日本惑星協会再設立の趣旨と経緯

惑星協会は( The Planetary Society or TPS )、1980年に故カール・セーガン博士、故ブルース・マレイ博士、ルイス・フリードマン博士の三氏が「太陽系惑星と地球外知的生命の探査( SETI )の推進」を掲げて立ち上げた非営利団体です。日本惑星協会( The Planetary Society of Japan or TPSJ )はその趣旨に賛同し、1999年9月に「特定 NPO 法人」としてスタートしました。

日本惑星協会は、宇宙こそこれからの人類にとって単なる憧れではなく、新しいフロンティアとして取り組むべき対象と考え、その探査開発が国際的視野から推進されるよう幅広く啓蒙、支援活動を行い、またそのための人材育成に協力し、あわせて宇宙の平和的利用に寄与することを目的として2011年まで活動を続けてきました。

様々な事情により活動を停止していた日本惑星協会ですが、再開を望む一般の惑星探査ファンや関係機関、また国内各所で研究に携わる惑星科学者などの支援を受け、2015年07月21日に再設立宣言を果たしました。

20世紀における科学の進歩が人類の生活に与えた変化は、これまでの人類史数百万年を上回る大変革であり、同時にそのことによって地球環境に多大の問題を残しました。さらに資源、人口の問題と、21世紀には人類の未来を宇宙規模で考え、宇宙の平和的利用を図ることこそが、その生存のための最大課題になってくると言えるでしょう。そうした視点を以って 日本惑星協会は、民間の立場からの啓蒙、支援活動を行っていく団体として米国惑星協会が掲げる理念を共有し、次世代の太陽系探査を国内、または国際協力によって、探査継続への寄与を果たしたいと考えます。

米国惑星協会が掲げる理念には、” 市民参加による商行為とならない知的好奇心を抱いて宇宙を探検すること ” とあります。さらに、 ” 太陽系惑星及び地球外知的生命の探査( SETI )を支援し、且つ促進させることに主眼を置く ” ことも明示されており、日本惑星協会は米国惑星協会の理念を理解し、日本国内環境での活動の可否を各論で議論し、米国と共有できる活動への積極参加促進に取り組みます。
 

米国惑星協会との ” 約束 ”

「太陽系および地球外生命探査の促進」に加えて、「宇宙探査の国際協力の促進」をミッションステートメントとして活動を行う米国惑星協会に賛同し、将来的には日本の宇宙開発機関に対しての提言や研究者との橋渡し、さらには世界中の宇宙開発機関との国際協力を以って太陽系探査の高度な探査と技術開発を実現し、太陽系探査に対する新しい発想の種を蒔くことが使命と考えます。

近い将来、「人類は宇宙というコミュニティに参加している己を祝福できる」という故セーガン博士の望みを皆さんとともに叶えましょう。それは、「人類が地球の銀河社会に於ける役割を認識し、その上で地球の存在意義と真の意味での可能性を学ぶ新世紀である」と語ったフリードマン博士の二十一世紀への思いを総ての方々が共有することで実現できるものであると強く感じます。

米国惑星協会が献身的に支援を行ってきた SETI(セチ:地球外知的生命探査)計画や、重要性を認識すべきとする火星有人探査推進への提言も検討し、

まずは、日本惑星協会が組織として独自の太陽系探査提案を展開できる環境を整えることが米国惑星協会との大事な ” 約束 ” を果たす一歩となります。

近い将来の米国惑星協会との連携を目標に、一度失われた国内での信頼を再び皆さんから頂けるよう、新生日本惑星協会は ” 礎石 ” を積み上げ続けて参ります。
 

取り組む活動と、その目的

日本惑星協会は、次項を目的として活動を行います。

(1)宇宙開発に関する社会教育の推進を図る活動
(2)宇宙規模の視点で地球環境の保全を図る活動
(3)宇宙の平和利用に関する国際協力の活動
(4)太陽系探査推進を主たる目的とし、宇宙機関への働きかけを図る活動
(5)以上の活動を行う個人及び団体の運営又は活動に関する連絡助言又は援助の活動
 

太陽系探査計画への参画

前項(4)における太陽系探査推進については、小天体探査フォーラムでの実例を基に、2020年以降に日本が行うべき太陽系探査計画への提言をまとめ、直接的、間接的に拘らず積極的に関与します。さらに、協会独自に探査検討を行い、シンポジウム等での発表、講演を行います。
 

行う事業

当協会は、前項の目的を達成するために、非営利一般社団法人活動(後に理事会設置を以って法人化)に係る事業として次の事業を行います。

(1)会員組織を作り宇宙探査情報を中心とする会報を発刊する事業
(2)インターネット上でウェブサイトを展開し独自の情報発信と情報の国際交流を行う事業
(3)メイルマガジン、メイルニュースを発行する事業
(4)講演会、展示会、セミナー、シンポジウム、広報キャンペーンなどの開催及びそれら事業に対する資料提供、講師派遣等の事業
(5)米国)惑星協会の活動に参加する等の国際交流の便宜を図る事業
(6)宇宙関連公的機関からの広報業務の委託、受託事業
(7)宇宙関連の物品販売事業

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