冥王星(Pluto): NASA の様々なミッションが冥王星を凝視している


氷だらけでゴツゴツしたジャガイモの形、一番有名な準惑星といえば、答えは冥王星だ。NASA の無人探査機ニューホライズンズは、太陽系の縁の冥王星に向け7月14日のフライバイを経て高速で飛行している。観測はニューホライズンズ単体で行うだけでなく、冥王星に関する様々なデータを監修し、ニューホライズンズで得るデータを活かすために機器を総動員している。
 

New Horizons 探査機を描いたアーティストによるコンセプト。
Image credit: Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute
 

ニューホライズンズが冥王星に最接近するのに合わせて、土星軌道上にあるカッシーニが冥王星を撮影することになっている。ニューホライズンズに一番近い宇宙船であるにも拘らず、撮影される冥王星は星空に浮かぶ微かな点でしか無い。それでも、ニューホライズンズで得るデータを補完することが出来る。

ニューホライズンズが冥王星を離れた後も観測は続く。07月23日から一週間、スピッツァー宇宙望遠鏡が観測を行い、経線に沿って 18 箇所の赤外線写真を撮影する。これにより冥王星表面の氷の様子があきらかになるだろう。

10月、現在 K2 ミッションに就いている探査機ケプラーが三ヶ月に亘る観測を開始する。主星が惑星を隠すときに生じる明るさの変化を検出した時と同様、冥王星と再近接・最大の月カロンからの反射光を記録する。冥王星の極端な軌道から生じる大気や表面について知見が得られるはずだ。また、冥王星に季節があるのかどうかが判るかも知れない。

ニューホライズンズのフライバイに先駆け、06月28日、冥王星と背景の星とが蝕になる場所で、飛行天文台 SOFIA が南氷洋で待ち構える。後ろから照らされて冥王星が投げる僅かな影を SOFIA で追いかけながら撮影し、冥王星の大気の構成、密度に関する分析を行う。

ハッブル宇宙望遠鏡は1990年の打ち上げ以来、地球軌道上から見る最も精細な冥王星とカロンの像を提供し、表面をマッピングし、四つの月を発見した。そのうちの二つは、今回のニューホライズンズのフライバイの準備のために冥王星を観察した際に発見され、ニクスとヒドラと命名された。

このように、様々なデータを組み合わせることによって、謎の多い準惑星・冥王星により近づくことが出来る。データは処理され次第公開される予定だ。
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office