Space Topics 2024
NASA Release 日本語訳解説
延期された NASA アルテミス II、III、進捗状況をクルーと共有
NASA Artemis II SLS「延期された NASA アルテミス II、III、進捗状況をクルーと共有」
原文 : January 09, 2024 : NASA Shares Progress Toward Early Artemis Moon Missions with Crew
NASA は二つのアルテミス・ミッションを延期し、宇宙飛行士の月面歩行は2026年まで待つこととなった。
Imahe caption :
09月20日(水)、フロリダの Kennedy Space Center(ケネディ宇宙センター、以下 KSC)で行われた地上システム統合試験の一環として、発射台39Bに移動する前に、ニール・アームストロング運用・チェックアウトビル内の宇宙飛行士クルー宿舎からアルテミス乗組員輸送用車両に向かって歩き出す(左から)、CSA(カナダ宇宙庁)の Jeremy Hansen(ジェレミー・ハンセン)、NASA の Christina Koch(クリスティーナ・コッホ)、 NASA の Victor Glover(ビクター・グローバー)、Reid Wiseman(リード・ワイズマン)。このテストは、地上システムチームが打ち上げ当日にクルーのタイムラインをサポートする準備ができていることを確認するものである。
Credit : NASA
NASA は火曜日、月での長期的な科学探査の基盤を確立し、女性初、白人以外では初めての宇宙飛行士による月面着陸を実現し、すべての人々の利益のために火星への有人探査の橋頭保となる Artemis(アルテミス)キャンペーンの更新を発表した。これらのミッションを安全に遂行するため、NASA の指導者たちは、アルテミス II とアルテミス III のスケジュールを調整し、チームが初めての開発、運用、統合に伴う課題を克服できるように体制を整えた。
NASA は現在、月周回で最初の有人ミッションとなるアルテミス II 打ち上げを2025年09月、月の南極付近への有人着陸であるアルテミス III は2026年09月へと設定変更した。ゲートウェイ月宇宙ステーションへの最初のミッションであるアルテミス IV は、2028年の予定である。
「我々は、これまでにない方法で月に戻ろうとしており、宇宙飛行士の安全は、将来に渡るアルテミスミッションに備える NASA にとって最優先事項だ」と NASA の Bill Nelson(ビル・ネルソン)長官は述べた。
「アルテミス I 実施以来、我々は多くのことを学んできた。これらの初期のミッションの成功は、我々の太陽系における人類の存在についての理解を深めるための商業的および国際的なパートナーシップに依存している。アルテミスは、私たちが国家として、そして世界的な連合体として成し遂げられることを象徴するものだ。我々が困難なことに力を合わせて照準を向ければ、パートナー各国と共に偉大なことを成し遂げることができる」
クルーの安全を確保することが、アルテミス II のスケジュール変更の主な決定理由である。Orion(オリオン)宇宙船にクルーが搭乗する最初のアルテミス飛行試験として、このミッションは宇宙飛行士をサポートするために必要で重要な環境制御システムと生命維持システムを試験する。クルーの安全を確保し、ミッションの成功を確実にするためのコンポーネントの適格性を確認するための NASA によるテストでは、解決にさらに時間を要する問題が発見された。チームは現在、バッテリーの問題をトラブルシューティングし、空気の換気と温度制御を担当する回路部品の課題に取り組んでいる。
アルテミス I で宇宙船の熱シールドから炭化層の破片が予想外に失われたことに関する NASA の調査は、この春に終了する予定である。チームはこの問題を理解するために、熱シールドの広範なサンプリング、テスト、センサーや画像からのデータの見直しなど、方法論的なアプローチをとってきた。
アルテミス III の新しいスケジュールは、更新されたアルテミス II のスケジュールと整合しており、NASA はアルテミス II から学んだ教訓を次のミッションに確実に反映させることができる。アルテミス有人ミッションのたびに複雑さが増し、新しいシステムの飛行テストが追加されるため、調整されたスケジュールは、新機能を開発するプロバイダ(有人着陸システムはスペース X 社、次世代宇宙服はアクシオム・スペース社)に、ミッションに先立つテストと改良のための追加時間を与えることになる。
「クルーの安全が我々の意思決定の原動力となるよう、ハードウェアが私たちに語りかけてくる。アルテミス II の飛行テストと、それに続く各フライトは、将来の月ミッションのリスクを軽減するために利用される」とワシントンの NASA 本部で探査システム開発ミッション本部副本部長を務める Catherine Koerner(キャサリン・コーナー)は語った。
「我々は、能力と運用に関連する初期課題を既に解決しており、アルテミス計画のもとで地球に最も近い隣人である天体に対して、持続的な探査を確立することにこれまで以上に近づきつつある」
アルテミス II と III のスケジュール更新に加え、NASA は、これまで2025年10月に予定されていたゲートウェイの最初の統合要素の打ち上げスケジュールを見直し、さらなる開発時間を提供し、その打ち上げを2028年のアルテミス IV ミッションとよりよく整合させる。
NASA はまた、アルテミス有人着陸システムのプロバイダである Space X と Blue Origin の両社に対し、今後のミッションで大型貨物を輸送する可能性のある将来のバリエーションに向けて、既存の契約の一環としてシステム開発で得た知識の適用を開始するよう要請したことを明らかにした。
「アルテミスは、宇宙飛行士と共に月で科学を行い、将来の火星有人ミッションに備えるための長期探査キャンペーンだ」と、探査システム開発担当副管理官で、NASA 本部の月・火星プログラムオフィスのマネージャーである Amit Kshatriya(アミット・クシャトリヤ)は言う。
「クルーの安全は、私たちの最優先事項であり、これからもそうあり続けるだろう」
NASA のリーダーたちは、ミッションにおいて利用可能なハードウェアを用いて飛行目標を最大限に達成できるよう、すべてのパートナーが期限内に納品することの重要性を強調した。NASA は定期的に進捗状況とスケジュールを評価し、NASA とそのパートナーが月から火星までの探査目標を成功裏に達成できるよう、統合的なプログラム計画の一環としている。
アルテミス計画によって、NASA はかつてないほど多くの月探査を行い、故郷を離れて生活し働く方法を学び、赤い惑星への将来の有人探査に備える。NASA の SLS(スペース・ローンチ・システム)ロケット、探査地上システム、オリオン宇宙船は、有人着陸システム、次世代宇宙服、ゲートウェイ月宇宙ステーション、将来の探査機とともに、深宇宙探査に向けた NASA の基盤となっている。
アルテミス協定の詳細は、以下のウェブで閲覧できる。
日本惑星協会による Artemis II SLS の特設ウェブは以下にある。
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Kathryn Hambleton / Rachel Kraft
NASA Headquarters, Washington
Akira IMOTO
Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan