NASA ボイジャー探査機「NASA のエンジニアが昨年来のボイジャー1号データ問題に取り組む」

原文 : March 15, 2024 - NASA Engineers Make Progress Toward Understanding Voyager 1 Issue
 

2023年11月以来、ボイジャー1号機は安定して電波信号を地球に送っているものの、その信号には使用可能なデータが含まれていない。問題の原因は、3 基あるオンボード・コンピュータのうちの 1 基、フライト・データ・サブシステム(FDS)にあるようだ。FDS は、テレメトリ変調ユニット(TMU)によって地球に送信される前に、科学と工学のデータをパッケージングする役割を担っている。

03月03日、ボイジャー・ミッション・チームは、FDS の一つのセクションから、コンピュータの残りの読み取り不可能なデータ・ストリームとは異なるアクティビティを見た。この新しい信号は、FDS が正常に動作しているときに探査機が使用するフォーマットにはまだなっていなかったため、チームは当初、それをどう判断すべきかわからなかった。しかし、深宇宙通信を担うディープ・スペース・ネットワーク(DSN)のエンジニアが、新しい信号を解読し、FDS メモリ全体の読み出しが含まれていることを発見した。

FDS のメモリには、コード(何をすべきかの指示)と、変数(コマンドや探査機の状態に応じて変化するコードで使用される値)が含まれる。また、ダウンリンク用の科学データや工学データも含まれている。チームとしては、この読み出しを問題が発生する前に降りてきたものと比較し、コードと変数の不一致を探し、進行中の問題の原因を突き止めることができる可能性がある。

この新しい信号は、03月01日に探査機に送られたコマンドに起因する。チームでは「poke」と呼んでいるが、このコマンドは、破損した部分を迂回することで問題が解決する可能性を想定し、FDS のソフトウェアパッケージで異なるシーケンスを試すよう穏やかに促すことを意図している。

ボイジャー1号機は地球から150億マイル(240億キロ)以上離れているため、電波が探査機に届くのに22.5時間かかり、探査機の応答が地上のアンテナに届くのにさらに22.5時間かかる。チームは03月03日にコマンドの結果を受け取った。03月07日、エンジニアたちはデータの解読に取りかかり、03月10日、データの中にメモリの読み出しが含まれていることを突き止めた。

チームはその読み出しを分析している。その情報をもとに解決策を考え、実行に移すには時間が掛かりそうだ。

ボイジャーの詳細は以下からご覧頂きたい。

https://voyager.jpl.nasa.gov/
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office