2022年11月16日15時47分、KSC から宇宙に舞い上がった SLS

SLS ロケットが打ち上りました。コンステレイション計画を経てここまで、待ち続けた瞬間でした。あとはミッション項目の 100% 達成を願うばかりです。以下に、倉敷科学センターの三島さん、さじアストロパークの織部さんなどが撮影された成果をご紹介します。
 

尚、明日未明(12月12日)の宇宙船着水までの観測機会は、以下の三島さんのツイートで解説しておられます。

https://twitter.com/C6H5NH2/status/1601238750692257793

【アルテミス1号(オリオン、オライオン)観測情報】
12月12日未明(日本時間)に地球帰還が予定されていますが、この直前の11日19~22時ごろ、日本から観測できるかもしれません。エリダヌス座、距離 8 万キロ、月明かりあり、明るさの予想は難しいのですが 13 等前後が見込まれます。
 

倉敷科学センター : 三島和久


 

鳥取市さじアストロパーク : 織部隆明


 


 


 


 


アルテミス君の「初めてのお使い」観測キャンペーン


08月29日、09月03日の二度に渡って打ち上げ中止となった、NASA Artemis I SLS 計画ですが、11月04日午前08時30分頃、SLS ロケットとオリオン宇宙船は、格納されていた車両組立棟(VAB)から約 9 時間の旅を経て、フロリダ州にある NASA KSC(ケネディ宇宙センター)の発射台 39B に再び戻ってきました。
 

再打ち上げチャレンジの日程(14→16日に延期)

11月16日 PM 15時47分(JST)打ち上げ開始。
 

11月16日15時47分に打ち上った Orion(オリオン、オライオン、どちらでも)宇宙船の観測条件 - 三島和久

アルテミスのオリオン宇宙船が日本で観測できるとしたら翌朝17日薄明前。おとめ座ガンマ星付近、13万キロ、15等前後。月明かりがある低空。国内でこの程度の視差があります。(1度の写野付き)


画像:Artemis I(アルテミス I )オリオン無人宇宙船の位置。(日本時間16日午後15時47分打ち上げ後に作成)
Image Credit : Kazuhisa Mishima
 

この上見出し 以下ここまでは、打ち上げ延期などによって記述が変更されます。
 


呼び掛けチームは、はやぶさ、はやぶさ2、OSIRIS-REx、べピ・コロンボなどの観測キャンペーンで集ったメンバーです。以下、メンバーにお伺いすると、(※ コメントは、09月28日打ち上げ予定時点でのものです。)



観測のポイント
倉敷科学センター(学芸員)三島和久

ターゲットが月なので、打上げが 1 日変わっただけで観測条件が大きく変わります。事前に傾向を解説しづらい対象です。また個々に位置情報を入手することはできても、HORIZONS だけでは光度情報が得られないため、機材選択など観測計画を立てづらいのではないかと思います。想定される光度は、オリオン宇宙船までの距離が 1 万 2 千キロで 10 等、3 万キロで 12 等、7 万 5 千キロで 14 等、20 万キロで 16 等を目安に観測計画を検討してください。

 

そ、そうなのか、IMOTO もそのように感じていましたが、確かに夜間に観測できる機会があっても月のあかりが凄まじい。打ち上げ日程も不安定な状況。
ということで、オリオン宇宙機の旅程を理解して頂き、打ち上げが何時になろうとも対処できる準備を施しておくということが大事なのかもしれません。



観測の準備状況
鳥取市さじアストロパーク:織部隆明

打ち上げ後、月に向かうオリオン宇宙船の姿を望遠鏡でとらえたいと考えております。前回09月04日夜の撮影に向け、着々と準備をしておりましたが前日夜に延期となり、ちょっと残念でした。
今回設定された最速の打ち上げ日程だと、高さが低いので、もう少し条件が良い打ち上げになるとうれしいですが(^^; まぁいずれにしても、無事に打ち上がって、無事に帰ってきてほしいですね。

 

こんな機会でも、やはり HORIZONS は仕事をしてくれるんですね。頼りになる。ただ HORIZONS から出力されるデータは三島さんおっしゃる通り限定的なので、かつての「はやぶさ地球スイングバイ」のときのような、レンジャー的な観測活動が求められるのかもしれません。つまり、「忍耐力」と「機動力」が必要なのでしょう、と素人の IMOTO の感覚です。



観測への想い
明石市立天文科学館:井上毅

月への夢がアルテミス!ぜひおツキあいください!

盛り上がりますように!

 

井上館長さま、素晴らしいコメント、ありがとうございます!
 

まずは以下の「Artemis I 計画」の旅程をしっかり理解しましょう!地上から見て新月前後以外は観測機会があります。画像を観ながら想像力を思いっきり働かせ、観測チャンスを導き出してください!

月世界へ! オリオン宇宙船を乗せた SLS ファーストフライト
SLS アルテミス I の詳細

また、JPL-HORIZONS のウェブアプリケーションは以下にあります

Horizons System
 


画像:Artemis I(アルテミス I )の軌道。文字が見易いフルサイズ画像は以下から。
2000x1125 px, 935KB
Image Credit : NASA
 

オリオン宇宙船観測呼び掛け人

井上毅、織部隆明、三島和久、安田岳志、吉川真
言い出した人:井本昭
 

これまでに実施された主な観測イベント&キャンペーン

Dec. 04~, 2020 : はやぶさ2 おかえり!2020 共同観測キャンペーン

Apr. 10, 2020 : BepiColombo 地球スイングバイ観測キャンペーン

Sep. 23, 2017 : OSIRIS-REx 地球スイングバイ観測キャンペーン

Dec. 03, 2015 : はやぶさ2地球スイングバイ観測キャンペーン
 



以下に、いつものように観測事前宣言をお送りいただくフォームを置きます。こちらから出来るサポートは多くないと思われますが、呼び掛けチームからアドバイス、新情報等をお送りできる場合もあります。
また、観測に成功した場合も以下のフォームからお知らせください。備考欄に画像の置き場所、観測データ等をお示しください。後にギャラリー化します。さらに、責任を持って届けるべきところにお届けします。
 

観測予定&観測成果お知らせフォーム

観測予定地、氏名、メイルアドレスをご記入してください。あとは任意です。観測予定地以外は総て非公開となります。
 

※ 観測予定地(都道府県から)

※ 氏名

※ 年齢

※ メイルアドレス


 備考 ... 所属団体等あれば記載

 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office