Space Topics 2022
NASA Blogs (Ja) 日本語訳解説
Artemis(アルテミス) I SLS「ウェットドレスリハーサル」その後の状況
原文 : NASA Blogs on April 12-14, 2022
NASA Artemis I SLS「アルテミス I「ウェットドレスリハーサル」その後の状況
04月12日のカウントダウン開始準備から直近の試験報告までをまとめました。
#01
NASA、Artemis I SLS 月探査計画、カウントダウンに向けて進行中
原文 : Tiffany Fairley Posted on April 12, 2022 : Artemis I Update: Countdown is Underway for Wet Dress Rehearsal
米国東部標準時夏時間(EDT)の04月12日午後05時、Artemis I SLS 打ち上げチームは、NASA ケネディ宇宙センターの発射管制センター内それぞれの持ち場に就いた。カウントダウンは午後05時30分から始まる。Artemis I ミッションの今回の試験である「ウェットドレスリハーサル」で設定した目標の T-0(発射想定時間)の 45 時間 10 分前に開始されるということだ。
チームは、ケネディの地上システムとともに、コアステージ(第一段)のタンキング(推進剤の充填、排出等)と中間低温推進段(ICPS)の一定量の推進剤オペレーションを主目的として修正テストを進めている。タンキング作業は04月14日(木)に行われる予定だ。
Space Force 45th Space Wing(宇宙軍第45宇宙航空団)所属の気象予報官は、推進剤充填作業時は好天に恵まれるだろう、と予測している。
気象条件として、タンキング作業の最初の 1 時間は、パッド(発射台)から 5 海里以内において、雷の発生確率が 20 % 未満でなければならないと定められている。また、風速は 37.5 ノットを超えてはならず、気温も華氏 41 度以下と決められている。
一晩掛けて、オリオン宇宙船と SLS(スペースローンチシステム)ロケットのコアステージを通電、バッテリー充電、併せて点火はしないが 4 基の RS-25 エンジンを設定する。
今回の試験に関しては、特定された機能やテスト目的に関連した運用実証がいくつか予定されているため、それぞれの実施タイミングが、打ち上げ本番カウントダウン当日と異なる場合がある。これらの実証には、極低温システムのテストや、本番打ち上げ日には行われないターミナルカウント内の約 3 分間のホールドタイムが含まれる。また、消耗品や持ち合わせるリソースによって試験目的を達成できる場合には、カウントダウン再開前の状態を確認するために必要に応じてホールドしたり、試験ウィンドウを使用したり、ウィンドウを延長した運用を行うこともある。(訳者注:打ち上げの実際には不明な部分が多く、この辺りの状況がよく解らない。原文を確認頂きたい)
このブログと併せ、NASA は Exploration Ground Systems の Twitter アカウントでライブ更新を提供している。また NASA は、YouTube の Kennedy Newsroom チャンネルで、発射台 39B でのロケットと探査機のライブ映像を配信している。カウントダウンの大部分では、発射台の活動の様子は見られないと思われるが、04月14日のタンキング作業時には、いくつかのイベントが見られるかもしれない。
#02
Artemis I 最新情報:リハーサルの準備が進む
原文 : Madison Tuttle Posted on April 13, 2022 : Artemis I Update: Preparations Continue, Rocket’s Core Stage Powered Up
一昼夜に渡り、打ち上げチームは、オリオン宇宙船と SLS ロケットのコアステージ(第一段)への通電を続けた。宇宙船とジョンソン宇宙センター内のミッションコントロールセンターとの通信回線状況が確認され、リハーサルでは点火することの無い 4 基の RS-25 エンジンの設定が続けられた。今後数時間、チームは宇宙船のバッテリー充電、アンビリカル(液体燃料や電源供給などを担う接続ホース)の最終準備と今回の試験のクローズアウト作業を行う予定となっている。
アンビリカルは、電力、通信、冷却水、燃料をロケットのさまざまな部分への供給パイプだ。このほか、ロケットと宇宙船の姿勢安定も担う。打ち上げ時には、それぞれのアンビリカルが接続点から外れ、ロケットは発射パッドから安全に離陸していく。
ミッション管理チームは、米国東部時間午前11時に会合を開き、運用状況を確認する予定。次回の更新は、会議の終了後に掲載される予定。
#03
Artemis I 最新情報:アンビリカルの最終準備が整う
原文 : Tiffany Fairley Posted on April 13, 2022 : Artemis I WDR Update: Final Umbilical Preparations Complete for Artemis I
移動発射台、SLS ロケット、オリオン宇宙船の完全な接続へのアンビリカル(液体燃料や電源供給などを供給する接続パイプ)の最終準備が完了した。
アンビリカルは、電力、通信、冷却水、燃料をロケットのさまざまな部分への供給パイプだ。このほか、ロケットと宇宙船の姿勢安定も担う。打ち上げ時には、それぞれのアンビリカルが接続点から外れ、ロケットは発射パッドから安全に離陸していく。
また、ロケットと地上設備がタンキング作業に適した状態にあることを確認するための最終的なウォークダウン(打ち上げ作業手順の検証)を行い、危険となる異物がロケットの近くにないかを確認している。
次回の更新は、04月14日午前、ミッション管理チームによるタンキング前ブリーフィングに先立って運用状況を確認し、タンキング作業への移行を「GO」するかどうかを判断するために行われる予定。
タンキング作業のゴーサインは04月14日を目標に、Exploration Ground Systems の Twitter アカウントでリアルタイムに更新される予定。また、NASA は YouTube の Kennedy Newsroom チャンネルで、ロケットと宇宙船のライブ映像を配信している。
#04
SLS ロケットの中間低温推進段(ICPS)とブースターが通電し、カウントダウン準備も進む
原文 : Rachel Kraft Posted on April 14, 2022 : Artemis I Update: Rocket’s Upper Stage and Boosters Powered Up, Countdown On Track
SLS ロケットの中間低温推進段(ICPS)とブースターは、夜間に通電された。現在、推進剤充填作業(タンキング)に向けて、発射台周辺にいる関係者以外の立ち退きを行っているところだ。
EDT 午前06時、打ち上げチームは 1 時間 30 分のビルトインホールド(打ち上げまでの待機時間)に入る予定。この間にミッション管理チームは、作業の状況を確認し、天候に関するブリーフィングを受け、タンキング作業を進めるかどうかの「GO」「NO」の判断を下す。
タンキング作業のマイルストーンには、ロケットのコアステージ(第一段)に数十万ガロンの液体酸素と液体水素を充填することが含まれる。この作業は、推進剤を充填し、補給し、さらに補充するという一連の異なる作業で行われる。数日前に見つかったロケットのヘリウムチェックバルブ(逆止弁)の不具合は発射台で修理できないため、ロケットの上段には極低温推進剤は充填されない。
#05
三回目の試みとなる「ウェットドレスリハーサル」が終了
原文 : Madison Tuttle Posted on April 14, 2022 : Artemis I WDR Update: Third Test Attempt Concluded
モービルランチャーの基部にあり、ロケットのコアステージ(第一段)に接続するテールサービスマスト・アンビリカル(液体燃料や電源供給などを担う接続ホース)で液体水素(LH2)の漏れが確認され、チームは EDT 17時10分ごろ、本日の「ウェットドレスリハーサル」試験を終了した。この液体水素の漏れは、充填作業中に発見され、チームは試験を完了することができなくなった。
試験停止までに、上段に推進剤を充填するためのラインを冷却し(推進剤注入不可のため)、中間低温推進段(ICPS)の試験目標は達成された(推進剤充填までのチェックができたということ)。数日前に判明したヘリウムの逆止弁の問題により、推進剤を上段に流さなかった。
推進剤の充填を中断した時点で、ロケットのコアステージ(第一段)の液体酸素タンクは約 49 %、液体水素タンクは水素漏れの前までに約 5 % の容量まで充填されていた。
現在は、ロケットから推進剤を抜き取る作業を行っている。今後、アンビリカル接続部の点検や取得されたデータの確認を行い、液体水素漏れの対応策を練る。
NASA は、04月15日にメディア向けの遠隔会議を開催し、トラブルシューティングや「ウェットドレスリハーサル」試験の次のステップに関する最新情報を提供する予定だ。
Akira IMOTO
Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan