NASA OSIRIS-APEX(オシリス・アペックス、オサイリス・エイペックス)Mission「NASA OSIRIS-APEX、小惑星アポフィス到達に向けて太陽に接近通過」

原文 : NASA´s OSIRIS-APEX to Fly Closer to Sun to Reach Asteroid Apophis

Posted on December 01, 2023

かつて OSIRIS-REX と呼ばれた NASA の小惑星探査機は、OSIRIS-APEX(オサイリス・エイペックスもしくはオシリス・アペックス)として生まれ変わり、小惑星アポフィス探査への途上にあるが、探査機は、最初の大きな試練に直面しようとしている。

2024年01月02日の太陽への最接近(近日点)では、OSIRIS-APEX は太陽から約 4650 万マイル(地球と太陽の距離のおよそ半分)の距離をフライバイするが、これは金星の軌道のかなり内側を通るものだ。しかし、これは探査機が小惑星 Bennu(ベヌー)の探査運用のために設計された距離よりも 2500 万マイルも太陽に近い。アポフィスでのランデブー・ミッションは、サンプルを採取するために小惑星ベヌーに飛ぶという当初のミッション計画ではなかったからである。

2021年05月に OSIRIS-REx(Origins, Spectral Interpretation, Resource Identification, and Security - Regolith Explorer)がサンプル採取に成功してベヌーを出発したとき、燃料は 1 / 4 ほど残っており、観測機器の状態も良好だった。そこでチームは、2023年09月24日にベヌーのサンプルを地球に届けた後、探査機をシャットダウンして太陽を永遠に回る軌道に送り込む代わりに、小惑星アポフィスへのボーナス・ミッションに探査機を派遣することを提案した。NASA はこれに同意し、OSIRIS-APEX(Origins, Spectral Interpretation, Resource Identification, and Security - Apophis Explorer)が誕生した。

今度の近日点通過は、OSIRIS-APEX が2029年04月にアポフィスに到達するために行う、3 回の地球重力アシストを伴う 6 回の太陽接近軌道通過の最初のものである。ミッション・パートナーである Lockheed Martin Space(ロッキード・マーティン・スペース)社のエンジニアたちは、これらの難関をに臨む間、重要なコンポーネントを安全に保つため、独創的な宇宙機構成を開発した。
 

Imahe caption :
太陽方向から見た OSIRIS-APEX 探査機。手前の太陽電池アレイは太陽に背を向けているため、パネルの裏側が見えている。これにより、探査機の重要な部分が遮光されている。後方の太陽電池アレイは(直接ではないが)太陽に向いており、発電に使用されている。
Credit : NASA/Goddard/University of Arizona
 

「探査機が航行中で、ミッションのニーズを満たすために限界に挑戦しているときが、最も創造的だ」と、コロラド州リトルトンにあるロッキード・マーティン・スペース社の OSIRIS-APEX プログラム・マネージャーであり、OSIRIS-REx で同じ役割を担った Sandy Freund(サンディ・フロイント)は語った。

オーバーヒートを防ぐため、探査機は太陽に対して一定の姿勢を保ち、太陽電池アレイの一つを最も敏感なコンポーネントの陰になるように再配置する。熱モデルは、この構成が探査機を安全に保つことを示している。

「我々は、宇宙機が安全に航行することを確実にするために多くのモデリングを行った」と、アリゾナ大学ツーソン校で OSIRIS-APEX の主任研究員を務める Dani Mendoza DellaGiustina(ダニ・メンドーサ・デラジュスティーナ)は言う。
「但し、宇宙を航行するハードウェアの設計基準を超えて使用する場合はリスクは当然、常にある」
 


OSIRIS-APEX 探査機周辺の軌道アニメイション。
 

探査機は今週、二つある太陽電池アレイのうち一つを格納するコマンドを実行している。

この間、探査機は活動を停止し、テレメトリなどの重要なシステムだけがオンになる。地球との通信は低データレートで行われるため、ミッションチームは探査機の状態に関する限られた情報しか受け取ることができない。03月と04月に OSIRIS-APEX が太陽から遠く離れたら、エンジニアたちは観測機器の電源を入れ、テストを行う予定である。

Lonnie Shekhtman(ロニー・シェクトマン)Wrote.
 

More About the Mission(ミッションの詳細)

Goddard は、OSIRIS-REx の全体的なミッション管理、システムエンジニアリング、および安全性とミッションの保証を提供する。アリゾナ大学ツーソン校の Dante Lauretta(ダンテ・ローレッタ)が主任研究員である。大学は、科学チームとミッションの科学観測計画およびデータ処理を主導している。コロラド州リトルトンにあるロッキードマーティンスペースは、宇宙船を製造し、飛行操作を担う。Goddard と KinetX Aerospace は、OSIRIS-REx 探査機のナビゲートを担当している。OSIRIS-REx は、NASA ニューフロンティア計画の三番目のミッションであり、アラバマ州ハンツビルにある NASA マーシャル宇宙飛行センターによって管理されている。

OSIRIS-REx の詳細については、以下のWebサイトをご覧いただきたい。

OSIRIS-REx | NASA
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office