NASA Psyche 探査計画「NASA が独立審査委員会の結果を評価、Psyche ミッションは打ち上げに向けてさらに前進」

原文 : November 04, 2022 : As Psyche Mission Moves Forward, NASA Responds to Independent Review


Psyche ミッションは以前(October 28. JPL News)の発表に違わず計画は順調に進められており、NASA は打ち上げ実施を確定させるために委員会からの勧告を取り入れる予定だ。
 

Imahe caption :
NASA 探査機 Psyche を描いたイラスト。
Credit : NASA/JPL-Caltech/ASU
 

NASA とミッションを率いる JPL(ジェット推進研究所)は、同じ名前の金属を多く含む小惑星 16 プシケを探査するミッションが、予定されていた2022年の打ち上げ機会を逃した理由を精査・判断するために招集された独立審査委員会の結果に対する回答を金曜日に発表した。NASA は、審査会からの勧告を取り入れた。

NASA と JPL の要請で召集された審査会は、JPL の作業量と利用可能な労働力の間の不均衡が遅延の重要な要因であると結論付けた。NASA は今後数ヶ月間、JPL の経営陣と緊密に連携し、報告書で提起された課題に対処していく。審査会は2023年春に再び会合を開き、進捗状況を評価する予定である。

Psyche ミッションについては、人員増強、オープンなコミュニケーションの確立、報告システムの改善、さらにミッションの成功に影響を与える可能性のある問題をより明確にするためのレビューシステムの強化が提言された。

これを受けて Psyche プロジェクトでは、プロジェクト・チーフエンジニアや誘導航法制御認知技術者のポジションを埋めるなど、プロジェクト全体を通して適切な経験を積んだリーダーやプロジェクトスタッフを増員した。JPL はまた、Psyche ミッションを含む複数のプロジェクトで人員不足を積極的に管理するためのチームを結成することになった。

「独立審査委員会の調査結果を聞き、懸念に対処する機会を得たことを歓迎する」と、ワシントンの NASA 科学ミッション本部副長官である Thomas Zurbuchen(トーマス・ザブーケン)は述べた。
「この報告書は本質的に”炭鉱のカナリア”であり、問題を早期に発見して対処することが私たちの仕事だ。このような情報は、Psyche ミッションだけでなく、Europa Clipper(エウロパ・クリッパー)や Mars Sample Return(マーズ・サンプル・リターン)などの今後の重要なミッションのためにも役立つことになる」。

独立審査委員会は、JPL 組織全体についても検討した。報告書では、フライトプロジェクトの人員配置が不十分であること(人員数と経験の両方において)、ライン組織の技術的洞察力の低下、パンデミック後の労働環境に対処するための勧告がなされた。

これを受けて、JPL の組織としての報告手段・構造の変更と検討が行われており、組織的な洞察力と Psyche を含むあらゆるミッションの監視を強化するよう設計されている。JPL はまた、新しい社内スタッフの配置方法を制定し、産業界のパートナーと協力してスタッフのニーズをサポートし、すべてのステージで経験豊富なリーダーシップを強化するための努力を重ねている。

「私は Psyche に対する独立審査委員会の思慮深い仕事に感謝している」と JPL ディレクターである Laurie Leshin(ローリー・レシン)は言った。
「委員会のメンバーは過去数ヶ月間熱心に働いてくれて、JPL が Psyche の打上げ延期に関連する問題点を明らかにし、理解するのを助けてくれた。彼らの洞察は、JPL と NASA が Psyche と、それに続く将来ミッションを成功させるために必要なステップを踏んだと言える」

JPL の人材ニーズをサポートするために、NASA は Venus Emissivity, Radio Science, InSAR, Topography, and Spectroscopy mission(金星の放射率、電波科学、InSAR、地形、分光ミッション”VERITAS”)の打ち上げを少なくとも三年間遅らせることを想定している。この選択により、JPL の経験豊富なスタッフは、戦略的なフラッグシップ・ミッションの開発をさらに進めることができるようになる。また、初期段階である VERITAS を延期することで、Psyche ミッションの継続を可能にするための追加リソースを解放し、他の惑星関連資金のニーズにも好影響を与えることができる。

VERITAS は、金星の水と火山活動を探索するために設計された JPL 主導のミッションである。2021年、JPL のディスカバリープログラム(単一の研究責任者が率いる低コストで競争力のあるミッション・コンペ)の金星探査案二件のうちの一件として選ばれた。イタリア宇宙庁、ドイツ航空宇宙センター、フランス宇宙庁からの協力が予定されているこのミッションは、当初2027年12月に打ち上げられる予定でした。現在では、2031年以降に打ち上げ時期を延ばしている。
 

ミッションの詳細

ASU(アリゾナ州立大学)は、Psyche ミッションを主導する。NASA JPL ジェット推進研究所が、ミッションの全体的な管理、システムエンジニアリング、統合およびテスト、ミッション運用を担当する。カリフォルニア州パロアルトにある Maxar Technologies 社は、高出力太陽電気推進宇宙機のシャーシを提供している。また、打ち上げの管理については、フロリダ州ケネディ宇宙センター(KSC)にある NASA の打ち上げサービスプログラムが担う。

Psyche Mission についての詳細は以下をご覧頂きたい。

Psyche Asteroid Mission | NASA

Psyche Mission | A Mission to a Metal World(ASU)
 

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Karen Fox / Alana Johnson
NASA Headquarters, Washington

2022-091
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office