十三周年にあたって


2000年5月に発足したMEFも13年が経過し、14年目に入ります。今から13年前は、個人的には宇宙研に異動して2年が経過した頃で、「はるか」や「のぞみ」の軌道決定をしつつ、MUSES-Cの軌道決定の検討をしていました。当時、「のぞみ」は火星到着を4年延期した上、Sバンドのダウンリンクが停止すると言うトラブルはありましたが、運用は続いていました。MUSES-Cの方は、JPLと何度も細かいやり取りをしながら検討を進めていたことを思い出します。ただし、ASTRO-Eを搭載したM-Vロケット4号機の打ち上げ失敗もあり、宇宙研としては大変な時期でした。いずれにしても当時は、まさか数々のドラマがその後に待ち受けているとは夢にも思わず、これらの探査機の作業をしていたわけです。

この13年間を振り返ってみると、様々な出来事がありました。一般にはあまり知られていませんが、「のぞみ」にも様々なドラマがありました。「はやぶさ」については、ここで改めて述べる必要はないでしょう。そして、「はやぶさ2」の産みの苦しみ・・・。本当にいろいろなことがありましたが、全体的に見ると非常に大きな飛躍をした13年間だったと思います。また、数々の感動を体験することができた13年間でした。MEFにとっては、議論してきたことが「はやぶさ」や「はやぶさ2」に結実した13年間だったと言ってよいと思います。

さて2013年の今、ある意味ではMEFは13年前の状況に戻ったとも言えます。なぜなら、13年前はMUSES-Cの打ち上げを数年後に予定しつつ「ポストMUSES-C」を検討し始めたわけですが、現在は「はやぶさ2」の打ち上げを2年後に予定しつつ「ポストはやぶさ2」の検討が開始されているわけですから。もちろん、まずは「はやぶさ2」の成功のために全力を尽くすわけですが、更に次のミッションの検討も本格化させていきたいです。その1つの候補としては、木星トロヤ群小惑星探査です。可能ならば、トロヤ群サンプルリターンに挑戦したいものです。
 


図には、2013年5月25日現在の小惑星の位置を示します。軌道要素は、ローエル天文台が公開している約60万個の小惑星のデータを使いました。2000年5月の時点では、小惑星の数が8万個弱でしたから、小惑星の発見個数もこの13年間に爆発的に増大しました。つまりまだまだいくらでも未知の天体があり、可能性が広がっています。今後も太陽系小天体の探査がますます進むことを期待して、次のステップに駒を進めていきたいと思います。

2013年05月25日 ISAS/JAXA 吉川真

 

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Modified : March 23, 2017

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