NASA 氷衛星探査機 Europa Clipper「Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)探査機、フロリダで封印が解かれる」

原文 : May 31, 2024 : NASA´s Europa Clipper Unpacks in Florida
 

NASA Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)探査機が05月28日、フロリダ州ケネディ宇宙センター(KSC)の Payload Hazardous Servicing Facility(ペイロード・ハザード・サーヴィシング施設、PHSF)に到着し、作業クルーがコンテナから吊り上げた。
 

Imahe caption :
2024年05月28日、打ち上げ前処理の一環として、NASA 最大の惑星探査ミッション宇宙機エウロパ・クリッパーを垂直姿勢に回転させる準備をするフロリダ州ケネディ宇宙センター(KSC)のペイロード・ハザード・サービス・ファシリティ内の技術者たち。
Credit : NASA/Kim Shiflett
 

木星の氷衛星エウロパにおいて生命が存在・維持できるかどうかを科学者が判断するためのデータを収集する目的で打ち上げられる Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)探査機は、アメリカ空軍の C-17 グローブマスター III 貨物機によって05月23日に KSC の発射・着陸施設に空輸された。このハードウェアは、組み立てが行われた南カリフォルニアの NASA JPL(ジェット推進研究所)から 2,500 マイル以上の移動となった。チームはエウロパ・クリッパー探査機を PHSF に運び、高利得アンテナの取り付け、探査機に電力を供給するための太陽電池アレイの取り付け、探査機を目的地まで導くための推進剤の積み込みなど、打ち上げに向けたさまざまな作業を行う。

探査機内には、エウロパ・クリッパーが木星の衛星を約 50 回ほど接近フライバイさせる間に、詳細な測定を行うための 9 基の科学機器が搭載されている。これまでの調査によると、エウロパの氷でできた殻の下には、地球の全海洋の二倍の体積ほどの海が存在する可能性が示唆されている。

エウロパ・クリッパー探査機は、NASA KSC のLaunch Complex(発射場)39A からスペース X 社のファルコン・ヘビーロケットで打ち上げられる。打ち上げウィンドウは10月10日木曜日から開かれる。

カリフォルニア州パサデナのカリフォルニア工科大学が管理する NASA JPL は、メリーランド州ローレルのジョンズ・ホプキンス応用物理学研究所(APL)と提携し、ワシントンの NASA 科学ミッション本部のためにエウロパ・クリッパー・ミッションの開発を主導している。宇宙船本体は JPL とメリーランド州グリーンベルトにある NASA ゴダード宇宙飛行センターと共同で APL が設計した。アラバマ州ハンツビルにある NASA マーシャル宇宙飛行センターの惑星ミッション・プログラム・オフィスが、エウロパ・クリッパー・ミッションのプログラム・マネジメントを実施している。

KSC を拠点とする NASA の打ち上げサービスプログラムは、エウロパ・クリッパー探査機の打ち上げサービスを管理している。
 

More About the Mission(ミッションの詳細)

エウロパクリッパーなどのミッションは、宇宙生物学の分野、つまり私たちにとって既知である生命が存在する可能性のある遠い氷世界の変数と条件に関する学際的な研究への貢献を促す。エウロパクリッパーは生命探査ミッションではないが、木星衛星エウロパの詳細な観測を行い、氷下に海洋がある氷衛星に、生命を維持する能力があるかどうかを調べる。エウロパの生命居住性を理解することは、科学者が地球上で生命がどのように発達したか、そして我々の惑星地球外において生命発見の可能性についての理解を向上させる。

カリフォルニア工科大学がカリフォルニア州パサデナで管理している JPL は、ワシントンにある NASA の科学ミッション局の APL と協力して、エウロパクリッパーミッションの開発を主導している。アラバマ州ハンツビルにある NASA のマーシャル宇宙飛行センターにある惑星ミッションプログラムオフィスは、エウロパクリッパーミッションのプログラム管理を実行する。

エウロパクリッパーの詳細については、以下を参照いただきたい。

NASA's Europa Clipper
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office