地球スイングバイ以降の主なトピックス
 

2020年04月13日の地球接近による重力アシストの成功から二年が経ちました。観測キャンペーンに特化した本ウェブ紙でしたので、その後の更新は停止しておりましたが、06月23日の二回目となる水星スイングバイに際して、観測キャンペーンの実施が検討されております。そのため(汗)、ウェブ担当の筆者が慌ててウェブ紙の更新に乗り出したという次第でございます。

以下に、地球スイングバイ以降の主な記事を「みお」サイトから拾ってきました。リンクは総て ISAS ウェブを開きます。画像の出典は総て「ISAS/JAXA」となります。
 


2020年04月以降の「みお」の足跡
 


「ベピコロンボ」ついに水星へ接近 ~1回目の水星スイングバイを実施~

2021年10月2日に打ち上げ来初めてとなる水星スイングバイを実施しました。探査機は同日の8時34分42秒(日本時間)に最接近高度199 kmを通過し、その後も目標通りの軌道を航行していることを確認しました ...

November 26, 2021 ISAS News

 


「ベピコロンボ」水星探査機は金星スイングバイを終え、いよいよ水星へ接近

今回のスイングバイでは1回目の最接近(高度10,722 km)に比べ、はるかに金星の近くを通過しました。惑星間空間航行中、水星磁気圏探査機「みお」は常に太陽光シールドに覆われており、太陽光が入射することはありません ...

October 01, 2021 ISAS Topics

 


「ベピコロンボ」2回目の金星スイングバイに成功、いざ水星へ

2021年8月10日に2回目となる金星スイングバイを実施しました。探査機は同日の22時51分54秒(日本時間)に最接近高度552 kmを通過し、金星の重力を利用して毎秒5.7 kmの減速を行って目標通りの軌道に投入することに成功しました ...

September 17, 2021 ISAS News

 


ISAS深宇宙探査船団「太陽の陣」 ~「ベピコロンボ」「あかつき」「ひので」による太陽共同観測~

2025年12月の水星到着を目指し順調に航行を続けています。2021年3月に探査機は地球から見て太陽の向こう側へ回る外合を打ち上げ後初めて迎えました ...

April 22, 2021 ISAS News

 


アントノフ

アントノフは衛星の輸送によく使われている世界最大級の貨物機です。胴体前後に大きな貨物扉を持ち、2基のクレーンが貨物室に装備されていて、貨物の搬出入がスムーズにできます ...

November 30, 2020 ISAS News

 


赤道直下の移設作業

現地作業について。探査機本体は後述する専用機であるアントノフで空輸されますが、それ以外の装置類は船便で衛星より少し前に現地に到着します。我々は木箱で梱包された器材を開梱し、システムを構築するのですが、そこは赤道直下のギアナです ...

November 30, 2020 ISAS News

 


オランダ駐在記 ~射場までの3年間~

私個人は2008年度の途中からBepiColomboに参加していました。前半はEMC(電磁適合性)に関する開発を行い、後半はマネージメントの支援をしてきました。とくにEMC開発では全ての機器のEMC試験を行いましたのでそれぞれに愛着があり ...

October 02, 2020 ISAS News

 


日欧の違い(高圧ガス関係)

「みお」搭載の推進薬(超高圧の窒素ガス)及び気密試験用の超高圧のヘリウムガス、観測機器のセンサが酸化するのを防止するためのガスパージ用高圧窒素ガスという3種類の高圧ガスを用いています ...

September 03, 2020 ISAS News

 


日本の大型パラボラアンテナも活躍中

日本のアンテナを使うときも、MPOの衛星管制運用者はドイツESOCにいます。コマンドはESOCからISASへ、さらにアンテナへと送られて、ようやくMPOへ送信されます。アンテナで受信したテレメトリは逆ルートでESOCへ。ちなみに、アンテナを遠隔操作しているのは筑波宇宙センターです ...

September 03, 2020 ISAS News

 


「みお」の地上試験と打上げまでの道のり

「みお」(当時MMO)のシステム総合試験は、2012年秋に相模原キャンパスのクリーンルームにて機体を組み立てるところから始まりました。プラズマ・磁場環境を調べるミッションの特徴として搭載される観測機器数が多く、「みお」も10以上のセンサが搭載されています ...

August 04, 2020 ISAS News

 


従来とは違う「みお」の地上系システムと運用

MPOとの結合試験の為、ESTEC(欧州宇宙技術研究センター)に地上系システムも輸送し試験に挑みました。地上システムをESTECに設置し、コマンドをESTECから打ち、テレメトリがESTECと日本に伝送されるかを確認します。ESTEC側の伝送試験は無事に終わり、日本にテレメトリを伝送するためISDNに繋ぎ伝送試験です ...

July 10, 2020 ISAS News

 


「みお」のプロジェクトマネージャ交替

04月01日から私(小川)がプロジェクトマネージャに就任しました。水星探査ワーキンググループから数えると、向井 利典先生、山川 宏先生、早川 基先生に次いで4人目となります。早川 基先生は2006年から13年余りプロジェクトマネージャを務められました ...

Jun 01, 2020 ISAS News

 


BepiColombo探査機、地球スイングバイを実施 ~最初で最後の地球接近、みおをみおくろう~

地球上では世界各地の天文台、科学館、アマチュア天文家らが最初で最後のBepiColombo探査機の姿を捉えようと望遠鏡を一斉に夜空へ向けました。日本でも日本惑星協会、日本公開天文台協会、およびJAXAの呼びかけにより全国各地で「はやぶさ2」の地球スイングバイ時と同様の観測キャンペーンが展開されました ...

April 11, 2020 ISAS News

 

スイングバイ個人撮影第一報!

岩手から観測速報です。20時07分48秒の撮影です。数枚ありますので、後に編集します。
 

Image Credit : sakai
 

スイングバイ撮影成功!

New Mexico Mayhill にあるインターネット天文台 itelescope T11 を予約していた、明石天文科学館の井上毅館長が、見事に撮影を成功させました。撮影時間は、日本時間の 14時51分頃です。
 

Image Credit : 井上毅
 

名寄市から、北大ピリカ望遠鏡による 19:20 頃から始めた観測のテスト画像が届きました。ベピ、そこにいます!!
 

Image Credit : JAXA/Hokkaido Univ.
 

美星スペースガードセンターの口径 50 cm 望遠鏡を探査機の動きに合わせて追尾させながら連続で撮影した 10 枚の画像を重ねて作成した GIF アニメーションです(クリックすると 2.78MB の動画が開きます。)。中心付近で点状に写っているのが水星磁気圏探査機みお、この時の明るさは 12.9 等でした。撮影は19時22分から 2 秒露出、約 40 秒間隔で行ったものです。
 

Image Credit : JAXA/JSF/JSGA
 

更新履歴
Apri 01, 2020 - 観測予定登録マップ公開
Apri 01, 2020 - 観測実施予定地登録を設置
Apri 01, 2020 - スイングバイ「ちょっとしたメモ」
Apri 01, 2020 - 当時のスタディマネージャー山川宏氏の「人類御無沙汰な水星へ」をモデファイ
Apri 01, 2020 - スイングバイ観測ガイドを掲載
March 31, 2020 - 観測キャンペーンウェブを公開


BepiColombo(ベピコロンボ)日欧共同プロジェクト

国際水星探査計画「BepiColombo」(ベピコロンボ)は、JAXA 担当の水星磁気圏探査機「みお」(MMO:Mercury Magnetospheric Orbiter)と欧州宇宙機関(ESA)担当の水星表面探査機(MPO:Mercury Planetary Orbiter)の二つの周回探査機で水星の総合的な観測を行う日欧協力の大型ミッションです。

水星は、太陽に近い灼熱環境と軌道投入に要する多大な燃料から周回探査は困難で、これまで水星へ行ったことがある探査機はマリナー 10 号とメッセンジャーの二機のみで、水星周回軌道への投入成功は探査機メッセンジャーだけとなります。

マリナー 10 号の探査の際、金星を通過してその重力でスイングバイを行うことによって何回か水星に接近できることを示唆したのが、イタリアの著名な天体力学者ジウゼッペ・コロンボ(Giuseppe Colombo)博士です。ジウゼッペ博士は、水星の自転周期と公転周期が 2 : 3 の共鳴関係にあることを提唱したり、スイングバイを惑星探査機の航行に利用した先駆者でもあります。その功績をたたえ、新しい水星探査ミッションの名前には博士の愛称である「BepiColombo」が使われています。

「BepiColombo」は、水星本体の磁場、磁気圏、内部、表層を初めて多角的・総合的に観測し、「惑星の磁場・磁気圏の普遍性と特異性」、「地球型惑星の起源と進化」について明らかにすることを目的としています。
 

「BepiColombo」の観測ミッション

国際水星探査計画「ベピコロンボ」(BepiColombo)は、ESA と JAXA の共同で、観測目的に合わせた二つの周回探査機を水星周回軌道に送り込んで水星を観測する計画です。水星の磁場・磁気圏の観測を行う水星磁気圏探査機「みお」(MMO)と、水星の表面・内部の観測を行う水星表面探査機(MPO)から構成されています。

JAXAは、日本の得意分野である磁場・磁気圏の観測を主目標とする「みお」の開発と水星周回軌道における運用を担当し、ESA は、打ち上げから惑星間空間の巡航、水星周回軌道への投入、MPO の開発と運用を担当します。

「みお」と MPO はアリアン5型ロケットで一緒に打ち上げられ、水星到着後に分離して、協力しながら約一年間の観測を行う予定です。
 

水星磁気圏探査機「みお」の目的

・固有磁場の解明
水星周辺の磁場を高い精度で計測し、惑星磁場の成因を探る。

・地球と異なる特異な磁気圏の解明
水星磁気圏の構造や運動を観測し、地球と比較して惑星磁気圏の普遍性と特異性を明らかにする。

・水星表面から出る希薄な大気の解明
ナトリウムを主成分とする希薄大気の大規模構造・変動を観測し、その生成・消滅過程を探る。

・太陽近傍の惑星間空間を観測
地球近傍では見られない太陽近傍の強い衝撃波を観測し、そのエネルギー過程を解明する。

以上、JAXA ウェブから
 


 


 

MEMO #01.
ESA および NASA 等のウェブページでは「地球フライバイ(Earth flyby)」と記述されることがありますが、JAXA 宇宙科学研究所では、軌道制御に利用する場合は伝統的に「地球スイングバイ(Earth swing-by)」と表現することが多いため、このページでは主として後者の表現方法を使っています。また文章の性格により、その目的を指して「重力アシスト(Gravity assist)」と表記されることもあります。
 


BepiColombo 地球スイングバイ観測キャンペーン
「みお」を、みおくろう! - ブラック星博士のコメントから

今回のスイングバイは、最接近が 10 万 ㎞ を超える距離であり、観測には厳しい条件ですが、はやぶさ2、OSIRIS-REx 同様に観測キャンペーンに挑みます。今回も実行委員会を立ち上げ、観測者皆様と共に大いにキャンペーンを盛り上げていきたいと思います。

日本公開天文台協会 : JAPOS キャンペーンサイト
スイングバイ観測について : 観測ガイド
スイングバイ観測キャンペーンまとめ(このページ)

 

★ BepiColombo 地球スイングバイ観測実行委員会

委員 : 井上毅(明石市立天文科学館)、三島和久(倉敷科学センター)、安田岳志(姫路科学館/公開天文台協会)、JAXA 水星磁気圏探査機「みお:MMO」プロジェクトチーム、井本昭(日本惑星協会)
アドバイザー : 吉川真(ISAS/JAXA)
 


観測実施予定登録の案内

スイングバイ観測を行う予定の観測者の皆様には、出来ましたら下段の ” フォーム ” から事前にお届を頂けると事後のまとめ作業が緩和されます。「観測してみようかな」というくらいのフェーズの方も同様にお知らせください。
観測結果は、はやぶさ2スイングバイ同様に JAXA、ESA 各ウェブや、天文学会等の場で実施報告させて頂く予定です。
「はやぶさ2」アウトリーチ活動についての天文学会での発表内容


Image Credit : Carmelo Magnifico/INAF
 


BepiColombo News & Topics

原文ページを別窓で開きます。
 

水星探査機、地球スイングバイへ 新型コロナの中、最少人員で

欧州で新型コロナウイルスの感染者が急増する中、欧州宇宙機関(ESA)はドイツにある運用センターへ出勤する職員を減らし、一部の探査機や衛星の運用休止を発表しているが、水星へ向かう重要な局面を迎えるベピ・コロンボについては運用を続けるとしている。

April 04, 2020 毎日新聞
 

「みお」を、みおくろう!水星探査機「ベピコロンボ」地球スイングバイ観測キャンペーン

2015年12月に「はやぶさ2」、2017年9月に「オシリス・レックス」の地球スイングバイの観測キャンペーンをそれぞれJAXAと協力して実施してきた日本惑星協会(TPSJ)と日本公開天文台協会(JAPOS)は、今回の「ベピコロンボ」についても観測キャンペーンを計画しており、広く参加を呼びかけている。

April 02, 2020 AstroArts
 

水星磁気圏探査機「みお」初期機能確認を完了

2020年04月10日に地球スイングバイの実施を予定しており、スイングバイ期間中には「みお」搭載装置による地球磁気圏の観測運用を計画しております。なお地球スイングバイにおいては日本時間04月10日13時25分頃に地球へ最接近します。この時の高度は約 12,600 km、場所は南大西洋上空を通過する予定です。

March 27, 2020 JAXA
 

BepiColombo と付き合って 20 年

Committee:ESAの科学ミッションの最上位意思決定委員会)に諮るところまで行き、投票の結果はキャンセルに賛成が9票、反対は7票でした。キャンセルには3分の2以上の賛成を要するため辛うじて2票差でキャンセルは否決されましたが、打上げ後に何人かの方から「日本と組んでいなければあの時キャンセルされていた。本当に助かった」

March 02, 2020 JAXA
 

べピコロンボが挑むサイエンス:水星が握る太陽系の鍵

ベピコロンボ計画では水星磁気圏探査機「みお」(Mercury Magnetospheric Orbiter: MMO)と水星表面探査機(Mercury Planetary Orbiter: MPO)の2機による総合的観測で水星に残された謎に挑み、そこから太陽系惑星、特に地球型惑星の「起源」、「進化」、そして「環境」の理解を目指す。

June 05, 2019 JAXA
 

水星探査機「ベピコロンボ」打ち上げ成功

10月20日10時45分28秒(日本時間)、水星探査機「ベピコロンボ」を搭載したアリアン 5 ロケットがフランス領ギアナのギアナ宇宙センターから打ち上げられた

October 22, 2018 AstroArts