NASA ボイジャー探査機「ボイジャー1号機、地球への正常な送信を再開」

原文 : April 22, 2024 - NASA&cute;s Voyager 1 Resumes Sending Engineering Updates to Earth
 


様々な工夫を凝らした結果、ボイジャー・ミッション・チームは五ヶ月ぶりに、現存する人類によって送り届けられた最も遠い「人工構造物」の健康状態とステータスをチェックすることができるようになった。
 

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NASA 探査機ボイジャー1号の想像図。探査機は2012年に星間空間(星と星の間の空間)に突入した。
Credit : NASA/JPL-Caltech
 

NASA ボイジャー探査機1号機は昨年11月以来初めて、搭載されたエンジニアリング・システムの健康状態とステータスに関する使用可能なデータを送ってきた。次のステップは、探査機が再び科学データを返せるようにすることである。ボイジャー1号機、2号機は、星間空間(星と星の間の空間)を飛行した唯一の探査機である。

ボイジャー1号は2023年11月14日、読み取り可能な科学・工学データの地球への送信を停止した。2024年03月、南カリフォルニアにある NASA JPL(ジェット推進研究所)のボイジャー・エンジニアリング・チームは、この問題が探査機に搭載された三つのコンピュータのうち、フライト・データ・サブシステム(FDS)と呼ばれるものに起因していることを確認した。FDS は、地球に送信される前の科学技術データをパッケージングする役割を担っている。
 

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五ヶ月ぶりにボイジャー1号機の健康状態に関するデータを受け取ったボイジャー・フライト・チームのメンバーは、20日、NASA JPL(ジェット推進研究所)の会議室で祝杯をあげた。手前右から二人目は、元カッシーニ・プロジェクト・サイエンティストで、現ボイジャー副プロジェクトサイエンティストの Linda Spilker(リンダ・スピルカー)氏。
Credit : NASA/JPL-Caltech
 

研究チームは、FDS コンピュータのソフトウェアコードの一部を含む FDS メモリの一部を保存している一つのチップが動作していないことを発見した。そのコードが失われたことで、科学と工学のデータは使用不能となった。チップを修理することができないため、チームは影響を受けたコードを FDS メモリの別の場所に配置することにした。しかし、コードのセクション全体を保持するのに十分な大きさの場所はひとつもない。

そこで彼らは、影響を受けたコードをセクションに分割し、そのセクションを FDS の別の場所に格納する計画を考案した。この計画を機能させるためには、例えば、それらのコード・セクションが今後も全体として機能するように調整する必要もあった。FDS のメモリの他の部分にあるコードの場所への参照も、同様に更新する必要があった。

チームはまず、探査機のエンジニアリング・データをパッケージングするコードを特定することから始めた。そして04月18日、そのコードを FDS メモリ内の新しい場所に送信した。地球から 150 億マイル(240 億キロ)以上離れたボイジャー1号機に電波が届くには約 22 時間半かかり、地球に電波が戻ってくるには同様に 22 時間半かかる。04月20日に探査機から通信があったことで、ミッション・フライト・チームはこの改造がうまくいったことを確認できた。五ヶ月ぶりに探査機の「健康状態」を確認することができたのだ。

今後数週間の間に、チームは FDS ソフトウェアの影響を受ける他の部分の再配置と調整を行う。これらには、科学データを地球に送信する部分も含まれる。

ボイジャー2号機は通常通り運用されている。46 年以上前に打ち上げられた双子のボイジャー探査機は、歴史上最も長く、最も遠い「人工宇宙構造物」である。恒星間探査を開始する前、両探査機は土星と木星を、ボイジャー2号は天王星と海王星を通過した。

ボイジャーの詳細は以下からご覧頂きたい。

https://voyager.jpl.nasa.gov/
 



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office