皆さんから届いた質問とその回答 - Q & A
小惑星リュウグウに関する質問
JAXA Hayabusa2 Project
小惑星リュウグウに関する質問
Q. リュウグウ自身の引力はかなり小さいものと想像してるのですが、自転による遠心力で飛ばされちゃうってことはないですか?また僕が行ったらスーパーマンになれますか?
August 12, 2018 - amu:15才
A. リュウグウと地球の引力ですが、地球の表面加速度が9.8m/s^2くらいですが、リュウグウでは0.15mm/s^2くらいになります。あるいは、地球の引力を振り切る速度(脱出速度)は約11.2km/sですが、リュウグウの場合は37cm/sくらいです。つまり、リュウグウの重力は地球の重力の数万分の一ということになります。
一方、リュウグウの赤道付近での遠心力による加速度は0.02mm/s^2くらいなので、これはリュウグウの重力による加速度よりも十分小さいですから遠心力で飛ばされてしまうということはありません。
なお、リュウグウからの脱出速度が37cm/sくらいですから、リュウグウの上でジャンプをするとこの速度を簡単に越えることができると思います。すると、ジャンプをした人はリュウグウから打ち上がってしまって、リュウグウの表面に戻ることはできません。そのまま太陽の周りを回る“人工惑星”になってしまいます。
Q. 地球から光の距離で約15分、2億8000万キロ離れている小惑星リュウグウの正確な位置は、どうやって分かるんですか?はやぶさ2は、自動でリュウグウに近づける能力を持っているんですか?
August 12, 2018 - 芦川正幸:63才
A. リュウグウの軌道はこれまでの地上からの観測によってかなり正確に分かっています。ですから、計算をすればリュウグウがどこにいるかが分かります。ですが、計算して求めた位置は、本当の位置とわずかに異なります。実際、「はやぶさ2」がリュウグウに到着するちょっと前の時点では、リュウグウの位置の誤差は100kmくらいありました。
そこで、光学電波複合航法というやり方で「はやぶs2」はリュウグウに接近しました。この方法では、「はやぶさ2」に搭載したカメラでリュウグウを撮影し、「はやぶさ2」から見たリュウグウの方向を調べます。その方向のデータと地上と「はやぶさ2」が電波で交信しているデータの両方を使って、「はやぶさ2」の位置とリュウグウの位置の両方を正確に推定するのです。これを繰り返しながら、「はやぶさ2」は地球から約3億kmはなれたところのたった900mの大きさのリュウグウに到着することができました。なお、光学電波複合航法というものは自動ではなく、データを地上に降ろしてプロジェクトメンバーが解析をした上で探査機を制御しています。
Q. 「生命の起源たる炭素を求めて」C型小惑星を探査するわけですが、どれくらい複雑な物質が(仮説として、または期待として)リュウグウに存在しそうでしょうか。また、どんな物質が存在するか、その場探査でどれくらい判明するのでしょうか?
July 20, 2018 - しないつぐみ : 40才
A. まさにご質問の点が、「はやぶさ2」のサンプルリターンで最も注目されているところです。実際にサンプルを持ち帰って分析をしないと分かりませんが、リュウグウの表面物質には、見た目は黒い炭(すみ)やススのような有機物が全体の1%ぐらい含まれていると考えられています。これに比べればわずかな量と想定されていますが、アミノ酸、カルボン酸、核酸塩基、アルコール、など私達がよく知っている生体関連分子も検出されることが期待されています。実際にどのような有機物が存在するのか、非常に楽しみです。
Q. 小惑星リュウグウは、小惑星ということで惑星の中でも小さいことは何となくわかるのですが、その表面での重力はどれほど有り、はやぶさ2が着陸する際に引っ張る力はどの程度あるのか見当もつきません。着陸の際のバランスの取り方などわかりやすく教えていただけないでしょうか?
June 22, 2018 - hiro : 56才
A. 小惑星リュウグウの重力はまだ分かりません。「はやぶさ2」がリュウグウに到着してから、「はやぶさ2」に及ぼされる引力を推定して、リュウグウの質量を求めることになります。現時点では、最もありそうな質量を仮定してミッションを進めています。その質量ですと、リュウグウの表面からその重力に打ち勝って脱出する速度は秒速40cmくらいになります。「はやぶさ」が探査した小惑星イトカワの場合、脱出速度が秒速15cmくらいでしたから、イトカワよりも3倍くらい表面重力が強いことになりますが、それでも表面重力は弱いですね。しかし、その重力を考慮して、タッチダウンなどの接近運用を行います。バランスの取り方ということは特になくて、探査機の姿勢を制御することによって正しい姿勢で着陸をすることになります。
Q. リュウグウはいま点にしか見えていませんが、正確な形が分かるのはいつ頃でしょうか? もうすぐかな?
June 03, 2018 - 飲めや歌えや : 64才
A. 形が見えてくるのは6月半ばくらいですが、正確な形が分かるのは「はやぶさ2」がリュウグウに到着して詳細なデータを取ってからになります。特にリュウグウではその自転軸が黄道面に対して垂直でない可能性があるので、その場合にはリュウグウ全面が観測できるまでさらに時間がかかる可能性があります。正確な形が分かるまで到着してから数ヶ月くらいかかる可能性があります。
Q. 小惑星リュウグウの岩の中の水や湿気についてのあなた(プロジェクトチーム)の予測は何ですか?
June 02, 2018 - 謝宗仁 : 14才
A. 「はやぶさ2」はリュウグウにある水や有機物を調べることが大きな目的ですが、水といっても液体の水とか氷がそのまま存在するわけではありません。水分子が岩石中の鉱物に取り込まれているもので、そのような鉱物を含水鉱物と呼びます。ですから、岩石がぬれていたり湿気があるわけではありません。
Q. リュウグウの鮮明な画像が見られるようになるのはいつになりますか?
June 02, 2018 - 藤田英治 : 47才
A. 鮮明な画像と言いますと、やはり到着の時になると思います。6月中旬くらいからは形は見えてくると思います。
Q. 小惑星リュウグウには、1999 JU3 という、英数字の名前がついていましたが、これにはどういう意味があるのでしょうか?
June 02, 2018 - ともにゃん : 29才
A. まず「正体」を言いますと、これは仮符号と言って、「1999→発見年 J→05月前半U3→95番目に発見」となり、1999年05月15日までの05月前半の観測で95番目に見つけられたということを表しています。
” マサチューセッツ工科大学リンカーン研究所(MIT Lincoln Laboratory) ” 、アメリカ空軍、アメリカ航空宇宙局 (NASA)による、LINEAR(LIncoln Near-Earth Asteroid Research)プロジェクトによる小惑星サーベイで検出されたもので、そのなかで1999年05月10日に検出され、この月前半の95番目に発見されたものが「1999 JU3」ということです。
右ナビ(スマホでは下段のリンク)にある ” はやぶさ2探査機が目指す「1999 JU3」 ” で詳説していますのでご覧ください。
※ この質問は、TPSJ 宛に届いたものに TPSJ が回答したものです。
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