The Planetary Society of Japan

The Planetary Report

Archive 1997

 

小惑星は隕石の素か

当月第三稿. [ 1997年03月/04月 ]

Robert W. Farquhar, Donald K. Yeomans

 

小惑星の探査は、ある意味で我々人類の起源を探求することである。小惑星は、46億年前の地球を含む内部太陽系惑星形成後の残り物であると考えられている。これ等の物体は、降着して地球型惑星を作った物質の性質を解明する糸口となるかもしれない。小惑星は地球に衝突する隕石の源である可能性があり、その中には、かつて独特の大気や尾を作った氷が蒸発してなくなってしまった彗星だったものもあるかもしれない。小惑星の衝突は、蒸発性物質や炭素質の分子が混ざり合った生命の素を、初期の地球にもたらしたのかもしてない。その後、幾度となく続いたかなりの大きさの小惑星と地球との衝突により、地球生命には消滅させられたものあり、最も適応性の高い種のみが繁栄した。

今日に於いても、地球軌道を横切る小惑星(非常に小さいものでも)の中には、我々の生命の脅威となる可能性があることはご存知の通りである。我々の太陽系の中では最小の天体ではあるが、これ等惑星間浮遊物体は、地球の形成と続いて起こった生命の出現に欠くべからざる役割を果たした可能性が高い。従って、小惑星の探査は我々人類の起源の探求でもある。

ほとんどの小惑星は、所謂S-タイプかC-タイプに分類されてきた。天文学者は、小惑星をそれが持つ様々な波長による光の反射力(スペクトル特性)で分類する。小惑星帯の内側で見れられる最も普通のタイプの小惑星はS-タイプで、波長が0.4ミリミクロン(1ミクロン=0.000039インチ)から1.2ミリミクロンに増加すると、一般的にこのタイプの小惑星の反射力は増加する。小惑星帯の外側を支配するのは、ずっと暗いC-タイプの小惑星で、その特徴は波長0.4~1.2ミリミクロンの範囲では、その光の反射力はほとんど変わらない。つまり、そのスペクトル特性は相対的に平板で特徴がない。

S-タイプ、C-タイプいずれの小惑星も、地球上の隕石の源となる天体であると断定はできなかった。最もありふれた隕石、即ち普通のコンドライトは、小惑星帯の内側で生まれたS-タイプ小惑星の衝突でできた破片から生じたものと信じている科学者もいるが、こうした種族上の関連性はないと考える科学者もいる。ということで、NEARミッションの主な目的は、エロスの化学組成と普通のコンドライト隕石、または別のタイプの隕石の化学組成とを照合することである。このミッションにより、どの種族の隕石がS-タイプ隕石として誕生したのか、その証拠を探り出されるすである。
 

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