NASA OSIRIS-REx Mission「OSIRIS(オシリス、オサイリス)-REx 探査機の地球フライバイ、あらゆる事態を想定したシナリオで臨む」

原文 : August 17, 2023 : Guest Blog: Preparing for Any Sample Return Scenario

Sandra Freund Posted on August 17, 2023


ロッキード・マーチン社、OSIRIS-REx プログラム・マネージャ、Sandra Freund(サンドラ・フロインド)による投稿です。
 

09月24日、NASA OSIRIS-REx 探査機サンプルリターンミッションによって獲得した小惑星ベンヌのサンプルが地球に到着する。このミッションの惑星間航行の旅は何年にも渡って行われ、放出されたサンプルリターンカプセルがユタ州の砂漠に着陸し、私たちのチームによって安全に回収された時点で終了する。

これまでのところ、OSIRIS-REx ミッションは順調に進んできたが、サンプル回収を確実に成功させるためには、いくつかのシナリオを想定して計画を立てなければならない。そのために、カプセル着地までの数ヶ月間にリハーサルを行う予定だ。これらのリハーサルには、カプセルの放出を探査機に指示するフライトチームと、カプセルをユタ州の砂漠からクリーンルーム施設に運ぶ回収チームが参加する。
 

Sandra Freund

Sandra Freund, OSIRIS-REx Program Manager, Lockheed Martin Space. Credit: Lockheed.



私たちは、カプセルの地球到着時のミスを最小限に抑え、精度を最適化するために、事前に練習を行う。さまざまなシナリオをシミュレートすることで、我々のチームは課題を予測し、それに効果的に対処するためのコンティンジェンシー・プランを練ることができるのだ。

今日の軌道修正マヌーバは、OSIRIS-REx が09月24日に地球に帰還するために必要な最終調整である。09月10日と17日のあと二回のマヌーバは、ソルトレイクシティ近郊にある国防総省のユタ試験訓練場にカプセルを着地させるために、探査機からのリエントリ・カプセル放出地点をコントロールするためのものである。

私自身は、コロラド州リトルトンにあるロッキード・マーティンの OSIRIS-REx プログラム・マネージャーとしてフライトチームを監督し、回収チームのリーダーと協力して、予想されるサンプルの放出と回収に対するいかなる逸脱にも対応できるようにしている。

09月24日の早朝、チームはサンプルカプセルを放出するためのコマンドを探査機に送る。すべてが計画通りに進むことを期待しているが、どのような宇宙ミッションでもそうであるように、複雑な事態が起こる可能性がある。探査機や、サンプル回収カプセルのハードウェアに潜在的な問題が発生する可能性、ソフトウェアのエラーが発生する可能性を予測しなければならない。

チームは最近、探査機が予期せず再起動し、セーフモードに移行する状況をリハーサルした。セーフモードとは、宇宙船の健全性を保つために必要なシステム以外が停止することである。チームは、セーフモードから宇宙船を復帰させる練習をした。ハイレート通信の再確立、宇宙船へのファイルの再ロード(新しい携帯電話を購入し、アプリや連絡先を再追加する必要があるときと同じ)、通常運用のための再設定などが含まれる。
 

Imahe caption :
小惑星ベンヌ表面からのサンプル採取成功を祝う OSIRIS-REx チームメンバー。2020年10月20日。
Credit : NASA/NASA's Goddard Space Flight Center.
 

標準的な準備プロセスの一環としてこのようなシナリオのリハーサルを行うことで、チームは一丸となって問題解決に取り組み、どんな事態にも備えることができる。これらのリハーサルは、回収成功の可能性を最大化し、貴重な小惑星サンプルを理想的に保存すること保証する。

私は、OSIRIS-REx 探査機のエンジニアリングと、どんな状況にも適応できるチームの能力に自信を持っている。09月に小惑星ベンヌへの壮大な旅を終えてリエントリ・カプセルを地球に運ぶ役割を担う彼らチームメンバーの活躍を見るのが待ち遠しくてしょうがない。
 

More About the Mission(ミッションの詳細)

Goddard は、OSIRIS-REx の全体的なミッション管理、システムエンジニアリング、および安全性とミッションの保証を提供する。アリゾナ大学ツーソン校の Dante Lauretta(ダンテ・ローレッタ)が主任研究員である。大学は、科学チームとミッションの科学観測計画およびデータ処理を主導している。コロラド州リトルトンにあるロッキードマーティンスペースは、宇宙船を製造し、飛行操作を担う。Goddard と KinetX Aerospace は、OSIRIS-REx 探査機のナビゲートを担当している。OSIRIS-REx は、NASA ニューフロンティア計画の三番目のミッションであり、アラバマ州ハンツビルにある NASA マーシャル宇宙飛行センターによって管理されている。

OSIRIS-REx の詳細については、以下のWebサイトをご覧いただきたい。

OSIRIS-REx | NASA
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office