NASA メガムーンロケット SLS コアステージが主要なテストに合格し、打ち上げ準備が完了


NASA による建造としては過去最強のロケットエレメントであるスペースローンチシステム(SLS)ロケットのコアステージ(第一段)は、昨日木曜日にミシシッピ州ベイセントルイス近くの NASA ステニス宇宙センターで 4 基の RS-25 エンジンを 8分 19秒間燃焼させた。ホットファイアと呼ぶこの試験の成功は、今回の無人テスト飛行で地球に送り返し、将来の有人アルテミスミッションへの道を開く重要なマイルストーンとなる。
 

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2021年3月18日木曜日、ミシシッピ州ベイセントルイス近くの NASA ステニススペースセンターで行われた二回目のホットファイアテスト。この画像と追加の画像は、https://images.nasa.gov/album/Green_Run にアクセスして見ることができる。
Image Credit : NASA/Robert Markowitz
 

八部構成で設計されたグリーンランテスト・キャンペーンでエンジニアは、コアステージを初めは徐々に最終には最高潮に持って行った。チームはテストデータから、実際のフライトにおけるコアステージ設計状況を検証する。

「SLS は NASA がこれまでに製造した中で最も強力なロケットであり、今日のテスト中に、ロケットのコアステージは 7秒以内に 160万ポンド以上の推力を生成した。SLS はエンジニアリングの驚くべき偉業であり、人類を月に再配置するアメリカの次世代ミッションに動力を供給することができる唯一のロケットだ」と、Acting Administrator(代理管理者)である Steve Jurczyk(スティーブ・ユルチク)は述べている。
「本日成功したコアステージのホットファイア試験は、人間を月面に、そしてそれをさらに超えたところに送り出して地球に還すという NASA の目標における重要なマイルストーンとなった」

NASA は過日01月16日にも、SLS コアステージのホットファイア試験を実施した。4 基の RS-25 エンジンは試験の終了直前に、約 1 分間の 4 基同時噴射を初めて行った。この時のデータ分析に続いて NASA は、Artemis I コアステージへのリスクを最小限に抑えながら、実際のフライトのコアステージ設計を検証するために必要である貴重なデータを提供する二回目のより長い今回の高温燃焼テストを決定した。
 

今回二回目のホットファイア試験では、実際にアルテミスが打ち上げられる際に燃焼させる時間と同じ 8 分強の間、エンジンを燃焼させた。長時間の高温燃焼では、4 基のエンジンを特定のパターンで動かして推力を方向調整したり、最大 109% の出力をエンジンに供給、また飛行中と同様なスロットルの開閉調整など、さまざまな動作条件をテストした。

アラバマ州ハンツビルにある NASA マーシャル宇宙飛行センターの SLS プログラムマネージャーである John Honeycutt(ジョン・ハニーカット)は、次のように述べている。
「このテストでチームは、コアステージで初めての新しい操作を実行し、いくつかの重要な操作を繰り返して NASA アルテミスプログラムのファーストフライトと将来の有人 SLS フライトのためのコアステージの準備ができていることを確認するテストデータを記録することが出来た」

コアステージの二つの推進剤タンクは、合計で 733,000 ガロンを超える超低温液体水素と液体酸素を満し、ステージ下部にある RS-25 エンジンに燃料を供給する。コアステージには射出および飛行中に、フライト、追跡および操縦のためのフライトソフトウェアとアビオニクスシステムの複雑なネットワークがある。グリーンランテスト・シリーズが始まる以前のテストでは、コアステージのアビオニクスシステム、推進システムおよび油圧システムの統合機能とパフォーマンスを評価した。

「今日は、NASA、ステニス、そして米国における宇宙探査プログラムにとって素晴らしい日だ。グリーンラン・シリーズの最後であるこの試験は、米国の月への帰還と火星に向けた最終的な有人ミッションの主要なマイルストーンとなるものだ」と、NASA ステニスセンターのディレクターである Richard Gilbrech(リチャード・ギルブレッチ)は述べている。
「NASA と非常に多くの全国の人々が SLS コアステージに貢献したが、特別な認識は、今日のテストを実施するためのテストオペレーター、エンジニア、およびサポート要員からなる混合チームの模範的な努力によるものだ」

ステニスのテストチームは、114 台のタンクローリーと 6 台の推進剤バージのネットワークを管理し、B-2 テストスタンドを介してコアステージに液体推進剤を供給した。テストチームはまた、運用電力の供給、スタンドのフレームデフレクターに毎分 33 万ガロン以上の水の注入、そしてハードウェアとスタンド両方の構造インターフェースの監視・運用を行った。

SLS ロケットのコアステージのテストは、NASA と専門事業者とのパートナーコラボレイションだ。ボーイングはコアステージの元請業者であり、エアロジェットロケットダインは RS-25 エンジンの元請業者である。

このあとコアステージは一新されてフロリダにある NASA ケネディ宇宙センターに搬送される。そこでコアステージは、アルテミス I に備えて、ケネディのスペースシャトル組立棟内にあるモバイルランチャーで、固体ロケットブースターとロケットの他の装備およびオリオン宇宙機本体と組み併せられる。
 

SLS ロケット、オリオン宇宙機、ケネディ宇宙センター地上システムは、有人月着陸システムと地球-月間の軌道ゲートウェイとともに、NASA の深宇宙探査のバックボーンとなるものだ。SLS は、オリオン宇宙機、宇宙飛行士、物資を一度のミッションで月に送ることができる唯一のロケットである。NASA アルテミス計画による月の探査には、アメリカの月から火星への有人探査アプローチの一環として、宇宙飛行士を火星に送る準備が含まれている。
 

NASA SLS の詳細については、次のウェブサイトをご覧いただきたい。

A Explores with Space Launch System

今回のコアステージ・グリーンランテスト・シリーズの詳細については、以下のウェブサイトにある。

SLS Core Stage Green Run Testing
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office