2020年04月10日、日本からの「ベピコロンボ」スイングバイ観測について

1997年、サイエンスミッションとして立ち上がった水星探査のためのワーキンググループがベピコロンボの長い道のりの始まりでしたが、今日に至り、無事に宇宙空間に到達したプロジェクトが、いよいよ水星に向けた針路に舵を切ります。地球スイングバイ(フライバイと同義)によって減速された探査機は、次のフライバイ対象である金星方向に向かいます。

近年の「はやぶさ2」、「OSIRIS-REx」に続く惑星探査機による地球をかすめるように飛行する重力アシストと呼ばれるスイングバイは、天文台のみならずアマチュアの観測家にとっても絶好の天文ショーであります。またベピコロンボにとっては、これが最後の地球との「逢瀬」となることから、この機会を稀なチャンスとして是非観測にチャレンジして頂きたいと思います。「惑星探査機」による地球近傍のフライバイは、この後しばらく予定はありません。

今回も、前回前々回に引き続き、倉敷科学センターの学芸員である三島和久さんによって、観測おける留意すべきことや具体的な観測ガイドなどを詳細に判り易くまとめて頂きました。



スイングバイ観測について - 観測ガイド
倉敷科学センター(学芸員)三島和久
 

 


観測実施予定登録の案内

スイングバイ観測を行う予定の観測者の皆様には、出来ましたら下段の ” フォーム ” から事前にお届を頂けると事後のまとめ作業が緩和されます。「観測してみようかな」というくらいのフェーズの方も同様にお知らせください。
観測結果は、はやぶさ2スイングバイ同様に JAXA、ESA 各ウェブや、天文学会等の場で実施報告させて頂く予定です。
「はやぶさ2」アウトリーチ活動についての天文学会での発表内容


スイングバイ(フライバイ)全体のシナリオ : ESA 欧州宇宙機関ウェブ解説

2020年04月10日に地球に近づいた BepiColombo は、図のように移動します。これによって宇宙機は、エネルギーを緩和して太陽系内側に向かう軌道を取ります。この軌道取得により、2020年10月と2021年08月に金星フライバイを実施することができます。
地球フライバイにより、太陽に対する相対速度は、約 5 km/s 減少します。また、フライバイ前後には軌道調整マヌーバが実施され(TCM)、フライバイ中はスラスタを吹かすことはありません。
 

Image Credit : ESA
 

2020年02月26日に最初の TCM を実施、1 % の誤差内で修正が確認され、03月12日に予定されていた二回目の TCM はもはや必要ないため、スケジュールされませんでした。

これら、初期 TCM からフライバイ終了に至るまでの過程は、次の金星フライバイだけのためではなく、水星軌道挿入までの BepiColombo 巡航フェーズ全体のパラメータを対象としています。
さらに、2020年03月19日に行った軌道分析では、2020年03月26日の軌道修正操作も、現在の軌道が良好であるため必要ないという結論に達しました。

地球フライバイ後の TCM スケジュールは次の通りです。

2020年04月03日
・2020年04月23日

 

地上からの観測は?

2020年04月10日の早朝、BepiColombo 宇宙機が東から西に空を横切る様子を地上から観測できる可能性があります。最接近アプローチは、地表面(地心ではない)から 12.677 km(UTC 04.25)と予測されています。

赤道に近い緯度、特に南半球にある観測者にとっては、地平線上の標高と見かけの大きさの点で良好な条件となります。ただ残念ながら、月光は夜空で非常に明るくなり、フライバイ観測に挑むことを阻む小さくない障害となるかもしれません。
しかし、アマチュア天文学者や天文学中毒(addicted と記している)の方々、天体写真家、好奇心旺盛な方々は、望遠鏡、双眼鏡、カメラで BepiColombo の地球通過を捉えようと試み、これら悪条件でも挑戦しようという誘惑に駆られてしまうことは間違いないようにも思えます。
 

Image : Caption :
画像をクリックすると、別窓で ESA サイトが表示されます。中ほどに動画があります。
Credit : ESA
 


観測予定登録フォーム

観測予定地、氏名、メイルアドレスをご記入してください。あとは任意です。観測予定地以外は総て非公開となります。
 

※ 観測予定地(都道府県から)

※ 氏名

※ 年齢

※ メイルアドレス


 備考 ... 所属団体等あれば記載