これまでの経緯とセカンダリーペイロード概要


アルテミス I に搭載される、13 機のキューブサット選定について説明していますが、各機のプロジェクト進捗内容については、アルテミスプログラム側では直接関与しませんので、2015~2017年頃の情報となります。

このウェブでは、キューブサットについては「エクレウス」を中心に扱っていきます。各搭載機へのリンクを記しますので、ご興味のある方は閲覧ください。



第三回キューブクエストチャレンジで $ 30,000 をトップ 5 チームに授与
Oct, 25, 2016 Updated.


NASA は、SLS に積載する小規模な衛星をコンテストで選ぶ、キューブクエストチャレンジのグランドトーナメント3を開催し、5つのトップスコアチームを選出してそれぞれに3万ドルを授与しました。

キューブクエストは、4つのグランドトーナメント、イン・スペース・ルナ・ダービー、ディープ・スペース・ダービーで構成されています。グラウンドトーナメントで選出された小型宇宙機は、NASA の Orion 宇宙船無人ミッション「Exploration Mission-1」(EM-1)にピギーバッグ(セカンダリーペイロード)としての三つの割り当てスロットにそれぞれ積載され、2018年に SLS 初飛行としての打上げを予定しています。

Space Technology Mission Directorate の管理責任者 Steve Jurczyk は次のように述べています。
「CubeSat を含む小型の衛星開発は、NASAが科学と人類の探査を進める上で新たな宇宙ミッションのコストを削減し、また、EM-1のようなNASAの資金提供を受けた乗り継ぎの機会について、現実的で実践的な研究開発経験を通じて、衛星開発や運営のあらゆる段階で学生や市民の科学者を効果的かつ効率的に迎えることができる。」

Cube Quest は500万ドルの競技会で、チームが月付近の高度な機能を備えたフライト認定 CubeSat を設計、構築、提供するよう挑戦しています。 NASAの100周年チャレンジャープログラムの一環で、政府機関と国家に利益をもたらす課題を解決するために競技会を通じて一般市民に参加しています。

グラウンドトーナメントは、チームそれぞれが、テスト結果、エンジニアリングデータ等の分析を審査員に示し、6か月ごとに開催によって授与されます。グラウンドトーナメント3では7チームが競争しました。

上位5チームは次のとおりです。

1.Team Miles - Fluid&Reason、フロリダ州タンパ(GT-1に1位通過し、GT-2では5位に位置する)
2.Cislunar Explorers - コーネル大学、イサカ、ニューヨーク(GT-1の3位、GT-2では1位通過)
3.CU-E3 - コロラド大学ボルダー(GT-2では4位)
4.KitCube - マサチューセッツ工科大学、ケンブリッジ、マサチューセッツ州(GT-1とGT-2で2位通過)
5.SEDS Triteia - カリフォルニア大学サンディエゴ校(GT-2に3位入賞)
 

これら選ばれたチームは、宇宙船とミッションデザインで、0から5のポイントスケールで、5ポイント以上の得点により授与され、記載された競技目標を達成する可能性が最も高いと判断されました。

NASAのマーシャル・スペース・フライト・センター(Huntsville)で管理されているセンテニアル・チャレンジ(Centennial Challenges)のプログラム・マネージャー、モンシー・ローマン(Monsi Roman)は次のように述べています。
「これらのチームが、この挑戦の最終的な宇宙空間放出の段階に近づいていくなかで、これら小さな衛星による探検を行う過程で大きな進歩をもたらす新たな道を彼らは鍛錬している」

キューブクエストチャレンジは、カリフォルニア州モフェットフィールドのエイムズリサーチセンターで管理されています。 NASAの100周年チャレンジプログラムは、同機関の Space Technology Mission Directorate (STMD) の一環です。 STMD は、革新を推進し、重要なテクノロジー重視分野でソリューションを実現することを目指します。
 

原文 : NASA Awards $30,000 to Top 5 Teams in Third Round of Cube Quest Challenge



First Flight セカンダリーペイロード国際協力枠確定!
May 27, 2016 Updated.


東京大学と JAXA が共同で提案した 6U サイズの深宇宙探査用 CubeSat ” EQUULEUS(エクレウス)(EQUilibriUm Lunar-Earth point 6U Spacecraft) ” が、NASA が2018年に打ち上げを計画している新型ロケット SLS(Space LaunchSystem)の初号機のセカンダリーペイロードとして選定されました.超小型宇宙機による地球・月圏での低エネルギー軌道制御技術の実証や、地球を覆うプラズマ観測などの科学観測を計画しています。超小型探査機による深宇宙探査ミッションの可能性を切り開くべく、東京大学において世界で初めて 50 kg 級の深宇宙探査機バスの実証に成功した PROCYON に引き続き、今回のミッションの検討を進めていきます。

中須賀・船瀬研究室ニュース
 

地球と月のL(ラグランジュ)点探査に向かうエクレウス探査機。
 



NASA SLS ファーストフライトは、オリオン宇宙船とともに小型科学技術宇宙機を深宇宙に送り出す!


2018年(当時の予定)、NASA スペースローンチシステム(SLS)は、13機のキューブサット(小型宇宙機)を無人(今回)オリオン宇宙船打ち上げに伴ってセカンダリーペイロード(ピギーバック衛星)としてファーストフライトを行います。

有人火星ミッションや小惑星への有人でのアクセス、さらにはフォボス、ダイモス探査への進展のための科学技術実証を目的としたこれらのキューブサットを、これまでの地球低軌道投入を大きく超えた軌道に投入するための機会を、EM - 1(Exploration Mission-1)計画というミッション名を以って SLS のファーストフライトにおいて提供されることとなったのです。

「EM - 1 で SLS にセカンダリーペイロードとして搭載される 13 機の小型宇宙機は、サイエンスとエンジニアリングの相補・補完点を明らかにし、火星への有人探査の進捗を速めるだろう」と、NASA 副管理者の Dava Newman 氏は語りました。

原文記事(ほとんどこのページの内容です):Feb. 3, 2016
NASA Space Launch System’s First Flight to Send Small Sci-Tech Satellites Into Space

SLS アルテミス I セカンダリーペイロードの詳細
March 15, 2021 Latest
 



キャプション付きの SLS Gallery 随時更新中!

各ニュースの抄訳と画像を併せてまとめました。時系列で、上から最新記事&画像となっています。もちろん、スマホ対応です。

SLS Gallery - Mar. 29, 2016 Latest

付録ページ : NASA Coloring Sheets & Activities ” に掲載されている Coloring Sheets(塗り絵)を掲載しました。楽しんでください。

SLS 塗り絵



NASA スペースローンチシステムとは


マーキュリー計画、ジェミニ計画、アポロ計画、スペースシャトル計画、国際宇宙ステーションと続いたプロジェクトの発展的な形として、月から火星へ向かう新たなミッションの役割として計画されたコンステレーション計画がありましたが、アポロ計画の二番煎じであるとか、機材等に新規性が見当たらないほか、打ち上げロケットのアレスシリーズへの不安等の理由から、2010年に計画が中止となりました。代わって登場したのがこの SLS であり、コンステレーションと同様な役割に併せてオリオン計画と統合するなど、さらには有人における様々な追加アプローチも検討されております。
 

ファーストフライトに関して

SLS によるミッション計画は、現在様々な提案が出され検討中ですが、それらの説明は割愛し、ここではファーストフライトとしての EM - 1 計画を取り上げていきます。EM - 1 計画は、” Exploration Mission 1 ” の略で、無人オリオン宇宙船とピギーバック宇宙機 13 機の放出を行う SLS ファーストフライトの意です。
 

NASA フロリダ州メリット島 Kennedy Space Center。
 

EM - 1 の打ち上げシステムは、ブロック I で行われます。これは、ブロック 0、I、IA、II とある打ち上げシステムの中で、第一段ロケットに四機の RS - 25D エンジンを搭載したものです。打ち上げは2018年にフロリダ州メリット島の ” Kennedy Space Center Launch Complex 39 ” (上画像は KSC の全景)で行われますが、ウェブ上では未だ射出日を出しておりませんので、ここでも憶測での表記は控えておきます。が、予定日ではなく予測日としては、2018年09月30日(現地時間)とされています。(2016年02月22日時点で、11月打ち上げに変更されています。)
 

キューブサットの選択枠に関して

13 機のキューブサットについて、その選択は NASA の幾つかの部門によって行われております。すでに選ばれて開発が進められているもの、コンペによって選出されるもの、協力関係にある国際的なパートナー向けにも三機の枠が用意されており、我が国でもプロキオンに続くさらに進化した小型宇宙機で挑んで欲しいと思います。
次ページでは選出部門、選択されたキューブサットのミッション内容を説明します。また、右サイドバーには、各キューブサットの最新ニュース・記事を掲載しました。

SLS セカンダリーペイロードの詳細
March 15, 2021 Latest
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office