小惑星リュウグウ やはり想定外だった
6月9日にコラムを書いて以来、あっと言う間に3ヶ月が過ぎてしまいました。この間、「はやぶさ2」ミッションでは驚きの連続でしたし、また非常に忙しい状況が続いていました。ちょうど「はやぶさ」がイトカワに到着した2005年9月からの数ヶ月が再び戻ってきた感じです。この忙しさについては、今後もしばらくは続くことになりそうです。
さて、6月9日のコラムの最後に、「いったいリュウグウがどのような天体なのか、、、もうすぐ分かります。」と書きましたが、またしても予想外でした。すでに皆さんよくご承知のように、小惑星リュウグウは“そろばんの珠”のような幾何学的な形をしていました。大きな小惑星は球に近い形をしていますが、ほとんどの小惑星は不規則な形をしています。リュウグウは大きさが900mくらいしかないのに、形が幾何学的ということで、奇しくもそのような小惑星を世界で初めて探査することになったことは非常に画期的だと思います。小惑星の科学もこれで新たな進展があることと思います。
ところが、個人的な予想が当たってしまったことがあります。まだリュウグウの形が分からないうちに、プロジェクトメンバーでリュウグウを予想してみました。一般の皆さんにも「〝小惑星リュウグウ〟想像コンテスト」としてリュウグウを予想していただきましたが、プロジェクトメンバーも予測したわけです。そのときの筆者の予測は、「リュウグウもきっとボルダー(大きな岩)で覆われていて着陸できる場所は限られるのでは?」と書いたのですが、まさにその通りになってしまいました。他の予想は外れているのですが、ボルダーについては当たってしまったわけです。このボルダーの多さは、タッチダウンするには手強いですね。
何か起こるか分からない、これが、世界初のことをやるときに付きものです。今後、MINERVA-ⅡやMASCOTというローバや着陸機をリュウグウ表面に降ろすことをしますし、タッチダウンや衝突装置によるミッションもあります。「はやぶさ」では、MINERVAをイトカワ表面に降ろすことはできませんでしたし、タッチダウンも予定どおりにはできませんでした。「はやぶさ2」はいよいよこれらの難関に挑んでいくことになります。
■ MY(吉川真)2018年09月17日 記
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