MEF 小天体探査フォーラムについて
第四期代表就任に際して
本日より MEF 第四期代表を拝命いたしま した阿部新助と申します。
MEF 第三期代表を務められました渡部義弥さんに心より敬意を表します。誠にお疲れ様でした。
私はアポロ11号が月に着陸した後に生まれましたが,渡部前代表と同じくカール・セーガンなどの影響を強く受けて育った世代です。ハリー彗星が回帰した中学生の頃には,天体望遠鏡を担いでアルプスや房総半島などを駆け巡っていた根っからの天文少年でした。
大学時代には,関東地区8大学・ 連盟員400人の天文サークルの連合体である「大学天文連盟」の第29代事務局長を務め,全国の大学の天文部・サークルを渡り歩き,出会った天文仲間らとは今でも強い絆で結ばれています。アルバイトも4年間,水道橋の望遠鏡ショップで働いていました。学部では航空宇宙工学科でエンジニアリングを主に学びましたが,天文学者になりたいという夢を諦め切れずに大学院へ進学。国立天文台で渡部潤一さんに師事し,矢野創さんらと NASA しし座流星群国際航空機観測ミッション(Leonid MAC)に搭乗して1時間当たり4千個を超える流星嵐に遭遇,2001年に「流星と流星痕の分光学的研究」で博士号を取ることができました。
時を同じく宇宙科学研究所の小惑星サンプル・リターンミッション「MUSES-C」が,ネレウス→1989 ML→1998 SF36(イトカワ)と2回のターゲット小惑星変更を行いスケジュールが遅れたこともあり,2001年春に MUSES-C のポスドク研究員に選抜される機会に恵まれました。宇宙研の安部正真さんの指揮のもと,はやぶさ搭載機器の一つである「NIRS・近赤外線分光器」(フライトモデル)のハードウェアーとソフトの開発に明け暮れました。
MUSES-C の打ち上げが更に半年遅れたため,宇宙研との契約が切れた私は,無給の状態で内之浦に2ケ月近く滞在して,ファンクションチェックや「LIDAR・レーザー高度計」とNIRS の光学アライメントを合わせる極めて骨の折れる作業などを行いました(小惑星イトカワ到着後にこの努力が功を奏します)。2003年5月9日,ミネルバ担当の吉光徹雄さんと間近で見た「はやぶさ」の打ち上げは,今でも胸の底に焼き付いています。。。
そして,5年前の今日,オーストラリアの砂漠の満天の空のもと満月よりも明るく輝く「はやぶさ」の地球帰還を,「はやぶさーオカエリーー」の雄叫びと共に見届けました。
これまで,チェコ共和国の天文台に2年間,神戸大学に2.5年,台湾の國立中央大学に5年間と「はやぶさ」よりも長い勤めを経て,2013年春に日本大学理工学部 航空宇宙工学科の准教授として奇跡的にここに帰還することができました。「はやぶさ」と「流れ星」を通して知り合ったプロ・アマチュアの人脈は世界中に広がり,現在の私の研究・教育活動の礎となっています。私大という研究者としては異質の文化の中でもがきながら3年目を迎えておりますが,はやぶさ2も含め,知の最前線で活躍し続けるユニークなアイデアを持って,限られた予算の中で新たなプロジェクトにも取り組んでおります。
「MEF (Minorbody Exploration Forum)」は,はやぶさ,はやぶさ2に続く日本の小天体探査について,プロ・アマチュアを問わずアイディアを募り,フィージビリティースタディーを共有しながら,新たなミッション候補を創り出すことを目的とした有志団体です。また,光に関する歴史的な発見の節目の年になる2015年は「国際光年」にも制定されており,光と電磁波に関して何か体験を共有できるような小天体探査に関する取り組みがあると面白と考えております。2015年12月に予定している「はやぶさ2」地球スイングバイや,小惑星探査が始まる2018年へ向けて,「はやぶさ2・アウトリーチチーム」とも協力を行いながら,アウトリーチ活動の輪も広げていければと思います。皆様からのアイディアを MEF は常にお待ちしております。
どうぞこれからも,よろしくお願いいたします。
2015年06月13日 MEF 第四期代表 阿部新助
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Modified : March 23, 2017