以下の画像は、エンケラドス北極面をカッシーニ探査機が捉えたものです。新しい地質活動と古代に築かれた地形が混在しています。
Image credit : JPL/NASA
” Cassini Mission Enceladus: Ocean Moon ”
カッシーニ探査機による観測から得たデータをもとに東京大学が実証試験を行い、「エンケラドス」内部の岩石は隕石と同様である可能性が高まりました。” 地球と異なる独自の熱水環境が存在 - 参照 ”
このことは、天体中心に重い物質が集まっていない、つまり地球などのようにドロドロに燃えた後、冷えて固まった分化天体などとは分化の度合いが異なるか、一度も溶融していない可能性が考えられるわけです。
このことから、エンケラドスの氷の下にある海洋中の熱水環境では鉄が多く存在し、これが酸化されることで原始的な微生物の食料となる水素が大量に生成されていることになります。結果として、生命存在に必要な”液体の水、有機物、エネルギー”が海洋中にあることを窺うことが出来るわけです。
天体規模としては、直径 500㎞ ほどで決して大きくはありませんが、太陽系内において生命存在の可能性を期待する研究者は少なくありません。
海洋があることで、どうしても地球の魚状を思い浮かべてしまいますが、さらに想像を膨らませてください。魚が棲息すればそれを食べる上位種とも言える生きものもいます。氷の下の海洋とはいえ、亀裂もありそこから間欠泉のようにプリュームが噴き出しています。圧力が高かったり下がったりもするでしょう。有機物あるいは微生物が天体表面にばら撒かれている可能性もあります。つまり氷の上にも棲息域はあるはずです。さあ、想像してみましょう。
このアーティストコンセプトは、氷下の海洋から氷の裂け目を通ってプリュームが噴き出す様を描いています。
Image credit : JPL/NASA
” 土星衛星エンセラダス(エンケラドス)の岩石成分は隕石似!? - 東大理プレスリリース ”
日本惑星協会では、JPL/NASA 発信のニュースを日本語訳して提供しています。以下からご利用ください。
” TPSJ Space Topics 日本語ニュース ”