JPL News (Ja) - Space Topics 2017
Space Topics JPL日本語訳ニュース : April 30, 2017. Latest
カッシーニ探査機 : The Grand Finale Toolkit 概要
” Cassini: The Grand Finale: Overview ” のページを和訳して掲載します。一連の「グランドフィナーレ」ミッションのまとめ、保存版として収録しました。
最新記事 - 土星探査機カッシーニ「土星とリング間ダイビングが成功!初期データが届く」
NASA カッシーニ探査機は、2017年04月26日(PDT)に土星とそのリングの間の狭いギャップ(隙間)にダイブした後、地球との通信を再開した。探査機は、ギャップを通過中に収集された科学・工学データを地球に送り続けている。
カリフォルニアのモハベ砂漠にある、NASA DSN(Deep Space Network) Goldstone Complex は、2017年04月26日午後11時56分(PDT)にカッシーニからの信号をキャッチし、4月27日午前12時01分(PDT)からデータのダウンロードを開始した。
› › Space Topics 2017 April 28, JPL(日本語)
背景
NASA カッシーニ探査機は、打ち上げから約20年の歴史を経て、最終年の「グランドフィナーレ」ミッションの幕が開けました。
2017年04月から09月15日までの間、カッシーニは新たな手法により、これまでにほとんどなかった大胆な軌道を描きます。 土星衛星タイタンへの最後のクローズ・フライバイを確立させ、惑星の氷のリングを飛び越え、惑星とリングの間で一連の22回のダイビングを開始します。
End of Mission: 15 Sep 2017
このユニークな土星・リング間地域を他のミッションで実施したことはありません。 これらの最終的な軌道から学ぶものは、巨大な惑星や惑星系がどのように形成され進化するかの理解を深めるのに役立ちます。
NASA at Saturn: Cassini's Grand Finale
› DOWNLOAD VIDEO : A short, animated video describing Cassini's Grand Finale
22回目の最終軌道から、カッシーニは土星の大気圏に突入し、新しい独自の科学探査を最後まで地球に送り続けます。 地球との通信をが途絶した後、宇宙船は流星のごとく燃え尽きて、土星自体の一部となるのです。
探査は挑戦的に
カッシーニのグランド・フィナーレは、単に土星へ探査機本体を突入させるだけのものではありません。この劇的なミッションは、6ヶ月間に及ぶ大胆で新しい探査と、それによって得られる科学的知見を我々に与えてくれます。打ち上げから20年の集大成でもあるわけです。
› › Historic 20-year journey
探査機は、リングの最内側の端をクロスし。またある時には、土星大気の外縁をスキミングしていきます。 ミッションチームは、この22回の周回がとても高リスクであることは十分に理解していますが、サプライズは続きます。ミッションの最後にそれは訪れます。
ユニークな科学観測
土星を通過するカッシーニは、驚くほど膨大で貴重な情報を集めてしまいます。
・探査機は、土星の重力と磁場の詳細なマップを作成し、惑星の内部構造の解明、土星の高速回転の不思議な謎を紐解くための知見を得る。一連のダイビングにより、どのくらいの量の材料がリングにあるかについての知見を大幅に向上させ、太陽系起源の理解に近づける。
・探査機の粒子検出機器は、土星磁場の影響によって土星大気中に流入する氷のリング粒子をサンプリングする。
・搭載カメラは、リングと土星大気中の雲の最近接画像を撮像する。
最後まで続く発見
カッシーニ探査機が得る最終的な画像は、最後の周回飛行の数時間前に地球に送られますが、探査機が土星大気への突入を開始したあとも、リアルタイムで新しいデータを地球に送信し続けます。 主な測定としては、土星の大気をサンプリングし、大気へのコンタクトが無くなるまで(分析計もしくは本体が潰えるまで)その組成解明に質量分析計が働きます。
ミッションの終焉は、いつも悲しいことです。カッシーニのグランドフィナーレ最終局面の土星大気への急降下は、現在太陽系内で行われている最も科学的で豊かな航海の真の終わりを告げます。1997年の打ち上げから2017年のユニークなグランドフィナーレサイエンスに到るまで、カッシーニ・ホイヘンス計画と呼ばれるこのミッションは、目覚ましい成果を上げました。
何故、探査を終えなければならないのか?
2017年現在まで、カッシーニ探査機は地球から7年間の旅の後、13年間、土星周回軌道に乗ることになります。探査機は、その軌道調整を行うためのロケット燃料がなくなりつつあります。燃料枯渇後そのまま放置された場合、最終的にはミッション運用側が探査機の進路を制御することを妨げます。
カッシーニのデータによって生命棲息可能な環境、すなわち少なくとも「プレバイオティック」環境を含む可能性を明らかにした結果、エンケラドス、およびタイタンの二つの土星衛星が過去10年間のニュースの見出しに躍りました。
これらの衛星に探査機が衝突する可能性を避けるために、NASA は土星の大気圏内で安全に探査機を処分することを選択しました。これによりカッシーニ探査機は、これら衛星の既存環境と生命存在に関する将来の研究を「汚染」することができなくなります。
› › Why Cassini Matters
Akira IMOTO
Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan