JPL News (Ja) - Space Topics 2017
Space Topics JPL日本語訳ニュース : May 25, 2017. Latest
原文 : May 24, 2017 - NASA Moves Up Launch of Psyche Mission to a Metal Asteroid
NASA Psyche 探査計画 : 新たな軌道決定で小惑星到達が早まる!
NASA の金属小惑星 Psyche(プシケ)探査ミッションは、今年1月に発表された予定より1年早い2022年の夏(初期ウィンドウは08月)に打ち上げられることになった。2026年にはメインベルト小惑星に到着予定で、これにより元のミッションタイムラインより4年短くなる。
ワシントンにある NASA 本部の惑星科学部門のディレクター、Jim Green は、「打ち上げ日が小惑星 Psyche に対してより効率的な軌道を設計できるかどうか」をミッション・デザインチームに再考するよう提案した。これにより、より早く低コストで科学的目標を達成することができることとなる。
表面が剥奪された小惑星を探査する Psyche のアーティストコンセプト改訂版。白縁の画像は選出直後のもの。電池パネルが片側 4 枚から 5 枚になった。
Image credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS
ディスカバリー・プログラムで選出された二つのミッションに対して、当初、2021年または2023年のいずれかの打ち上げ計画を試案するようチームに指示していたが、結果、ルーシーミッションは、2021年の打ち上げ機会に選ばれ、プシケの打ち上げは2023年に割り当てられたのち05月に2022年へと予定を繰り上げた。
テンペにあるアリゾナ州立大学の Psyche 主任研究者 Lindy Elkins-Tanton は、「(新たな軌道の)最大の利点は、当初のロードマップからミッション期間を半分に短縮し、コスト効率の良い優れた軌道となったことは大きなメリット」と述べた。
「NASA としても、この打ち上げ日程にたどり着いたことには大きな驚きを持っている。世界は金属小惑星のミステリアスに初めてで、しかも想定よりも速く遭遇することになる」
最終的な軌道は、航行時間を短縮する地球スイングバイを必要とせず、火星でのスイングバイのみを2023年に行い、より効率的なプランとなった。さらに、新しい軌道は太陽から徐々に遠ざかるもので、探査機に必要な耐熱材の量を減らす。
Psyche 計画の探査機本体は、カリフォルニア州パロアルトの Space Systems Loral(SSL)で製造されている。新たなミッションに軌道に沿って、SSL では太陽電池システムを、宇宙船の両側の直方体の発電パネルx4 から、より多くの発電能力を必要とするミッションの際に使用される、発電パネルx5 の X 字型設計に変更された。
スポーツカーとよく似た構造で、他機と比べて小型設計の探査機本体に、非常に高出力の太陽光発電システムを組み合わせることにより、Psyche 探査機は、大型の宇宙船と比較してより速く目的地へ到達することが出来る。
「太陽電池パネルの規模を大きくすることで、探査機は新たに変更されたミッション計画を遂行するために必要な力を得ることができるんだ」と、SSL Psyche プログラムマネージャーの Steve Scott は述べている。
Psyche 計画ミッション概要
火星と木星の間にあるアステロイドベルトを周回する小惑星 Psyche は、ほとんどがニッケル鉄の金属で出来ている。太陽系形成期の激しい衝突の様を、Psyche 独特の形で我々に見せることとなる。
Psyche 計画は、NASA のディスカバリープログラム(Discovery Program)の下、2017年年初に選出が発表された。
” NASA Selects Two Missions to Explore the Early Solar System ”
Psyche 計画の科学的目標は、惑星形成初期を理解し、未踏の金属小惑星の世界を直接探求することにある。ミッションチームは、Psyche が初期形成の惑星の核の残骸であるかどうか、それがどのような年代を経ているか、また地球の核と同様の形で形成されているのか、その表面がどのようなものかを解明しようとしてる。探査機に搭載される機器ペイロードには、磁力計、マルチスペクトルイメージャ、ガンマ線および中性子分光計が含まれている。
NASA Psyche ミッションの詳細は、以下から。
NASA : Psyche Asteroid Mission | NASA
JPL : Mission to a Metal world PSYCHE
Akira IMOTO
Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan