ヒューストンから LPSC セッション速報 - Session Report
月・惑星科学会議 - LPSC : March 18~, 2019. Latest
2019 50th Session Report
LPSC 2019 - Day 5
Vol, 27 ~ 28
Sequel 2019/03/24 AM 21:58 日本時間
シャトルと空港では平林さんと一緒になり、今回の特別セッションの盛り上がりの欠如や、口頭とポスターとの振り分けのことなど話しました。宇宙研とか日本にアメリカ NASA 関係の連中が来るときはお客さん振る舞いをしていますが、LPSC は彼らの牙城であり、研究費をちゃんと有効に使った、または今後取るための実績宣伝の場なので、日本のミッションや共同研究者たちの功績を無視すること多いです。決して平和ボケで気を抜いてはいけません。私と佐々木晶さんが小惑星の宇宙風化で迫害されてきたことはその一例にすぎません。
帰りの United の飛行機は遅れたりして大変で、また帰ったらひどい風邪をひいていることがわかり、今苦しんでいます。これからは5月の帰国の日程を煮詰めることと、7月に札幌での隕石学会に出るかどうか考えます。とにかく LPSC はいつもハードです。。。
Vol. 28. 2019/03/23 AM 01:43 日本時間
さて、横田君は未だに忙しかったので、お昼のサンドイッチをまた Which Wich へ買いに行って、セッションに戻りました。
11:15 からは、RELAB に Brachinite を送って来ていた Sam Crossley が、酸化的隕石である Brachinite と Brachinite-like な隕石の起源について語りました。主に Fe-Ni-S の系を微量元素含有量から調べていました。まだ特に明らかな結論が出ているのか理解できなかったですが。
最後の 11:30 からは、以前極地研にいた安武君が NWA 7312 隕石の起源を話していました。岩石ができる時に結晶の方位が鉱物ごとにどのようにそろっているかを調べて岩石変形の履歴とかから議論していたようです。酸素同位体も調べていて、CR コンドライトと関係あるかもとしています。
結果としては、変形は超スピードで起こったはずだということです。原因としては惑星衝突では不適切で、対流効果ではと言っていますが、衝突は高温でゆっくりならいいとか言っていたような。
この時点で、出かける支度をして、シャトルを待ちに行きました。
Vol. 27. 2019/03/23 AM 00:21 日本時間
最終日の今日は午前中だけで、Super 8 をチェックアウトして、荷物を持ってきました。ブラウン大にこの前までいて、北京大学に戻った弟均くんと中共のことを話したり、荷物を Steering Ridge の部屋に置いたりしてからセッションに参加です。今回は三か所を回りました。
最初は原始惑星円盤形成関係のセッションで、08:30 からの Andrea Isella 氏は、ALMA で恒星の周りのダストを見ると、惑星形成で吐き出されたギャップが見えることから、惑星の大きさと軌道を調べていました。今回は、ガス巨星のような木星の10分の一位の大きさのものの話をしていました。惑星移動なのか、ひとつの惑星形成で、複数のギャップができるそうです。
次は衝突と衝撃変成のセッションで、Molly McCanta が輝石に対する衝撃の影響や酸化の影響を可視・近赤外と赤外のスペクトルで比べていました。主に RELAB で私が測定したデータを用いていました。ただ、私が測定したことは言ってなかったし、共著にもなってなかったですが。。。
可視近赤外では、衝撃によるスペクトルの平坦化と吸収帯の弱化は顕著だが、中間赤外では微妙で、衝撃と酸化の違いも可視・近赤外では見分けられるが、中間赤外では難しい。つまり、中間赤外では本来の結晶構造や組成の情報を得て、可視・近赤外では二次的な過程の情報を得られるのではということでした。宇宙風化の効果も同様な状況です。
09:00 からは分化した隕石とその母天体のセッションに移りました。最初は N. Rai さんが、ユレイライトの酸素同位体と、カンラン石中の Mg#、つまり Mg/(Mg+Fe) との相関から、A と B とよぶ二つの成分が母天体の内部と外部にあって、その後の進化と衝突でどうのようにユレイライトができたかをモデル化していました。衝突の専門家の Eric Asphaug からその過程について質問されてましたが、ちょっと理解できなかったです。すみません。
09:15 からは Cyrena Goodrich が、Polymict ureilite 中の 16 個の炭素質コンドライト(CC)岩相の起源に関する発表でした。Almahata Sitta の話もあり、それは私も協力している研究ですが、後で外部から CC のかけらが落ちてきて混ざったという考えにはいろいろ異論があったようです。
もともと中に材料物質としてあって融けなかったとか。ただ、酸素同位体が違うのだからと答えていましたね。私もどちらが良いかわかりませんが、Vesta(ベスタ)に CC 的な暗い物質が混ざっているのが発見されたので、そういうことはあり得るのでは?
この時点で、出てきてこれを書いたり、松岡さんから Ralph へのお見上げを受け取ったり、横田君が暇になったらONC-Tデータの処理の仕方を教わろうかと待機しています。次は 11:15 からの二つの講演を聞いてから、Super Shuttle が来るのを待ちます。
49th report | 51th report(来年ですが)