土星衛星タイタン

以下の画像は、カッシーニ探査機搭載の近赤外カメラによるタイタンの北極付近の太陽光の反射を捉えたモザイクカラー画像です。付近には、大きな海も見えます。

Image Credits: NASA/JPL/Univ. Arizona/Univ. Idaho
 


以下の画像は、Ligeia Mare と呼ばれるタイタンで二番目に大きい海を可視化的に着色して合成したものです。エタンやメタンなどの液体炭化水素で満たされたこの海は、タイタンの北極圏に宝石のように散りばめられた多くの海や湖の一つです。

Image Credits: NASA/JPL-Caltech/ASI/Cornell
” Cassini Explores a Methane Sea on Titan ”
 


作図のポイント - 濃い大気とメタンの存在

タイタンには一定の濃い大気があり、その主成分は窒素 97%、メタン 2% という構成です。メタン?地球上ではメタンは主に生物の存在によって供給されます。死骸等から発生したりします。ただし、メタンは太陽光によって直ぐに分解されてしまいます。じゃ、何故タイタンにはメタンが大気中に常に存在しているのかな?供給しているのは何者?
ということで、想像力を逞しくしてみてください。

タイタンの直径は、およそ 5150 ㎞ で土星衛星最大、太陽系では木星衛星のガニメデに次ぐ大きな衛星です。地球衛星の月の約1.5倍もあります。水星よりも大きく火星を少し縮小するほどのサイズとなります。当然、重力も大きいです。陸棲生物が存在すれば、骨格などもしっかりしていることでしょう。
 


大気循環

この描図は、さまざまな有機化合物がタイタンの海や湖にどのように伝わっているのかを示したものです。一つ上に紹介した Ligeia Mare が、純粋なメタンで構成されて有機物が豊富な物質のスラッジによって覆われている可能性が近年高まりました。この図は ESA(欧州宇宙機関)が担当し、タイタンに着陸したホイヘンス・プローブによるデータから作図されました。

タイタンの大気中では、窒素とメタンが反応して豊富な有機分子を生成します。「これらの分子のうち最も重いものが表面に落ちると考えている」と研究者は述べます。空気中を直接降下、または降雨により川を通って海に達して液体メタンに溶解するもの(黄色で表示されるもの)や、ニトリルやベンゼン構造を含む高分子(茶色で示す)が「供給」されます。

Image Credits: ESA
” Organic compounds in Titan’s seas and lakes ”

日本惑星協会では、JPL/NASA 発信のニュースを日本語訳して提供しています。以下からご利用ください。
” TPSJ Space Topics 日本語ニュース ”