Dawn ミッション:低空飛行で解き明かす、高輝度エリア、オッカトルクレータの謎


NASA Dawn 探査機は、06月06日に矮惑星ケレスでの最終ミッションとなる最も低い軌道に達し、何千もの驚くべき画像やその他のデータを我々に送り届けている。
 

Imahe description :
Cerealia Facula(クレータの中央の明るい領域)の西側に位置する、特色の顕著な山を撮影したモザイク画像。2018年6月22日、約 21 マイル(34 キロメートル)の高度から Dawn によって捉えられた。
尚、画像はレイアウトの関係でトリミングを行っている。元画像は ” Prominent Mound in Ceres' Cerealia Facula Region ” からご覧いただきたい。
Image credit: NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA
 

フライトチームは、探査機をケレスの表面から約 22 マイル(34 km)の高度にまで近づける軌道に乗せ、オッカトルクレータ(Occator Crater)や周知の高輝度スポット、その他の興味深い地域の詳細を得ることができた。これまでに三年間以上のケレス周回を続けたなかでの最低高度は、240 マイル(385 キロメートル)程度であったが、この現在の表面スレスレとも言える低高度軌道により、矮惑星ケレスの細部まで調査が可能となっている。

この低軌道運用により、Vinalia Faculae 地域(反射率の低いクレータの群)の明るい物質と暗い物質との相関について、これまでにない詳細を我々にもたらした。さらに、Dawn 探査機搭載の赤外線マッピング分光器は、地球上の蒸発残留岩によく見られる物質である炭酸ナトリウムでできた明るい鉱床を発見していた。
先週、Dawn はオレゴン・クレータの中央にある、炭酸ナトリウムの巨大な堆積物である Cerealia Facula に接近するため、イオンエンジンの稼働を行った。

「このような壮大な画像データを取得することは、異質な地球外探査を行う Dawn プロジェクトの最大の課題の一つであり、その結果はこれまでを大きく超えるものだ」と Dawn ミッションのチーフエンジニアでありプロマネの Marc Rayman は語った。
「Dawn はケレスを描画するマスターアーティストのようなものだ」

これら低軌道ミッションで得た画像に含まれる豊富な情報や、今後数週間に亘り計画されたミッションから得られる情報は、ファサラ(faculae、ケレスの明るい地点)の起源、これまでに地球外で観測された最大のものである炭酸塩の堆積物、また、火星において現在抱える関連した疑問の解明にも役立つだろう。
他、科学者たちは、鉱物を含む水の浅い地下の貯留層、または、ブライン(塩が富化された液体水)のより深い部分から、材料がどのように暴露されたのかという疑問を持っていた。

Dawn が持つその他の機器、ガンマ線・中性子検出器、可視・赤外線マッピング分光器で得られた低高度軌道での観測結果は、ケレスの組成をより詳細に解明し、ケレス表面に見られる物質の起源解明に光明が差すだろう。また、新たに実施する重力測定からは、ケレス地下層の詳細をこれまで以上に私たちに披露してくれるかもしれない。

「今回、Dawn が獲得したケレスの観測初期データは、私たちが盲目的になるほどの輝きを持つ一枚であった」とDawn 主任研究者の JPL Carol Raymond は語る。
「Dawn が長期間に及ぶケレスランデブーにより、この魅力的な矮星ケレスの性質と歴史を紐解いてきたことは、とてもスリリングであり、引き続き Dawn が行う最後のミッションは、これまでに明らかにした様々な発見の今後の謎解きに対して、豊かで新しいデータセットを提供することに最良だと言える」
 

Dawn が得た低高度軌道からの多くの画像は必見だ:

Dawn Mission | Multimedia | Images

Dawn に関する Marc Rayman による最近の軌道の詳細を読むなら:

Dawn Journal Blogs



Akira IMOTO

Editorial Chief, Executive Director and Board of Director for The Planetary Society of Japan

Japanese Translation : A. IMOTO. TPSJ Editorial Office