JPL News (Ja) - Space Topics 2022
JPL News (Ja) 日本語訳解説
NASA Juno(ジュノー)探査機、延長ミッションで木星衛星探査
NASA Juno(ジュノー)ミッション「Juno 探査機、延長ミッションで木星衛星探査」
原文 : December 14, 2022 : NASA's Juno Exploring Jovian Moons During Extended Mission
木星衛星 Ganymede(ガニメデ)と Europa(エウロパ)を近接フライバイ探査を行った Juno(ジュノー)探査機は、次の探査候補として衛星 Io(イオ)を目指す。
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ジュノー探査機は、2022年07月05日、約 5 万マイル(約 8 万キロメートル)離れた木星の火山衛星イオの赤外線画像を撮影した。この赤外線画像は、ジュノーに搭載された Jovian Infrared Auroral Mapper (JIRAM) という観測機器が収集したデータから作成されたものである。この画像では、色が明るいほど温度が高い。
Image Credit : NASA/JPL-Caltech/SwRI/ASI/INAF/JIRAM
NASA Juno(ジュノー)ミッションは、木星の内部群衛星の継続的な探査の皮切りに、12月15日に衛星 Io(イオ)を撮像する予定だ。木星内部群を探査する拡張ミッションの二年目である現在、太陽電気推進の探査機は、2021年にガニメデ、今年初めにエウロパの接近フライバイを実行した。
「ジュノー探査機の延長ミッションに木星衛星探査が含まれていることに、チームは本当に興奮している」と、Southwest Research Institute(サウスウェスト研究所)の Scott Bolton(スコット・ボルトン)主任研究員は語った。
「ジュノー搭載のセンサーは木星を探査するための設計だが、木星衛星を観測するというマルチな役割を果たせることに感動している」
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木星の衛星ガニメデの磁場(青い線)が、木星の磁場(オレンジの線)とどのように相互作用し、乱れるかを表現した動画。
Image Credit : NASA/JPL-Caltech/SwRI/Duling
2021年06月07日のガニメデ・フライバイに関する複数の論文が、このほど Journal of Geophysical Research(ジャーナル・オブ・ジオフィジカル・リサーチ:査読付き科学ジャーナル)および Geophysical Research Letters(ジオフィジカル・リサーチ・レター:隔週査読の科学ジャーナル)に掲載された。これらの論文には、フライバイ観測で得られたデータから、衛星内部、表面組成、電離層、および木星磁気圏との相互作用に関する知見が含まれている。09月09日のジュノーによるエウロパへのフライバイの結果、エウロパの氷殻を初めて三次元で観測・表現した。
氷殻下
ジュノーのマイクロ波放射計(Microwave Radiometer:MWR)は、フライバイの間、木星の衛星探査に三次元的要素を加えた。ガニメデとエウロパの水氷殻の下を覗き、その構造、純度、温度について、地表から約 24 km の深さまでデータを取得するという画期的なものだ。
探査機搭載の JunoCam(ジュノーカム)と過去の木星探査機による可視光画像から、ガニメデの表面には古くて暗い地形と若い年代の明るい地形・明るいクレーター、そして表層殻変動に関連する可能性のある線状の地形が混在していることが判明した。
「MWR のデータを地表画像と組み合わせてみると、地形の違いは肌感覚(うわべを見た程度)だけではないことが判ってきた」とボルトンは言う。
「若くて明るい地形は暗い地形よりも冷たく見え、最も冷たい地域は、都市サイズの衝突クレーターである Tros(トロス)だ。科学チームによる最初の分析では、ガニメデの導電性の氷殻の平均厚さは約 30 マイル以上であり、特定の地域では氷が著しく厚い可能性があることが示唆された」
磁気圏の Fireworks(花火、激発)
2021年06月にジュノー探査機がガニメデに接近した際、ジュノ-搭載の「磁場(MAG)・木星オーロラ分布実験(JADE)」装置が、木星とガニメデの間の磁場のつながりが壊れ、再構築される証拠を示すデータを記録した。紫外線分光器(UVS)は、ガニメデを取り囲む二つの楕円で形成された紫外線オーロラ発光で、同様の事象を観測している。
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2022年09月29日、JunoCam が撮影した木星最北端のサイクロン(画像下端に沿って右側に見える)の画像。
Image Credit : NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSSImage processing by Navaneeth Krishnan S CC BY 3.0
「太陽系最大の惑星を隣人に持つと、総ての事象において容易いものは無く、衛星にとっては総てが重大なことばかりだ」と、SwRI のジュノー科学者である Thomas Greathouse(トーマス・グレートハウス)は言う。
「これは、ガニメデにおいて初めて測定された複雑な相互作用であった。ESA(欧州宇宙機関)の JUICE(JUpiter ICy moons Explorer)ミッションと NASA の Europa Clipper ミッションから将来、得られるであろう情報の端緒を、非常に早い段階で刺激的に我々に伝えるものだ」
将来の火山衛星イオ
太陽系で最も火山が多い衛星である Io(イオ)は、今後一年半の間、ジュノーチームの注目対象であり続けるだろう。12月15日の探査は、これから始まる 9 回のフライバイのうちの最初のもので、うち 2 回はわずか 930 マイル(1,500 km)まで接近する予定だ。ジュノーの科学者たちは、これらのフライバイ観測を通して、マグマに覆われた衛星イオで初の高解像度モニタリングキャンペーンを行い、イオの火山や火山噴火が木星の強力な磁気圏やオーロラとどのように相互作用するかを調べる予定だ。
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NASA が誇るインタラクティブなウェブアプリケイション、「NASA JPL Eyes」で、Juno の位置を確認できる。画像をクリックすると、別窓で「Juno 軌道」を表示する。引っ張ったり伸ばしたり縮めたりして楽しめる。ここに表示しているのは画像であり、カーソルを当てて何度ドラッグしても 1 ㎜ も動かないのでご注意。太陽系全体を見たければ、” こちらをクリック ” すると、これも別窓で表示する。
Image Credit : NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS
ミッションの詳細
Juno ミッションは、NASA JPL(ジェット推進研究所)が管理している。プロジェクトは、サンアントニオにあるサウスウエスト研究所所属のスコット J. ボルトンがチームを率いる。
Juno は NASA のニューフロンティア計画の一部であり、アラバマ州ハンツビルの NASA マーシャル宇宙飛行センターにおいて、NASA 科学ミッション本部が管理している。宇宙船の製造・運用は、デンバーにあるロッキード・マーチン・スペース社が行っている。
Juno の詳細については、以下のURLを参照頂きたい。
News Media Contact: 2022-196
DC Agle
Jet Propulsion Laboratory, Pasadena, Calif.
Karen Fox / Alana Johnson
NASA Headquarters, Washington
Deb Schmid
Southwest Research Institute, San Antonio
Akira IMOTO
Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan