JPL News (Ja) - Space Topics 2023
JPL News (Ja) 日本語訳解説
NASA Juno 探査機が、Ganymede(ガニメデ)の表面で塩類と有機物を観測
NASA Juno(ジュノ、ユノ)ミッション「NASA Juno 探査機が、Ganymede(ガニメデ)の表面で塩類と有機物を観測」
原文 : October 30, 2023 : Salts and Organics Observed on Ganymede's Surface by NASA's Juno
Juno(ジュノ、ユノ)ミッションによって収集されたデータは、木星最大の衛星 Ganymede(ガニメデ)の表面に塩類と有機化合物が湧き出している可能性があることを示している。
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木星の衛星ガニメデのこの拡大画像は、Juno 探査機が2021年06月07日にこの氷の衛星をフライバイした際に、JunoCam imager(ジュノカム・イメージャ)によって撮影された。このデータは、ガニメデ表面の塩と有機物の存在を検出するために使用された。
Image Credit : NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Kalleheikki Kannisto © CC BY
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衛星ガニメデの複雑な表面の様子は、上と同じく2021年06月に接近した Juno 探査機によるもの。最接近時、探査機はガニメデの表面からわずか 650 マイル(1,046 km)以内に近づいた。
Image Credit : NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSSImage processing by Thomas Thomopoulos © CC BY
NASA Juno ミッションは、木星の衛星 Ganymede(ガニメデ)の表面に鉱物塩と有機化合物を観測した。このデータは氷衛星の接近フライバイ時に、搭載された JIRAM(Jovian InfraRed Auroral Mapper)分光計によって収集された。この発見は、ガニメデの起源や氷下海洋の組成をより深く理解するのに役立つ可能性があり、10月30日付の学術誌『Nature Astronomy(ネイチャー・アストロノミー)』に掲載された。
内惑星の水星よりも大きいガニメデは、木星の衛星の中で最も大きく、その氷の地殻の下に湛えられた広大な海洋の存在は、長い間科学者の大きな関心を集めてきた。NASA のガリレオ探査機やハッブル宇宙望遠鏡、欧州南天天文台の超大型望遠鏡によるこれまでの分光観測では、塩類や有機物の存在が示唆されていたが、これらの観測では空間分解能が低すぎて断定はできなかった。
2021年06月07日、Juno は最接近高度 650 マイル(1,046 km)でガニメデのフライバイを行った。最接近の直後、JIRAM は衛星面の赤外線画像と赤外線スペクトル(光をどのように反射するかに基づく物質の化学的指紋)を取得した。イタリア宇宙庁(Agenzia Spaziale Italiana)によって提供された JIRAM は、木星の深部から現れる赤外線(肉眼では見えない)を捕らえるために設計され、ガス惑星木星の雲の頂上から 30~45 マイル(50~70 km)下の気象層を探ることができる。この観測装置は、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト(発見者のガリレオにちなんでガリレオ衛星と総称されている)の地形に関する洞察も提供することができる。
フライバイ中に得られたガニメデの JIRAM データは、赤外線分光法としては前例のない空間分解能を達成した。これにより、Juno の科学者たちは、水和塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、そしておそらく脂肪族アルデヒドを含む非水氷物質のユニークなスペクトルの特徴を検出し、分析することができた。
「アンモニア化した塩の存在は、ガニメデが形成される際にアンモニアを凝縮させるほど冷たい物質が蓄積された可能性を示唆している。炭酸塩については、二酸化炭素に富んだ氷の残骸かもしれない」
ローマにあるイタリア国立天体物理学研究所の Juno 共同研究員で、論文の主執筆者である Federico Tosi(フェデリコ・トシ)は語った。
Juno による木星圏探査
ガニメデの磁場に関する以前のモデリングでは、衛星の赤道領域は緯度約 40 度まで、木星の地獄のような磁場によって作られる高エネルギーの電子と重イオンの砲撃から遮蔽されていることが判明した。このような粒子束の存在は、塩類や有機物に悪影響を与えることがよく知られている。
2021年06月のフライバイで JIRAM は、木星に面した半球の狭い緯度範囲(北緯 10 度から北緯 30 度)と広い経度範囲(東経マイナス 35 度から東経 40 度)をカバーした。
「磁場に守られた緯度の暗い地形と明るい地形に、塩類と有機物が最も多く含まれていることがわかった」と、サンアントニオにあるサウスウエスト研究所の Scott Bolton(スコット・ボルトン)主任研究員は言う。
「これは、この凍った世界の氷下海洋が表面に到達し、深海のかん水(塩化ナトリウムなどの塩分を含んだ水)の名残りを見ていることを示唆しているようだ」
ガニメデは、Juno が通過した唯一の木星衛星ではない。氷の地殻の下に海洋があると考えられている Europa(エウロパ)も、2021年10月と2022年09月に Juno の視線の下に入った。そして今、Io(イオ)がフライバイの対象になっている。火山で覆われた世界への次の接近は12月30日に予定されており、探査機はイオの表面から 932 マイル(1,500 km)以内に接近する。
ミッションの詳細
Juno ミッションは、NASA JPL(ジェット推進研究所)が管理している。プロジェクトは、サンアントニオにあるサウスウエスト研究所所属のスコット J. ボルトンがチームを率いる。
Juno は NASA のニューフロンティア計画の一部であり、アラバマ州ハンツビルの NASA マーシャル宇宙飛行センターにおいて、NASA 科学ミッション本部が管理している。宇宙船の製造・運用は、デンバーにあるロッキード・マーチン・スペース社が行っている。
Juno の詳細については、以下のURLを参照頂きたい。
News Media Contact
DC Agle
Jet Propulsion Laboratory, Pasadena, Calif.
Karen Fox / Alana Johnson
NASA Headquarters, Washington
Deb Schmid
Southwest Research Institute, San Antonio
2023-101
Akira IMOTO
Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan