに、打ち上げ前と打ち上げ活動の詳細について最新のメディア・アドバイザリを発表した。
原文 : October 11, 2024 : NASA, SpaceX Targeting NET Oct. 14 for Europa Clipper Launch
NASA と SpaceX は現在、エウロパ・クリッパーの打ち上げを10月14日(月)までに行うことを目標としている。ハリケーン「ミルトン」の後、各チームは飛行準備を確実にするための調査を続けている。
原文 : October 10, 2024 : NASA Begins Post-Hurricane Milton Assessments at Kennedy
フロリダ州にある NASA KSC(ケネディ宇宙センター)は、ハリケーン「ミルトン」の接近に伴い、現在も閉鎖されている。
NASA がハリケーン通過後の評価と復旧プロセスを開始するにあたり、嵐の影響を受けたすべての人々の安全が最優先事項であることに変わりはない。
風が安全なレベルまで収まると、センターのライドアウト・チームとエンジニアリング・チームは、橋が安全で使用可能であることを確認するための初期点検を開始した。その後、より大規模な評価チームがセンター全体を徹底的にチェックする。
エウロパ・クリッパー打ち上げチームは、NASA と SpaceX のチームが評価を実施し、打ち上げが安全であることを確認できた時点で、正式な打ち上げ日の決定を予定している。各チームは、10月13日(日)よりも早く打ち上げられる機会を捕えるべく取り組んでいる。ミッションは11月06日(EDT)まで打ち上げの機会がある。
NASA は、クリッパーの打ち上げ機会に関する詳細情報を入手可能になり次第、順次公開する。
地球海洋の二倍の大きさの氷下海洋を持つ木星衛星エウロパは、生命存在に適した条件を持つ可能性を秘めています。しかし、極寒の気温と木星の放射線が表面に直接及ぼすノンストップの衝撃は、手を出すには非常に難しいターゲットです。ミッションエンジニアと科学者は、放射線に耐えるのに十分な強度を持ちながら、衛星エウロパの環境を調査するために必要なサイエンスを収集するのに十分な感度を持つ宇宙機を設計する必要がありました。
エウロパ・クリッパー・オービターは、木星を楕円軌道で周回しながら急降下し、各回実施される衛星エウロパへの近接フライバイで詳細な観測を行います。サイエンス項目には、氷表面下海洋の測定データの蓄積、表面構造組成とマッピング、および氷の地殻から放出されている可能性がある水蒸気のプリュームの探査などが含まれています。
エウロパ・クリッパーは、木星の氷衛星エウロパの研究に特化した初めてのミッションで、エウロパは太陽系で地球以外の生命に適した環境を見つけるのに最も有望な場所のひとつである。凍った表面の氷殻下には地球規模の水の海があることを示す証拠があり、科学者たちは生命を維持するのに適した化学的性質とエネルギーがあるかどうかを知りたいと考える。
エウロパ・クリッパーは、九つの観測装置と重力実験を搭載している。木星を周回し、エウロパを 49 回フライバイして、科学者が衛星の層状・形成物質、組成、内部を理解するのに役立つデータを収集する。生命探査ではないが、エウロパ・クリッパーは衛星の潜在的居住性に関する重要な疑問に答えるだろう。
Source: NASA/JPL-Caltech/KSC/APL. Published: September 18, 2024
謎に包まれた木星氷衛星に生命が誕生するのに適した要素があるかどうかを見極めようとする巨大な宇宙機を作るには何が必要なのか? このビデオでは、NASA のエウロパ・クリッパー・ミッションに携わる五人のエンジニアが、宇宙機の通信システムの構築から、探査機として宇宙での科学目標を達成するための厳しいテストまで、その舞台裏を垣間見ることができる。
September 23, 2024 NASA Europa clipper News&Video 日本語訳解説
以下は打ち上げイベントまでの主なトピックスです。
NASA Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)探査機は、NASA が惑星探査ミッションのために建造したこれまでの宇宙機の中で最大のもので、フロリダの KSC(ケネディ宇宙センター)から打ち上げられ、18 億マイル(29 億キロメートル)を旅して、木星を周回する興味深い氷衛星エウロパを目指す。探査機の打ち上げ期間は本年10月10日木曜日から始まる。
これまでの NASA のミッションで得られたエウロパの科学データは、衛星の凍った表面の氷殻下に巨大な塩分を含んだ海が存在するという強力な証拠を科学者たちに提供してきた。エウロパ・クリッパー探査機は木星を周回し、49 回の接近飛行を行い、衛星の分厚い凍土の下に生命を維持できる場所があるかどうかを判断するのに必要なデータを収集する。
このミッションについて知っておくべき八つのことを紹介しよう。
「これらは、欠陥を見つけるための最後の大きなテストだった」
「チームのエンジニアは、よく設計された挑戦的な一連のテストを実行した。我々が発見したものは、宇宙機が打ち上げ中と打ち上げ後に遭遇する環境に対応できるということだ。システムは非常によく機能し、期待通りに動作したよ」
以上、プロジェクト・マネージャーである JPL の Jordan Evans(ジョーダン・エバンス)氏の感想です。
エウロパ・クリッパー探査機、地球上に創られた "宇宙空間 "での生存を確認
プレートには、米国の詩人 Ada Limón(エイダ・リモン)が手書きで書いた「In Praise of Mystery: エウロパに捧げる詩」とともに、一般から寄せられた 260 万人以上の名前がステンシルされたシリコン・マイクロチップが貼り付けられています。このマイクロチップは、NASA が実施した「“Message in a Bottle”(メッセージ・イン・ア・ボトル)」キャンペーンにちなんだ、木星系に浮かぶボトルのイラストの中心に配置されています。
エウロパ探査機、Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)に積載のメッセージデザインを発表
木星は地球の 2 万倍も強い巨大な磁場に囲まれている。磁場が回転すると、荷電粒子が捕獲・加速され、宇宙機を損傷させる放射線が発生する。ミッション・エンジニアは、放射線から敏感な電子機器を保護するために宇宙機の「機器保管庫」を設置し、エウロパ・クリッパーが木星周辺の放射線が多い場所に滞在する時間を調整する軌道をデザインした。
September 17, 2024 JPL News (Ja) 日本語訳解説
エウロパクリッパーなどのミッションは、宇宙生物学の分野、つまり私たちにとって既知である生命が存在する可能性のある遠い氷世界の変数と条件に関する学際的な研究への貢献を促す。エウロパクリッパーは生命探査ミッションではないが、木星衛星エウロパの詳細な観測を行い、氷下に海洋がある氷衛星に、生命を維持する能力があるかどうかを調べる。エウロパの生命居住性を理解することは、科学者が地球上で生命がどのように発達したか、そして我々の惑星地球外において生命発見の可能性についての理解を向上させる。
カリフォルニア工科大学がカリフォルニア州パサデナで管理している JPL は、ワシントンにある NASA の科学ミッション局の APL と協力して、エウロパクリッパーミッションの開発を主導している。アラバマ州ハンツビルにある NASA のマーシャル宇宙飛行センターにある惑星ミッションプログラムオフィスは、エウロパクリッパーミッションのプログラム管理を実行する。
Europa Clipper ミッションの詳細 - 当ウェブ日本語
November 07, 2024 : 木星と衛星エウロパの内部における潮汐効果研究
October 14, 2024 : エウロパ・クリッパー探査機、太陽電池アレイの展開を完了
October 10, 2024 : ハリケーン接近に備え、エウロパ・クリッパーを保護し、打ち上げは延期
September 23, 2024 : エウロパ・クリッパー・ミッションのエンジニアにスポットを当てた新しいビデオ・シリーズ
September 17, 2024 : エウロパ・クリッパー探査機について知っておくべき八つのこと
August 27, 2024 : エウロパ・クリッパー探査機、超大型太陽電池アレイの取り付け完了
May 31, 2024 : Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)探査機、フロリダで封印が解かれる
May 24, 2024 : エウロパ・クリッパー宇宙機が、フロリダに着陸
March 27, 2024 : エウロパ・クリッパー探査機、地球上に創られた "宇宙空間 "での生存を確認
March 08, 2024 : エウロパ・クリッパーに積載のメッセージ・デザインを発表
January 30, 2024 : NASA Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)観測機器がすべて搭載される
November 13, 2023 : NASA Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)へあなたの名前を搭載、締め切りまであと六週間
October 24, 2023 : NASA はどのようにして Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)探査機を木星の強力な磁場から護るのか
September 11, 2023 : エウロパクリッパーと地球のホットライン:ハイゲイン・アンテナ据え付け完了
May 02, 2023 : 木星圏探査機 Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)製作過程をビデオシリーズで公開
April 14, 2023 : 表面氷殻の揺れが表層滑りを誘発する氷衛星での衛星震(地震に相当)
March 13, 2023 : エウロパの表面氷殻の回転に氷殻下海洋流が影響している可能性があるとの研究結果が発表される
November 23, 2022 : NASA 氷衛星探査 Europa Clipper「エウロパ・クリッパーが、深宇宙をドライブするための車輪を手に入れた」
October 11, 2022 : NASA 氷衛星探査 Europa Clipper「エウロパの氷殻下にある浅い湖でプリューム噴出の可能性を NASA の研究が示唆」
June 07, 2022 : NASA 氷衛星探査 Europa Clipper「エウロパ・クリッパーの探査機本体が完成」
April 25, 2022 : NASA 氷衛星探査 Europa Clipper「グリーンランドの氷床と木星衛星エウロパが同じような特徴を持つ」
March 03, 2022 : NASA 氷衛星探査 Europa Clipper「エウロパ・クリッパー探査機の組み立て作業が本番を迎える」
April 01, 2021 : NASA 氷衛星探査 Europa Clipper「エウロパクリッパー宇宙機完成に向けて」
November 13, 2020 : 木星衛星エウロパのプリューム噴出が氷殻に溜まった水である可能性
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