NASA 氷衛星探査機 Europa Clipper「ハリケーン接近に備え、エウロパ・クリッパーを保護し、打ち上げは延期」

原文 : October 06, 2024 : NASA, SpaceX Secure Europa Clipper Ahead of Hurricane
 

NASA とスペース X 社は、10月10日(木)に予定されているエウロパ・クリッパー・ミッションの打ち上げを中止する。ハリケーン 「ミルトン 」は、今週メキシコ湾からスペース・コーストの東に移動すると予想されている。フロリダ東海岸のケープカナベラルとメリット・アイランド地域では強風と大雨が予想されている。打ち上げチームは、エウロパ・クリッパー宇宙機を、フロリダのケネディ宇宙センターの打ち上げ施設 39A にあるスペース X の格納庫に固定し、日曜日からはハリケーン対策を開始した。

「打ち上げチームの人員の安全は我々の最優先事項であり、エウロパ・クリッパー宇宙機を保護するためにあらゆる予防措置が取られる」とローンチ・サービス・プログラムのシニア・ディレクターである Tim Dunn(ティム・ダン)は述べた。

10月04日、作業者はエウロパ・クリッパー宇宙機をケネディ宇宙センターのペイロード・ハザード・サービス施設から格納庫内のスペース X ファルコン・ヘビーロケットに運び、木星の氷衛星への旅に向けた最終打ち上げ準備を行った。エウロパ・クリッパーの打ち上げ期間は10月10日から始まり、11月6日水曜日まで打ち上げの機会がある。

嵐が過ぎ去ると、復旧チームが宇宙港の安全性を評価し、作業者が仕事に戻る。その後、打上げチームが打上げ処理施設に嵐によるダメージがないかを評価する。

「オールクリア」が確認され、施設の評価と復旧作業が行われた後、このミッションの次の打ち上げ機会が決定される。
 



NASA 氷衛星探査機 Europa Clipper「エウロパ・クリッパー探査機、格納庫に輸送される」

原文 : October 06, 2024 : NASA´s Europa Clipper Spacecraft Transported to Hangar
 

10月04日金曜日、作業者たちは打ち上げ準備のため、エウロパ・クリッパー探査機をフロリダのケネディ宇宙センター(KSC)内にある発射施設 39A のスペース X 社格納庫に運んだ。

その週の初めに、技術者たちは NASA KSC のペイロード・ハザード・サービス施設で、ペイロード・フェアリング内に宇宙機を格納した。フェアリングは打ち上げ時の空気力学的圧力と熱から宇宙船を保護し、最終的には分離して地球に落下する。

間もなく、技術者たちは打ち上げ準備のために宇宙船をスペース X 社のファルコン・ヘビー・ロケットに結合してロケットを発射台まで移送し、打ち上げに先立って垂直に持ち上げる。エウロパ・クリッパーの打ち上げ期間は、日本時間10月10日木曜日午後12時31分に始まる。
 



NASA 氷衛星探査機 Europa Clipper「エウロパ・クリッパー、各チームが飛行準備審査を実施」

原文 : October 04, 2024 : Teams Hold Flight Readiness Review for NASA´s Europa Clipper
 

NASA、スペース X 社、エウロパ・クリッパーのミッション・マネージャーは、10月04日にフロリダ州ケネディ宇宙センター(KSC)で飛行準備審査会を開催した。レビューの中で各チームは、ミッションの状況について最新情報を提供し、最終的な打ち上げ準備活動を開始する準備ができていることを認定した。エウロパ・クリッパーは、ケネディの発射場 39A からスペース X 社のファルコン・ヘビーで打ち上げられる。

エウロパ・クリッパーの主な科学目標は、木星の氷の衛星エウロパの表面氷殻下が生命を維持できる環境であるかどうかを調べることである。このミッションの主な科学目標は、エウロパの氷の殻とその下にある海の性質を、月の組成と形成層構造とともに理解することである。このエウロパの詳細な探査は、私たちの惑星以外の生命存在可能な世界の宇宙生物学的可能性を科学者がよりよく理解するのに役立つだろう。

2030年に目的地に到着すると、エウロパ・クリッパーは木星の氷衛星エウロパの接近フライバイを数十回行い、衛星を調査するための詳細なデータを収集する。木星の周回軌道にある探査機は、衛星表面から 16 マイル(25 キロメートル)という低高度で接近フライバイを行い、フライバイのたびに異なる場所の上空に舞い上がって衛星のほぼ全球をスキャンする。

エウロパ・クリッパーの打ち上げウィンドウは、EDT 10月10日木曜日午後12時31分に開く。

カリフォルニア州パサデナのカリフォルニア工科大学が管理する NASA JPL は、メリーランド州ローレルのジョンズ・ホプキンス応用物理学研究所(APL)と提携し、ワシントンの NASA 科学ミッション本部のためにエウロパ・クリッパー・ミッションの開発を主導している。宇宙船本体は JPL とメリーランド州グリーンベルトにある NASA ゴダード宇宙飛行センターと共同で APL が設計した。アラバマ州ハンツビルにある NASA マーシャル宇宙飛行センターの惑星ミッション・プログラム・オフィスが、エウロパ・クリッパー・ミッションのプログラム・マネジメントを実施している。

KSC を拠点とする NASA の打ち上げサービスプログラムは、エウロパ・クリッパー探査機の打ち上げサービスを管理している。
 

More About the Mission(ミッションの詳細)

エウロパクリッパーなどのミッションは、宇宙生物学の分野、つまり私たちにとって既知である生命が存在する可能性のある遠い氷世界の変数と条件に関する学際的な研究への貢献を促す。エウロパクリッパーは生命探査ミッションではないが、木星衛星エウロパの詳細な観測を行い、氷下に海洋がある氷衛星に、生命を維持する能力があるかどうかを調べる。エウロパの生命居住性を理解することは、科学者が地球上で生命がどのように発達したか、そして我々の惑星地球外において生命発見の可能性についての理解を向上させる。

カリフォルニア工科大学がカリフォルニア州パサデナで管理している JPL は、ワシントンにある NASA の科学ミッション局の APL と協力して、エウロパクリッパーミッションの開発を主導している。アラバマ州ハンツビルにある NASA のマーシャル宇宙飛行センターにある惑星ミッションプログラムオフィスは、エウロパクリッパーミッションのプログラム管理を実行する。

エウロパクリッパーの詳細については、以下を参照いただきたい。

NASA's Europa Clipper
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office