NEO (NEA) 地球近傍小天体探査「NASA の惑星レーダー(DSN)が、ゆっくりと回転する小惑星を撮影」

原文 : February 26, 2024 : NASA´s Planetary Radar Images Slowly Spinning Asteroid


小惑星 2008 OS7 が2024年02月02日に地球に接近する間に、宇宙機関の DSN(ディープ・スペース・ネットワーク)の惑星レーダーは、スタジアム・サイズの小惑星の詳細な画像を収集した。
 

Imahe caption :
小惑星 2008 OS7 が02月02日に地球に最接近する前日、この一連の画像は、カリフォルニア州バーストウ近郊の強力な 230 フィート(70 メートル)ゴールドストーン太陽系レーダーアンテナ(DSN)によって撮影された。
Credit : NASA/JPL-Caltech
 

2024年02月02日、大きな小惑星が地球から約 180 万マイル(290 万キロメートル、地球と月の間の距離の 7.5 倍)の距離を安全に通過した。「2008 OS7」と呼ばれるこの小惑星が地球に衝突する危険性はなかったが、南カリフォルニアにある NASA JPL(ジェット推進研究所)の科学者たちは、この地球近傍天体(Near Earth Object)の大きさ、回転、形状、表面の詳細をより正確に把握するために、強力な電波アンテナを使用した。この接近まで、小惑星 2008 OS7 は地球から遠すぎて、惑星レーダーシステムはそれを画像化することができなかった。

この小惑星は、2008年07月30日、ツーソンのアリゾナ大学に本部を置くNASA 出資の Catalina Sky Survey(カタリナ・スカイ・サーベイ)による NEO の定期探査中に発見された。発見後、小惑星の表面から反射された光の量を観測した結果、小惑星の幅はおよそ 650 フィートから 1,640 フィート(200 メートルから 500 メートル)で、29 時間半ごとに1回転する比較的遅い自転であることが判明した。

2008 OS7 の自転周期は、チェコ共和国のオンドジェヨフにあるチェコ科学アカデミー天文研究所のペトル・プラヴェック(Petr Pravec)氏によって算出されたもので、彼は小惑星の光度曲線、つまり天体の明るさが時間とともにどのように変化するかを観測した。小惑星が自転すると、その形状の変化により、天文学者が見る反射光の明るさが変わり、その変化は小惑星の自転周期を理解するために記録される。

02月02日の接近の間、JPL のレーダー観測チームは、カリフォルニア州バーストウ近くの DSN(ディープ・スペース・ネットワーク)の施設にある強力な 230 フィート(70 メートル)のレーダー・アンテナ・ディッシュ(皿状のアンテナの意)を使って小惑星を撮像した。科学者たちが発見したのは、小惑星の表面は丸みを帯びた部分と、小さな凹みを持つ角張った部分が混在しているということであった。また、小惑星の幅が約 500 から 650 フィート(150 から 200 メートル)と、以前に推定されていたよりも小さく、自転が非常に遅いことも確認された。

ゴールドストーン・レーダー(DSN は、マドリッドとキャンベラ、本施設を併せて世界三箇所に設置されて、24時間観測体制を築いている)による観測は、小惑星が通り過ぎる際の地球からの距離の重要な測定も提供した。これらの測定は、NASA の地球近傍天体研究センター(CNEOS)の科学者たちが、小惑星が太陽を回る軌道の計算を修正するのに役立つ。小惑星 2008 OS7 は、2.6 年周期で太陽を公転し、金星の軌道の内側から周って最も遠いところでは火星軌道に達する楕円軌道を持つ。

JPL が管理する CNEOS は、潜在的な衝突の危険性の評価を提供するために、すべての既知の NEO 軌道を計算する。その軌道の地球への接近レベルとその天体規模から、2008 OS7 は潜在的に危険な小惑星として分類されているが、02月02日の接近は、少なくとも今後 200 年間で地球に最も接近するものである。

NASA はあらゆる大きさの NEO について報告しているが、万が一我々の惑星に衝突した場合、地上に大きな被害をもたらす可能性のある 460 フィート(140 メートル)以上の大きさの天体の検出と追跡を議会から委任されている。

ゴールドストーン太陽系レーダー・グループと CNEOS は、ワシントンの NASA 本部にある惑星防衛調整局(Planetary Defense Coordination Office)内の NASA 地球近傍天体観測プログラム(Near-Earth Object Observations Program)によってサポートされている。ディープ・スペース・ネットワークは、同じく NASA 本部の宇宙作戦ミッション本部内の宇宙通信・航法(SCaN)プログラム・オフィスからプログラムの監督を受けている。

惑星レーダー、CNEOS、地球近傍天体(NEO)に関する詳細は、以下を参照されたい。

Center for NEO Studies

Asteroid Watch

NASA's Planetary Defense Coordination Office(NASA 惑星防衛調整局:PDCO)の詳細については、以下。

Planetary Defense | NASA

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Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

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