NASA Psyche メタルワールドミッション
About Discovery Program - NASA Psyche Mission
ディスカバリープログラム採択に至る経緯
Psyche ミッションは、ルーシー(Lucy)とともにディスカバリー計画としては異例の、どちらも小惑星を探査するミッションとして採択されました。NASA の太陽系形成起源、進化、資源開発などを重視する意気込みが伝わる決定となりました。
NASA ディスカバリー計画は、太陽系形成初期を探る二つのミッションを採択
五つのディスカバリーミッション案を採択
2015年、NASA は次期ディスカバリー・ミッションに向け、第一ラウンドの選考結果を発表しました。小惑星を対象に三つ、金星を対象に二つ、計五つの採択されたミッション案は、一年掛かりでハードウェア設計、コスト分析、実験計画を行い、2016年末に二つのミッション案が採択されました。
そもそもは28の提案があり、その中から一つを選ぶ方向で選定が進みましたが、二年毎に一つを選ぶとしていたディスカバリー計画が近年五年毎となっており、そうした経緯から二つを採用したとも考えられます。手間暇掛けた優良なミッション提案の多くが没していくことへの危機感などがあったかもしれません。
採択された後の2017年05月、NASA 惑星科学部門のディレクター、Jim Green の「より効率的な軌道設計の再考」という提案により、ミッションデザインの再検討の結果、より早く低コストで科学的目標を達成できる軌道を見出し、メインベルト小惑星の到達は2026年となり、ミッションタイムラインは元案よりも4年ほどの短縮となり、打ち上げも2023年から2022年へと一年前倒しとなりました。下画像にあるように、電池パドルが片側4枚から5枚へと変更されました。白枠の画像は、選定直後のものです。
上画像:小惑星プシケを探査する、Psyche 探査機。
テンペにあるアリゾナ州立大学の Psyche 主任研究者 Lindy Elkins-Tanton は、「(新たな軌道の)最大の利点は、当初のロードマップからミッション期間を半分に短縮し、コスト効率の良い優れた軌道となったことは大きなメリット」と述べています。
新たな軌道では地球スイングバイは実施されず、火星による重力アシストのみを行います。このことは、打ち上げから目標天体到達まで徐々に太陽から遠ざかることを意味します。これにより、探査機に使用する耐熱材が少なくなり、他のペイロードに貢献します。また、太陽電池パネルの増設は、新たな軌道設計から必要とされるもので、二枚増えることにより、十分な電力を確保することが出来ます。
Recent Process
小惑星プシケは地球~太陽間の三倍ほどの距離にあり、そこでの飛行は非常に低い圧力でのスラスタコントロールが必要となるため、低出力動作の独自のテストが必要となりました。そこでミッションチームは、NASA グレンリサーチセンター(Glenn Research Center)内にある電気推進研究所に協力を仰ぎ、スラスタコントロールの設定を行いました。
「このミッションでは、ホール効果スラスタシステムを初めて月軌道を越えて使用することになるので、これまでに実施されていなかったセンターでの試験は、スラスタが深宇宙環境で期待通りに動作するのかを確認する必要があった」と Carol Tolbert は述べています。
チームは2022年08月に予定されている打ち上げに向けて作業を進める中、NASA グレンで収集されたデータを使用してスラスタのモデリングを更新し、ミッション軌道に組み込む予定です。
Sep. 28, 2017 : グレン・リサーチセンターでのスラスタ実験
また、ディープ・スペース・オプティカル・コミュニケーションズ(Deep Space Optical Communication - DSOC)と呼ばれる、新たな光通信技術の実証も行われます。このパッケージは、可視光の基本粒子である光子を使って、一定時間内により多くのデータを送信することが出来ます。 DSOC の目標は、質量、容積、電力等のミッション負担を増加させることなく、宇宙船の通信性能および効率を従来の手段よりも10倍から100倍向上させることにあります。
Oct. 18 ,2017 : Deep Space Communications via Faraway Photons
(翻訳中)
(加筆有り)