NASA Juno(ジュノー)ミッション「Juno 探査機による Europa(エウロパ)初フライバイ、最高解像度での撮像に成功」

原文 : October 05, 2022 : NASA's Juno Gets Highest-Resolution Close-Up of Jupiter's Moon Europa


Juno 探査機がエウロパをフライバイする際に捉えた画像は、衛星の氷殻下の海洋世界をクロースアップしたものであり、驚愕の画像と類のない科学をもたらした。
 

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2022年09月29日のフライバイ時にナビゲーションカメラである、Stellar Reference Unit(SRU)が取得した画像。
Image Credit : NASA/JPL-Caltech/SwRI
 

NASA Juno 探査機が撮影した木星衛星エウロパの特定部分に関する最高解像度の画像からは、大きく割れた氷殻の不可解な領域を詳細に見ることができる。

この画像は、エウロパの表面の約 93 マイル(150 キロメートル)×125 マイル(200 キロメートル)をカバーしており、細かい溝と二重尾根(氷の高さを示す一対の長い平行線)のネットワークが交差している領域の存在がわかる。画像右上付近と中央右下には、氷殻下からのプリュームによって放出されたものと思われる黒いシミ模様が見える。中央下と右側には、南北 42 マイル(67 キロメートル)、東西 23 マイル(37 キロメートル)の、まるで音符のような形状が見られる。画像内の白点は、衛星周辺の厳しい放射線環境から侵入した高エネルギー粒子の痕跡である。

Juno 探査機の航行を維持するナビゲーションカメラである、Stellar Reference Unit (SRU) によって、2022年09月29日のエウロパフライバイ(約 256 マイル (412 km))を実施した際にこのモノクロ画像を取得した。1 ピクセルあたり 840~1,115 フィート(256~340 メートル)の解像度を出したこの画像は、木星の雲頂で反射する太陽光「ジュピターシャイン」によって薄暗いエウロパの夜側の表面を、Juno が秒速約 15 マイル(24 キロメートル)で駆け抜ける際に撮られたものである。
 

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NASA が誇るインタラクティブなウェブアプリケイション、「NASA JPL Eyes」で、Juno の位置を確認できる。画像をクリックすると、別窓で「Juno 軌道」を表示する。引っ張ったり伸ばしたり縮めたりして楽しめる。ここに表示しているのは画像であり、カーソルを当てて何度ドラッグしても 1 ㎜ も動かないのでご注意。太陽系全体を見たければ、” こちらをクリック ” すると、これも別窓で表示する。
Image Credit : NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS
 

低照度環境で用いるために設計された SRU は、木星大気の浅い部分の光観測、木星の謎めいたリング系の撮影、そして今回、エウロパの最も魅力的で特別な氷表層を観測するなど、貴重な科学ツールであることも証明されている。

SRU の主任共同研究者である Heidi Becker(ハイディ・ベッカー)は、「この画像は、過去にこれほどの解像度と照明条件で撮影されたことのない領域を、非常に詳細に解き明かしている」と述べた。
「このチームは、ナビゲーションカメラを科学観測に利用することで、Juno が画期的な能力を備えていることを示す好例となった。撮られたこれらの地形は非常に興味深いものだ。この地形がどのように形成され、エウロパの歴史とどのように結びついているかを理解することは、氷殻を形成する内部および外部のプロセスについて私たちに情報を与えてくれるだろう」

今後数週間、データの分析に追われるのは SRU の科学者たちだけではない。今回の木星周回中も、フライバイ七時間半後の木星極地方通過の際も重ねてデータの取得は行われるのだ。

「Juno ミッションは当初、木星探査を主目的としていた」と、Southwest Research Institute(SRI:サウスウェスト研究所)の Scott Bolton(スコット・ボルトン)主任研究員は語る。
「今回のエウロパのフライバイで Juno は、木星圏において我々が最も注目する二つの氷衛星のクロースアップを獲得したんだ。それぞれの氷殻は互いに全く異なるものに見える。2023年には、太陽系で最も火山活動の活発な天体である衛星イオが Juno サイエンスの仲間入りをする予定だ」
Juno は、2021年06月に衛星 Ganymede(ガニメデもしくはギャニミード:太陽系最大の衛星)の接近フライバイを実施した。
 

エウロパは、地球の衛星である月の約 90% の赤道直径を持ち、太陽系で六番目に大きい衛星だ。科学者たちは、何マイルもの厚さの氷殻の下に塩分を含んだ海洋があると確信しており、その海洋における生命存在の可能性に期待している。2030年代初頭、NASA の探査機「エウロパ・クリッパー」が到着し、エウロパでの生命存在可能性に関するこれらの疑問に答えるべく深探査する予定だ。つまり、Juno が得たデータは次のエウロパ・クリッパー・ミッションで明らかになることを予見しているものと言える。
 

ミッションの詳細

Juno ミッションは、NASA JPL(ジェット推進研究所)が管理している。プロジェクトは、サンアントニオにあるサウスウエスト研究所所属のスコット J. ボルトンがチームを率いる。
Juno は NASA のニューフロンティア計画の一部であり、アラバマ州ハンツビルの NASA マーシャル宇宙飛行センターにおいて、NASA 科学ミッション本部が管理している。宇宙船の製造・運用は、デンバーにあるロッキード・マーチン・スペース社が行っている。

Juno の詳細については、以下のURLを参照頂きたい。

Juno - mission to Jupiter

Mission Juno
 

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Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

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