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Artemis I - Flight Day 20:Orion 宇宙船が地球帰還のためのパワード・フライバイを実施
NASA Artemis(アルテミス) I SLS「Artemis I - Flight Day 20:Orion 宇宙船が地球帰還のためのパワード・フライバイを実施」
原文 : December 05, 2022 : Artemis I - Flight Day 20: Orion Conducts Return Powered Flyby
Leah Cheshier Posted on December 5, 2022 09:28 pm, (CST)
Orion(オリオン、オライオン)宇宙船は、12月11日(日)の地球への帰還に向けて順調に航行している。Orion は、12月05日(月)午前10時43分(CST:米国中部標準時、日本より 15 時間遅れ)に二回目にして最後の月への接近を行い、地球帰還に向けたフライバイ燃焼の直前に月面の上空 80.6 マイルを通過した。
Imahe caption :
地球帰還のためのフライバイ燃焼を実施した宇宙船。三日月と、同様の地球がカメラに収まった。
Credit : NASA
今回の燃焼は、ヨーロッパ製のサービスモジュールに搭載されたメインエンジンを 03 分 27 秒間に渡って使用し、宇宙船の速度を約 655 mph(961フィート/秒)変化させた。これは、飛行試験における最後の主要なエンジン操作であった。
「Orion の帰還航行が始まった今日、チームは宇宙船を月面のわずか 80 マイルの高度でフライバイさせるという、またしても記録的な成果を達成した。この月面フライバイにより、宇宙船は月の重力アシストによって地球へ向かうスリングショットとなり、地球海洋に着水することが可能になった」と Bill Nelson(ビル・ネルソン)長官は述べた。
「Orion の大気圏再突入時は、これまで以上に高温で高速となる。数日後には再突入だ!」
月面フライバイ数時間前の CST 午前04時43分、サービスモジュールの反応制御系スラスタを用いて、軌道修正燃焼を実施した。この燃焼は 20.1 秒間続き、宇宙船の速度を 1.39 mph(2.04 フィート/秒)変化させた。
Artemis(アルテミス)I ミッション管理チームは、12月11日の Orion 海洋着水に先立ち、カリフォルニア沖に回収装置の配備を決定した。オリオンが着水すると同時に、ダイバー、エンジニア、技術者のチームが小型ボートで船を出発し、カプセルに到着する手順となる。そのあとカプセルを固定し、ウェルデッキと呼ばれる船体後部に牽引するための準備する。ダイバーは、ウィンチ・ラインと呼ばれる宇宙船を船内に引き込むためのケーブルと、宇宙船と繋ぐ最大 4 本のテンジング・ラインを取り付ける。ウィンチは、宇宙船を船のウェルデッキ内にある特別に設計されたクレードルに引き込み、他のラインは宇宙船の動きを制御する。オリオンがクレードルの上に配置されると、ウェルデッキの水が抜かれ、オリオンはクレードルに固定される。
「先週我々は、アルテミス I ミッションでの回収船となる ”USS ポートランド”との最終リハーサルを終えた」と NASA KSC(ケネディ宇宙センター)の着陸・回収ディレクター、Melissa Jones(メリッサ・ジョーンズ)は言う。
「我々は、Orion 宇宙船を回収するという目的を達成するために、”USS ポートランド”と協力して手順を改良し、チームを統合するという素晴らしい三日間を過ごすことができた」
Orion 宇宙船はアルテミス I ミッションの月周回航行で、約 8050 ポンドの推進剤を使用したが、これは打ち上げ前の予想より 180 ポンド少ない。結果として現在の宇宙船には、2,075 ポンドの余裕が残された。
CST 12月05日午後05時29分現在、Orion は地球から 244,629 マイル、月から 16,581 マイルの距離を移動中で、時速 668 マイルで巡航している。
この Artemis I ミッションの画像は、NASA のジョンソンスペースセンターの ” Flickr ” アカウントと ” イメージ・ビデオライブラリ ” で閲覧が可能だ。
アルテミス計画は、「アポロ月面探査」の経験を基に設計されている。アルテミス計画によって、人類は再び月面に戻り、今度はそこに長期滞在することになる。NASA は革新的な技術を駆使し、月周回軌道上に設置されたゲートウェイ宇宙ステーションと先進の宇宙服やローバーを使って、月の南極やこれまでに行われなかった多くの月面を探査する予定だ。NASA は、国際的なパートナーや商業的なパートナーと協力して、月面に初めて長期滞在するための道を切り開くだろう。そして、月やその周辺で学び、火星有人探査への大きな一歩を踏み出すのだ。
Akira IMOTO
Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan