NASA Juno(ジュノー)ミッション「NASA Juno(ジュノー)探査機が木星の衛星 Io(イオ)に最接近」

原文 : July 26, 2023 : NASA's Juno Is Getting Ever Closer to Jupiter’s Moon Io


ソーラーパワーで駆動する探査機は、07月30日に木星の燃え盛る衛星イオを訪れる。
 

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左から、ガニメデ、エウロパ、イオの三つの木星の衛星と木星を、ジュノー探査機の JunoCam イメージャが収集したデータから作成したもの写真イラストで並べた。
Image Credit : NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS. Image processing: Kevin M. Gill (CC BY); Thomas Thomopoulos (CC BY)
 

NASA Juno(ジュノー、ユノ)探査機が07月30日(日)に木星の燃えるような衛星 Io(イオ)の近接フライバイするが、今回はこれまでで最も低高度の接近であり、13,700 マイル(22,000 キロ)の距離を通過する。イタリアから提供された JIRAM(Jovian InfraRed Auroral Mapper)とその他の科学機器によって収集されるデータは、火山で覆われた衛星全体に溶けて流れ出した溶岩と亜硫酸ガスを噴き出す数百を数える活火山に関する豊富な情報を我々に与えるだろうと期待されている。

「JIRAM は木星の極オーロラを見るために設計されたが、熱源を特定するその能力は、イオの活火山を探すのに最適であることが分かっている」とサンアントニオの Southwest Research Institute(サウスウエスト研究所)の Scott Bolton(スコット・ボルトン)Principal Investigator(主任研究員、PI)は語った。

「JIRAM およびジュノーに搭載された他の観測機器は、フライバイを重ねるごとに衛星に関するデータのライブラリを増やし、地表の特徴をより明確にするだけでなく、それらが時間とともにどのように変化するかを理解することを可能にしている」
 

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上と右下は、2023年05月に撮影された木星の衛星イオの JunoCam イメージャ画像で、ヴォルンド A 火山と B 火山を囲む溶岩地帯が大きくなっているように見える。過去の NASA の探査機は、左下の1996年と中央下の2007年に同じ領域を撮影している。
Image Credit : NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS. Image processing: Jason Perry (CC BY)
 

2011年に打ち上げられたこのソーラーパワーで駆動する探査機は、2016年以来、木星系を観測・調査しており、07月31日に延長が決まったミッションの三年目が始まる。
 

イオのホットスポット

地球の月よりわずかに大きいイオは、常に過酷で破滅的な世界だ。太陽系最大の惑星である木星は、イオを永遠に重力的に引っ張るだけでなく、イオのガリレオ衛星仲間である Europa(エウロパ)や太陽系最大の衛星 Ganymede(ガニメデ)も同様に引っ張る。その結果、イオは絶えず伸び縮みし、それは多くの火山から噴出する溶岩の生成に関係する。

ジュノーがイオを最後にフライバイした05月16日、JunoCam imager(ジュノーカム・イメージャー)が 22,100 マイル(35,600 km)から撮影した写真には、イオの赤道付近のヴォルンドエリアに染み(smudge、スマッジ)のようなスポットが写っていた。このようなスマッジは、惑星科学者にとっては動かぬ証拠(smoking guns)である。

「ガリレオとニュー・ホライズンズのフライバイ(1999年と2007年)で同じ地域を撮影した可視光画像と比較すると、ヴォルンドエリアでは溶岩流のフィールドが西に拡大し、ヴォルンドのすぐ北にある別の火山では新鮮な溶岩流がそれを取り囲んでいる。イオは非常に活発な火山活動で知られているが、16 年ぶりにこのような変化を再び間近で見ることができてとても嬉しい」とアリゾナ大学 HiRISE オペレーションセンターの Jason Perry(ジェイソン・ペリー)は語った。

同じ05月16日のフライバイ中に、JIRAM は決定的な証拠を発見した。イタリア宇宙庁(Agenzia Spaziale Italiana)によって開発されたこの赤外線イメージャは、イオ最大の火山窪地である幅 125 マイル(202 キロ)のロキ・パテラを捉えることができた。JIRAM のデータは、1 ピクセルあたり 6 マイル(10 キロ)以下で、活火山である可能性を明らかにした。チームは次のフライバイでもう一度観察してみたいと考えている。

「このデータは、溶岩が火山の北西部で表面に泡立つように噴出し、南と東に溶岩湖を形成している可能性を示している」と National Institute for Astrophysics in Rome(ローマ国立天体物理学研究所)のアレッサンドロ・ムーラ共同研究員は語った。
「火山学者なら誰でも、溶岩湖に表面下からの安定した物質源があるかどうかを判断することが重要だと言うだろう。これらのデータ、そして今後のフライバイで収集するデータは、イオで起きている火山活動の種類を理解する上で極めて重要なものとなるだろう」
 

若手科学者による木星探査への取り組み

07月17日、サウスウエスト研究所のボルトンをはじめとするミッションのメンバーは、ローマ大学でヨーロッパ各地から集まった 49 名の学生や若手科学者と会い、ジュノーが木星とその衛星について得た最先端のデータに関する一週間のワークショップに参加した。

「我々のミッションの成功には、ヨーロッパの科学・工学コミュニティからの貢献が欠かせない。今回の参加は、我々にとって大きな意味を持つコミュニティに恩返しをするためのささやかな手段なのだ」とボルトンは語った。
「ワークショップでは、学生や若手研究者がジュノーの科学チームのメンバーと協力して、私たちのデータに基づくエキサイティングな科学プロジェクトを開発することができた。私が見たもの、そして若い人たちの熱意から見て、このヨーロッパでの惑星探査の未来は明るいと思っている」
 

ミッションの詳細

Juno ミッションは、NASA JPL(ジェット推進研究所)が管理している。プロジェクトは、サンアントニオにあるサウスウエスト研究所所属のスコット J. ボルトンがチームを率いる。
Juno は NASA のニューフロンティア計画の一部であり、アラバマ州ハンツビルの NASA マーシャル宇宙飛行センターにおいて、NASA 科学ミッション本部が管理している。宇宙船の製造・運用は、デンバーにあるロッキード・マーチン・スペース社が行っている。

Juno の詳細については、以下のURLを参照頂きたい。

Juno - mission to Jupiter

Mission Juno
 

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Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO TPSJ Editorial Office