NASA Artemis(アルテミス) I SLS「打ち上げ日確定前の点検報告から現在までの NASA ブログ」

NASA Posted on October 06-12-28, 2022
 


1. 打ち上げ日決定前のロケット・宇宙船の点検を実施中

原文 : October 06, 2022 : Inspections Underway for Rocket, Spacecraft Before Setting Launch Date
 

フロリダ州にある NASA ケネディ宇宙センター(KSC)では、11月の Artemis(アルテミス)I ミッションの打ち上げに向けて、スペースローンチシステム(SLS)ロケットと Orion 宇宙船の準備が進められている。今週行われる打ち上げ体制の評価で、NASA は SLS と Orion を発射台 39B に戻すための作業スケジュールを確定させる予定だ。

ハリケーン「イアン」の猛威が過ぎ去った後に作業を再開して以来、チームは SLS と Orion が設置されたエリアに作業プラットフォームを展開し、外装の評価と内部部品へアクセスし検査を行ってきた。外装については、ロケットや宇宙船の熱保護システムの緩和材(発砲スチロール)やコルクに、修理が必要なものがないを確認する。また、中間低温推進ステージとブースターのフライトバッテリ、およびブースターとコアステージのフライト終了システムのバッテリを交換する予定である。

また、再充電の必要な CubeSat への対応も行われる。Orion 宇宙船の内部では、カプセルに搭載される生物学実験のための試料やバッテリーの補充、乗員席の加速度計や宇宙放射線実験に関連するバッテリーの充電などの作業が行われる予定だ。

ロケット組立棟のチームがチェックアウトを完了する間、管理者は米国宇宙軍と調整し、東部射場での打ち上げ日を確保するとともに、NASA が次の打ち上げの目標日を決める前に、他の部署と協力して潜在的な制約を評価している。

ケネディ宇宙センター地域は、ハリケーン「イアン」の影響をほとんど受けなかったが、より西側に居住する多くのチームメンバーは、嵐によて多大な影響を受け、まだ回復半ばの状態にある。マネージャはチーム本体と協力し、彼らが家族のケアや家の修復に対応するための必要な時間とサポートが確保できるよう努めている。
 



2. 月探査機 Artemis I SLS の次回打ち上げ日を決定

原文 : October 12, 2022 : NASA Sets Date for Next Launch Attempt for Artemis I Moon Mission
 

NASA は、アルテミスIミッションの次の打ち上げを11月14日(月)と定めた。Orion 宇宙船を搭載したスペースローンチシステム(SLS)ロケットの発射は、米国東部時間(EDT)午前12時07分に始まる 69 分間の打ち上げウィンドウで計画されている。アルテミス I 計画は、SLS を打ち上げ、Orion を月周回させ、地球に帰還させるための無人飛行試験で、有人飛行の前にシステムを徹底的にテストするものとなっている。

前週までの点検・分析により、ハリケーン「イアン」によるロールバック(ロケット組立棟(VAB)に戻す作業)後、フロリダ州ケネディ宇宙センターの発射台 39B にロケットと宇宙船を改めて展開するために必要な作業は最小限に留まることが確認されている。 今後、熱防護システムの発泡材とコルクで発生した小さな損傷を修復し、ロケット、複数の副衛星、飛行終了システムのバッテリーを充電または交換する標準的なメンテナンスが行われる予定だ。早ければ11月04日(金)にロケットを発射台まで戻すことができる。

NASA はバックアップとして、11月16日(水)午前01時04分と11月19日(土)午前01時45分の 2 時間の打ち上げ機会を求めている。11月14日に打ち上げられた場合、ミッション総期間は約 25 日半となり、12月09日(金)に太平洋に降下する。
 



3. Artemis I SLS の打ち上げ再設定は、発射台へのロールアウトに向けて各チームは順調で円滑な作業を進めている

原文 : October 28, 2022 : Teams On Track for Artemis I Rollout to Launch Pad
 

スペースローンチシステム(SLS)ロケットと Orion 宇宙船は、11月04日(金)午前00時01分(日本時間)までに、車両組立棟(VAB)から発射台 39B まで移動する予定となっている。

詳細な点検で判明した軽微な修理は、ほぼ完了している。現在 VAB では、ランチャーアームとアンビリカルの構成や、Orion を乗せた SLS ロケットを囲むアクセスプラットフォームの格納を継続しながら、ロールアウトに向けた準備が進められている。

ツインブースターのリアクションコントロールシステムのテストと、飛行用バッテリーの取り付けが完了し、これらのコンポーネントについては飛行準備が整った。また、中間低温推進ステージ(ICPS)のバッテリーの交換も完了し、ICPS が正常に機能することを確認するための一連のテストに使用される電源が入れられた。ICPS、ロケットステージアダプタ、コアステージ上部スカート部分の最終的な信頼性確認が完了した。

チームは引き続き、コアステージのインタータンクエリアとブースターの上段でバッテリの交換作業を行う。これらのエリアは、残りのバッテリとフライト停止システムの作業を補完するために開放されたままとなっている。来週からインタータンクとブースターのフライト停止システムの試験が始まり、完了すれば打ち上げに向けた準備が整う。Orion ステージアダプタの二次ペイロードの充電は既に完了している。

また、クルーモジュールの閉鎖に先立ち、Orion 内部の放射線測定器とクルーシートに設置された加速度計の充電、交換、再設置が行われた。さらに射場では、宇宙生物学実験装置用の試料をリフレッシュする。射場への移動のため、クルーモジュールとローンチアボートシステムのハッチが閉じられ、射場では打ち上げに向けた最終のクローズアウトが行われる。

来週早々には、クローラトランスポーターを VAB の外側の所定の位置に移動させる。なお、打ち上げ予定時刻は、引き続き11月14日午前00時07分(日本時間)を目指している。
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office