MEF 小天体探査フォーラムについて
MEF 一周年に寄せて
数ヶ月の準備期間の後、2000年05月25日に会員制Eグループとして発足した MEF も、本日で創設1周年を迎えました。次世代の惑星探査案を「ボトムアップ式」で創り出す実験としてこのグループを作った当初は、若手の惑星研究者と工学者を中心に 20 名も集まれば成功だろうと言われていました。しかし様々な雑誌、メイリングリスト、ネット掲示板などを通じて、或いは口コミで存在が知られるに連れて、小学生や主婦から学校の先生、博物館学芸員にジャーナリストまで、実に多様な分野からのご賛同を頂きました。
現在では 150 名を超える登録メンバーを抱え、年間 800 通以上の通信が交わされています。また、昨年のクリスマスから開始した一般公開ページも開設後5ヶ月で約 6000 ヒットを数えましたし、国内外の学術会議でのMEF関連の発表も年間 10 篇程度出されました。果ては SF 小説にまで登場させて頂きました。
当初の予想を大きく超えたMEFの急成長ぶりから、私は、いかに多くの方が、日本語で語られる惑星探査の情報を、あるいは自ら宇宙を探検する面白さを共有したがっていらしたのかを実感致しました。現在および将来の惑星探査に携わる者にとって、大変有り難く、また気持ちが引きしまる思いでいっぱいです。従来の惑星探査を立案し、実行していた専門家の枠の外から、世代、地域、職種、専門分野を越えた参加者が発掘できたことは、日本の惑星探査の基盤強化に、少なからず貢献していると思います。また、オフ会や宇宙研の一般公開などの機会に、多くの MEF メンバーと直接話し合える時間が持てたことも幸せでした。その中から、ミッション成功のためには、科学目標や工学的検討の重要性に劣らぬ、優れたアウトリーチ活動を実施することの大切さを学びました。
MEF は当初1年間の期間限定で、ポスト MUSES-C 時代の小天体探査計画のレポートを作成することを目標としてきました。しかし、その後も惑星探査のサポーターが集えるフォーラムとして存続して欲しいという希望が多く寄せられました。また会員ページは、その議論の過程で、黄道面脱出ミッション計画の立案や、すばる望遠鏡を使った CAT 天体の観測計画など、新たな研究協力が生まれる場としての機能も果たす様になりました。そこで、MEF は現在大詰めを迎えているレポート製作が完了する2年目以降も、引き続き継続・発展していくことに致しました。今後も新規メンバー登録は随時受け付けますので、この輪を一層広げて頂ければ幸いです。
ところで先日、宇宙研の次なる惑星探査計画として、2007年打ち上げ予定の金星気象オービターが理学委員会で承認されました。ミッションマネージメントおよび観測機器の責任者のほとんどが 30 - 40 代で構成されているのは、2010 - 20 年代に世界のトップを走れる布陣を、今から構築するためだそうです。ポスト MUSES-C 時代の小天体探査計画でも同様の気概が求められています。今後の MEF 活動の中から、そうした次世代の惑星探査を担う人材や、心から支援してくれるサポーター層が育ってくることも期待しています。
この一年間、MEF を通じて築かれた人の輪は、ポスト MUSES-C 時代の小天体探査ミッションにとってかけがえのない宝です。2年目以降も MEF 会員ページは引き続き、惑星探査をボトムアップで創り上げる有志のフォーラムとして機能していきます。一方の一般公開ページでは、2月に開催されたエロス地形画像のネット討論会や、惑星研究者の日常をつづった「MEF 日記」、最近では「惑星科学・惑星探査が学べる大学・大学院案内」などの企画がご好評を頂いております。今後も惑星探査をより身近に感じられるようなコンテンツの充実に努めて参りますが、ビジターの方々にも様々な企画のアイディアを出して頂き、双方向で成長していける場として育んでいきたいと思います。2年目の MEF にも、皆様の一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。
2001年05月25日 ISAS 矢野創
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Modified : March 23, 2017