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Space Topics 2018

NASA ニューホライズンズ探査機「カイパーベルト領域で記録破りの画像をキャプチャ」

Updated : February 14, 2018
February 09, 2018 原文 : ” New Horizons Captures Record-Breaking Images in the Kuiper Belt ”

関連する日本語ニュース :
” NASA の様々なミッションが冥王星を凝視している ”

 

昨年末、NASA ニューホライズンズ探査機は、望遠鏡のカメラを星空に向けて動かし、それを撮像することにより、新たな歴史を作った。
 


Image :
2017年12月、ニューホライズン探査機は、搭載するロングレンジ観測カメラ(LORRI)を使用して、いくつかのエッジワース・カイパーベルト天体と独特の位相角を持つ矮惑星を観測しました。2012 HZ84(左)と2012 HE85 の擬似カラー画像は、現時点で地球から最も遠くで撮像されたものです。
Image Credits: NASA/JHUAPL/SwRI
 

2017年12月05日に、ロングレンジ観測カメラ(Long Range Reconnaissance Imager (LORRI))によって通常の観測撮影で捉えた「Wishing Well」と呼ばれる、NGC3532 銀河星団の較正フレームは、ニューホライズンズ探査機が地球から 37 億 7000 万マイル(61.2 億キロメートル、40.9 天文単位)離れた空間で撮影された、史上最も遠い場所での撮影となった。
 

画像 : ペイル・ブルー・ドット(The Pale Blue Dot)は、1990年に約 60 億キロメートルのかなたからボイジャー 1 号機によって撮影された地球の写真である。太陽系家族写真の1枚として撮影されたこの写真では、広大な宇宙に対して地球は 0.12 ピクセルの小さな点でしかない。
提案者のカール・セーガンは、その写真に写った地球はあまりに小さく科学の役には立たないが、我々の地球は宇宙の中にあるのだという視点を提供するのに有益であると指摘したという。
 

ニューホライズンズが撮影した位置は、NASA ボイジャー 1 号機が「ペール・ブルー・ドット」の画像を撮影したときよりも、地球から遠く離れていた。「ペール・ブルー・ドット」は、1990年02月14日、ボイジャー 1 号機が地球から 37.5 億マイル(60.6 億キロメートル、約 40.5 天文単位[AU])離れた位置から太陽系を振り返って捉えた 60 枚の画像を合成して作成されたもの。ボイジャー 1 号機のカメラは、この撮像の直後にオフになり、27 年以上の間、遠隔撮影記録を保っていた。

LORRI は、わずか二時間の間に、エッジワース・カイパーベルト天体(Edgeworth-Kuiper Belt Object、EKBO)である 2012 HZ84 と 2012 HE85 の画像を記録し、日々、700,000 マイル(110万 km)以上の宇宙空間を走破しながらも、この撮像を成功させた。


 

距離と速度

画像:短期間で、2017年12月5日に撮影された「Wishing Well」と呼ばれる NGC3532 星団の LORRI によるフレームは、これまでに探査機による最も遠い撮像で、約二時間後には、ニューホライズンズはさらに記録を書き変えました。

ニューホライズンズは、外惑星(木星から外側の惑星)を越えてさらに加速を続ける、現時点で五番目の宇宙船であり、これまでの活動で多くの最遠距離におけるミッションを記録し続けている。

2017年12月09日には、2019年01月01日の 2014 MU69 近接フライバイに向けて、ミッション・チームはニューホライズンズ探査機の軌道修正を行った。地球から最も遠い「場所」でのコース修正技術を達成したのだ。
ニューホライズンズの来年01月の天体フライバイは、2015年07月の皆さんが良く知る冥王星系フライバイから10億マイルも航行した「場所」で起こる、歴史上最も遠い天体との遭遇となる。
 

ニューホライズンズ探査機は、2017年に始まったエッジワース・カイパーベルト領域での長期にわたるミッションの中で、巨大な惑星の軌道を横切る不安定な軌道を持つ20個ほどの EKBO と、矮惑星、および "ケンタウルス族天体"の観測を目指している。ミッションサイエンティストは、これら天体の形状と表面の性質を決定し、月やリングの有無を調べるために撮像分析を行う。探査機はまた、その経路に沿って、プラズマ、ダストおよび中性ガス環境の、ほぼ連続した測定を現在も行っている。

ニューホライズンズ探査機の状態は健康だという。現在は冬眠中だ。メリーランド州ローレルの Johns Hopkins Applied Physics Laboratory の Mission Controller は、今年06月04日にお休み中の探査機を目覚めさせ、2014 MU69 でのフライバイ実行のために、一連のシステムチェックアウトやその他の活動を開始する予定だ。

 

February 09, 2018 原文 : ” New Horizons Captures Record-Breaking Images in the Kuiper Belt ”

By Year : 2018 / 2017 / 2016 / 2015

 

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